憲法:人権の私人間効力  司法書士試験過去問解説(平成19年度・憲法・第1問)




平成19年度司法書士試験(憲法)より。

次の対話は,人権に関する規定が私人間にどのように適用されるかに関する教授と学生との対話である。後記の文章群の中から適切な文章を選択して対話を完成させた場合,(1)から(5)までに入る文章の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。



教授: 憲法の人権規定が私人間にどのように適用されるかについては,いわゆる直接適用説と間接適用説がありますね。これらの二つの見解について,どう考えますか。
学生: 私は,間接適用説が妥当と考えます。なぜなら,( (1) )と考えるからです。
教授: その理由からは,直接適用説又は間接適用説のいずれも,当然には導くことはできませんよ。では,直接適用説に対する批判としては,どのようなものがありますか。
学生: ( (2) )という批判があります。
教授: その批判は,沿革的なものですね。直接適用説を採ることにより生じる問題としては,どのようなことが考えられますか。
学生: ( (3) )という問題が生じると考えられます。
教授: あなたが採る間接適用説の積極的な根拠は,どのようなものですか。
学生: ( (4) )という理由です。
教授: では,間接適用説の限界として,どのようなことが指摘されていますか。
学生: ( (5) )と指摘されています。

  •   憲法の人権規定は,国家を拘束するものであり,私人に向けられたものではない

  •   純然たる事実行為による人権侵害については,真正面から憲法問題として争うことができない

  •   社会の中に巨大な力を持った国家類似の私的団体が数多く存在する現代においては,これらの社会的権力からも国民の人権を保護する必要がある

  •   私的自治の原則を尊重しつつも,社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護することができ,その適切な調整を図ることが可能である

  •   私的自治の原則が広く害され,私人間の行為が大幅に憲法によって規律されたり,かえって国家権力の介入を是認する端緒となる



対話文になっています。登場する学生の出来が悪いばっかりにw、最初のほうが少々ややこしくなっていますが、各穴埋めは次のように言い換えることができます。なお、平成15年度の憲法第2問も、同趣旨の設問になっています。