憲法:外国人の人権  司法書士試験過去問解説(平成21年度・憲法・第1問)




平成21年度司法書士試験(憲法)より。

次の対話は,外国人の人権に関する教授と学生との対話である。後記の文章群の中から適切な文章を選択して対話を学生の解答が論理的に正しい内容となるように完成させた場合,( (1) )から( (5) )までに入る文章の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。



教授: 外国人が憲法第3章で規定された基本的人権の保障の対象となるかどうかについては,否定説と肯定説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。
学生: 否定説は,憲法は国民に対する国権発動の基準を示すものであり,憲法第3章の標題も「国民の権利及び義務」となっていることを理由としますが,私は,肯定説が妥当と考えます。なぜなら,( (1) )からです。
教授: 肯定説の根拠はそのとおりですが,肯定説を前提にして,憲法第3章で規定された基本的人権のうち,どのような人権が外国人に保障されるかについては,憲法の文言を重視する文言説と権利や自由の性質に応じて判断する性質説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。
学生: 私は,性質説が妥当と考えます。この説は,( (2) )との考えに基づき,より妥当な結論を導くことができるからです。
教授: そうですね。では,文言説に対しては,どのようなことが指摘されていますか。
学生: 文言説に対しては,( (3) )という指摘ができると思います。
教授: 文言説の問題点としてはその点を指摘することができますね。次に,外国人に入国の自由が認められるかどうかについては議論がありますが,あなたはどのように考えますか。
学生: 私は,( (4) )と考えます。判例も同様の立場をとっています。
教授: そうですね。さらに,憲法上,我が国に在留する外国人に地方公共団体参政権が保障されているかについても議論がありますが,あなたはどのように考えますか。
学生: 私は,( (5) )と考えます。この点についても判例は同様の立場をとっています。

  •   憲法第22条第2項は,「何人も」と規定しているが,国籍離脱の自由の保障は,もともと日本国民のみを対象としている

  •   憲法は,前国家的な人間の権利を保障するという思想ないし自然権思想に基づいて人権の規定を設け,国際協調主義を採用している

  •   憲法第22条第1項は,外国人が我が国に入国することについては何ら規定をしておらず,国際慣習法上も,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではない

  •   入国の自由を保障している憲法第22条第1項は「何人も」と規定しており,外国人に対しても入国の自由は認められる

  •   憲法によって保障された人権は,その性質に照らし, できる限り外国人にも保障すべきである

  •   憲法第93条第2項は,地方公共団体の長は,その地方公共団体の「住民」が,直接これを選挙すると規定しており,永住者等,我が国に在留する一定の外国人も,憲法上,地方公共団体参政権を保障されている

  •   憲法は,国民主権の原理を採用している以上,憲法第93条第2項が我が国に在留する外国人に対して地方公共団体参政権を保障したものとはいえない


(参考)
憲法
  • 第22条  何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
  • 2  何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。
  • 第93条  (略)
  • 2  地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する。



対話文になっていますが、たいした対話ではなく、各穴埋めは次のように言い換えることができます。

ところで、Wセミナー司法書士択一式過去問集1 憲法・刑法 2011年版』は選択肢イについて

憲法は,前国家的な人間の権利を保障するという思想ないし自然権思想に基づいて人種の規定を設け,国際協調主義を採用している

というひどい誤植をしていますね。人種ってw