人文総合演習A 第4回



今回の報告は、雇用、社会保険、公的扶助という三層のセーフティネットがすこすこだという著者の議論を受けて、まずは各層における問題の原因と解決策を、短期的合理性と長期的合理性の齟齬という観点から整理し直し、その上で特に、生活保護のマイナスイメージ問題を取り上げて、ある種の「自己責任」的な(というか自業自得的な)、また不正な受給者に対しては厳しい態度をとることでマイナスイメージの軽減を図るという案を呈示し、しかしやはり最終的には人権の保障を責務とする国の責任を強調する、という感じでした。

合理性の問題にしても、責任の問題にしても、あれかこれかの二分法的単純思考ではどうにもならない微妙な論点です。事例に即して、試行錯誤的に適切な回答を探っていくしかないわけですが、今回の報告はその一例となったのではないでしょうか。

司会者も、報告後に自分なりのまとめを示したり、なかなかうまいタイミングで話を振ったりして、事前の工夫がしのばれました。(もうすこし声を大きくしたらなお良かったかなー)

いつも思うことですが、事前の打ち合わせのときに、本番ではこんな感じかなと予想していたのを、みんな上回ってくれます。教員の指導などよりも、本番で前に座って90分を任せられるという経験こそが、個々の能力を引き出すのであるよな、と感慨にふけるところ。(まあ、そういうアーキテクチャを設計しているのは俺なんだけどな!という、あのその(以下略))

なお、今回は他ゼミの受講生が一人、(単位も出ないのに!)うちに出席してくれました(コマが違うので可能)。なかなか挑発的な議論を吹っ掛けてくれて、呼び水になりました。こういう人の参加は、(対象書籍を読んでいるということを条件として)つねに歓迎します。



以下、出席者のコメント。

  • 本文の読みこみと考察がたりなかったです。もっと考える力があればいいなと思います。そうなれるように努力します。
  • やはりどうしても知識の不足感を感じてしまいました。社会問題を考えるにはやはり総合的知識が必要だと思います。政治、経済、教育などはば広く学んでいきたいと思います。
  • ただ、私は討論できなかった。
  • ここでの議論があまり面白いと思えないことが申し訳ない。
  • 何となく議論の形が見えてきたような気がします。貧困についての知識をいくらもっていても、自分の生活と結びつけて考えれないと、なかなか行動をおこすのは難しいかもと思いました。
  • 報告者はこういう風にするのか!と参考になりました。
  • 報告者の感想  自分が、ここは質問を受けられるだろうな・・・と思っていたところとは全く違うところを質問されることがけっこう多くて焦った。他の出席者の意見に反論して、議論を盛り上げることができなくて、沈黙が続くことがあってざんねんだった
  • 司会者の感想  議論が止まってしまうことがたくさんあって、もう少しうまく進められれば良かったと思う。