連字符社会学ってどこにあるの

「連字符社会学」という言葉を使う人がいるけれど、これほど現状にあっていない言葉もないだろう。連字符というのはハイフンのことで、家族-社会学みたいに、「社会学」の前にハイフンを付けて、その前に特定の対象領域を付けることで、それぞれの対象領域についての社会学が成立するというわけだけど・・・
まず誰でも知っているように、日本語で「家族-社会学」とか書く人はいない。「家族社会学」とハイフンなしで書くのである。「東京-特許-許可-局」とか書く人がいないのと同じ。
いやいや、そりゃそうなんだってわかってるって、と、日本語にハイフンないのはそうだけど、 hyphenated sociology の訳語なんだから許してよ、ということで、外国語ではハイフン使うんだって、という人がいるかもしれないが、じゃあ英語で家族社会学をなんていうのかというと、sociology of the familyだし、法社会学なら sociology of law なわけで、 family-sociology とか law-sociology とかは普通は言わない。
でもなんか、もともとはマンハイムが言ってるらしいじゃん、ドイツ語だよドイツ語、と言うかもしれないけど、ドイツ語こそは(日本語と同じくらい)ハイフンなしで単語をくっつけて複合語をつくるのが得意な言語なのであって、 Familiensoziologie とか Rechtssoziologie とかいうわけで、ハイフンなんか付かない。
というわけで、「連字符社会学」なんてないんだから、こんな言葉使うのやめようね、というお話。