相互行為システムにおけるプロセスの二重性

単純なシステム[=相互行為システム]に特有の性質とは何かというと、それは一方では、二つのプロセス[=相互知覚と言語によるコミュニケイション]が同時進行しているために、一種の「分業」が可能になって、そのつど問題を振り分けることができるということである。もちろん、ほとんど会話だけのシステム(学術的な議論とか)もあれば、ほとんど知覚だけのシステム(サッカーの試合とか)もあって、そういう極限事例がないわけではないが、そういう事例では参加者に専門技能が求められる。まあ一般には、二種類のプロセスが使えることが、単純なシステムに特有の強みだといえるわけだ。しかし他方で、このシステム類型の場合、とりわけシステムの作用と複雑性があまり強化できないという弱みもある。

Niklas Luhmann, Soziologische Aufklärung 2, "Einfache Sozialsysteme" (p. 31)