ルーマン型システム理論の妥当条件:実践的動機の解明と理論の評価に向けて

社会学関連分野の専門査読誌『ソシオロゴス』28号(2004年)に掲載された「ルーマン型システム理論の妥当条件:実践的動機の解明と理論の評価に向けて」の全文を以下に掲載します。
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要約

行為の構成命題をはじめとするルーマンの過激な命題の多くは、その妥当が彼のシステム理論構想の受容に依存する条件依存命題である。それゆえルーマン命題を受容するには彼のシステム理論構想自体が妥当でなければならないが、後者の妥当はパーソンズ理論のようなモデル主義的理論構成とは異なり、現実との適合という認識論的基準によっては検証できない。これはルーマン型のシステム理論が、限定的可能性集合によって定義される非存在論的システムに関する理論であることに由来する。だから彼のシステム理論の妥当を検証するためには、認識論的な動機とは別に、実践的動機を索出し、それを基準とした成功・不成功を判定しなければならない。本稿ではこの実践的動機を、機能分析、システム合理性、社会学的啓蒙という、純粋な理論的記述・説明からは逸脱した論点、に探り、多元主義を尊重する実践的理論の構築という暫定的な回答を提出する。最後に、同様の動機に基づく競合理論(社会的選択理論、正義理論)との比較によって、非規範性と存立問題という社会学固有の特徴を示唆する。
 


目次

  • 3 逸脱的論点に見られる実践的動機

  • 5 結論