人文総合演習A 第5回

今回の報告者の戦略は、著者のペシミズム(=「滅びの美学」)に対して、少子化を前提とした上で、かつ経済的衰退を避ける道を地方分権の推進(「連邦制」)に求めるというものでした。

これは戦略としては「あり」ですが、著者が述べていないことを、自分で一から組み立てて論じなければならないという困難を伴うものです。実際、報告者の構想には他の出席者から厳しいツッコミが入り、矛盾や不十分・不勉強な点が明らかにされていきました。もちろんこの展開は、演習としては「成功」です(報告者の議論がテキストから離れすぎて出席者が置いてけぼりにされてしまい、議論が出ない場合が「失敗」)。

ところでこの演習の受講者は、1989-90年生まれ、つまり「1.57ショック」世代なのですが、最後に挙手してもらったところ、出席12名中、1人っ子はゼロ、2人キョウダイが多数、3人キョウダイが数名、4人キョウダイが1名でした(ちゃんと数えればよかったorz)。なかなか興味深い結果です。



以下、出席者のコメント。

  • みんなが議論に参加することの難しさを感じました。
  • 話しの流れが上手くつかめず、KYだった。もう少し自分の論点をまとめて、質問することもはっきりまとめてから発言する習慣を付けるべきだと思いました。反省します。
  • 今回は理解するのに精一杯でした。少子化については、自分の意識一つで貢献できることもあると思いました。
  • [報告者が]自分の考えをしっかりと持っている点に感心した。ただ、結論が雲隠れしやすかったのが残念。ハイパガミーの考えがなくならないと、俺は結婚できなそうです・・・。
  • 「子供を生む」という事は私的なのか公的なのか悩んでいる。難しい。みんな兄弟がいて親近感を持った。
  • 政治・経済について考えたことがほとんどなかったのでとてもよい経験をすることができた。
  • 少子化対策をやめることにはあまり賛成できなかったが、[報告者が]経済面からとらえてるのはとてもよかった。もっと発言できるようがんばりたい。
  • 脱線対策が必要だと思った。少子化すると何が問題なのか述べられてはいたが、やっぱり脱線が気になる。
  • 連邦制が自分はうまく納得できず、うまく発言できませんでした。司会の方がうまくふってくれて助かりました! 結婚できるよう頑張ります。
  • 子どもが減るというのは、女性が結婚・出産によって今のキャリアや生活が奪われてしまうせいだからだと思います。一般的に結婚しない女性の意見は、1人で今の収入を保って生きるほうが楽だというものだし、低収入のために産みたくても産めない人もいます。子育てにはお金がかかるという問題と、子育てによって女性の立場が奪われることが少子化に拍車をかけていると思います。
  • 報告者の感想 正直言って、僕のキャパシティーをこの本は超えているのだなぁと思いました。この話はもう限界です。
  • 司会者の感想 司会者は大変でした。「連邦制」とか、なかなか考えたことのない話で、皆、意見が出しづらかったかなと・・・自分の中で消化できない話が多かったかなと思いました。最後は、全員の意見が聞けて良かったです。