実数列の収束

経済学のための数学入門』、定義2.2.4(68頁)。

「実数列 がある実数 に収束する」とは、 という正の実数を、なんでもいいから一つ定めると、それに対して番号 が一つ定まり、 以降のすべての番号 について、 との距離が、 となることをいう。



上の定義を理解するには、「実数列」と「(実数間の)距離」の、二つの概念を理解すればよいです。
実数列というのは、実数が順番に、無限に並んでいるもののことですね。順番に応じて、それぞれの実数に番号がついています。それをこう書きます。

二つの実数の間の距離とは、直観的には「数直線上の幅」のことですが、「差の絶対値」として定義します。

です。



さて、では上の、「実数列の収束」の定義の意味ですが、まずは に収束している、ということにしておきます。
そのとき、 を一つ定めるというのは何をしていることになるのでしょうか。数直線で考えると、これは要するに、 を中心に、 から まで、という一つの「幅」を設定しているわけです。
定義の後半に述べられているのは、この幅をどんなふうに設定しても、必ず「ある番号以降はすべてこの幅の中に収まる」ということです。
収束の定義を、全部記号で書いておきましょう。最初に書いたのと意味は同じです。

距離の定義に従って、絶対値で書くと、こうですね。