作業メモ:『意味とシステム』

ところが、一九八四年の『社会システム』では、相互作用が定義βとは明らかにちがう形で描かれている。例えば「反省によってのみ処理できる特別な事態が存在する。そうでない場合は、その場性という構成原理でその直接的な方向づけには十分である」など、その場性を論理的には前提しない形になっている。



佐藤俊樹意味とシステム』95頁

なぜこれで「論理的には前提にしない」なんてことが読み取れるのかさっぱり。
当該箇所は、相互行為システムは普段は反省しない、つまりシステム内でシステムの単位性を顕在化しないけれども、(1)システムとして行為しなければならないときや、(2)中断ののちに再会しなければならないときは、反省をすることによって、システムの単位性をシステムの内部で顕在化する、というところ。
おそらく、「反省によってのみ処理できる特別な事態」(必要条件)というのを、「反省があればその場性がなくても構わない特別な事態」(十分条件)というふうに誤解しているのだろう。
普通に読めば、相互行為システムは、普段はその場性だけでやっていけるが、特別な場合(反省が必要とされる場合)には、その場性に加えて、反省もできるよ、ということでしかない。
なお、佐藤が引用している箇所は、

Es muß also besondere Sachlagen geben, die nur mit Reflexion bewältigt werden können.



Niklas Luhmann, Soziale Systeme, p. 617

であるが、佐藤は「muß」を落としている。これが誤解のもとかもしれない。