「収束する実数列は、部分列の収束先に収束する」の証明

経済学のための数学入門』、練習問題2.2.1(2)(74頁)。

実数列 の任意の部分列 を考える。このとき、
が収束し、かつ に収束する」
ならば
に収束する」



部分列についてはこちら
実数列の収束についてはこちら
もとの実数列が収束することはわかっていて、部分列の方は収束先までわかっているなら、もとの実数列の収束先もそれだ、ということですね。

もとの実数列 については、「収束する」ということはわかっているので、その収束先を と書くことにしましょう。定理は、 だと言っているわけですね。
そこで、背理法で行きます。つまり を仮定して、それが定理の仮定に矛盾する結果を導くことを示します。
さて、部分列は必ず、もとの実数列の収束先に収束します(証明はこちら)。なので、部分列 は、 に収束します。
ここで、 とします。つまり、両者は数直線上の別の点だ、ということですね。別の点だということから、両者の間には距離がある(距離が正である)ことになります。だから

ですね。このとき、 に収束するからには には収束しない、ということがわかります。
なぜなら、 を、

を満たすように定めてしまうと、部分列 に収束することから、ある番号以降は

が成り立ってしまうわけで、その場合、

となってしまいます。これでは に収束するとは言えません。仮定に矛盾です。なので、背理法の仮定 が間違っていたのであって、 が正しい、ということになります。これで証明は終わりです。