Roemerの「機会の平等」メモ

Equality of Opportunity

Equality of Opportunity




T個の「タイプ」の集合。




タイプtの人が全人口のなかで占める割合。




タイプtの人が資源をx単位使い、努力をe単位したときに得られる成功度。




タイプtで、努力をe単位する人にあげる資源の量。つまり

は、タイプtの内部での、努力量に応じた資源配分のルール。




タイプごとの資源配分ルールを集めたもの。これが「政策」。




タイプtで資源配分ルール が採用されているとき、そのタイプのなかで努力順位が下からπ%(第π百分位)の人が得る成功度。
努力量に応じた資源配分のルールの存在を加味した上で、 を書きなおしたもの。




タイプtで資源配分ルール が採用されているときの、タイプtのなかの努力量の分布を表す確率密度関数




タイプtで資源配分ルール が採用されているときの、タイプtのなかの努力量の分布のなかで、下から割合πの人の努力量。このπは、おそらく分布を使い出したことが理由で、パーセントではなく割合に変わっているので注意(さっきまでの表記が50%なら、0.5になっている)。
これは、努力量が 以下の人の割合がπだということ。該当区間での分布の曲線の下の面積が割合なので、次のように書ける。



ここまでで、努力量eと、配分される資源xが、どちらも、資源配分ルール と分布の中の分位πで表されることになったので、 で書くことができる。



まずは、タイプ内での努力量の相対的位置πを固定した上で、この位置にいる人の成功度をタイプ間で「平等化」するような政策をさがす。なお、ここで「平等化」とは、(「成功度の値を等しくする」ことではなくて)マキシミンのこと。つまり次の問題を解く。

マキシミンなので、解はつねに存在する。この解=政策を と書く。



すべてのπについて、上の問題を解くと、政策の集合ができる。

(πの値を0.01, 0.02, ... 0.99, 1 という100個の数字に限ると、政策はそれに応じて100個。)
この集合の要素がただ1つだけなら、つまり、すべてのπについて「平等化」する政策が同一であるなら、それで話は終わり。しかし、そんなことはまずない。なので、以下のような妥協策が必要。



(注:ここでは、πは1から100までの100個の整数)
各タイプで第π百分位にいるの合計は、全人口の何割か。タイプ内の人口を100分割したうちの1つなわけだから、タイプ内人口の1%。で、すべてのタイプで1%なので、全体でも1%。だから、第π百分位にいるひとは、全人口の1%。
そこで、(1から100まで100個ある)各百分位ごとに、その成功度が一番低いタイプをさがし、そうやって見つかった、各百分位ごとの最小成功度の平均をとる。

で、この平均値を最大化する政策を探す。



直前の式のπを、1から100までの100個の整数ではなく、0から1までの(連続)実数として書き直すなら、「和」を「積分」に換えればよいだけ。