過去分詞だからといって「〜された」と訳さない

外国語の不自由を日本語に持ち込まない件再び。
パーソンズからルーマンに引き継がれた言葉にgeneralized mediaというのがあって、「一般化されたメディア」と訳されている。ところが日本語で「〜された」というと、「え、誰に?」という話になってしまう。「〜された」という言い方は、「誰かが〜した」という点を強調する表現なのだ。しかしgeneralized mediaという言葉に「メディアを一般化した主体」の存在は含意されていないのであって、より適切な訳語は「一般化したメディア」だろう(「一般性を持ったメディア」でもいい)。
英語では他動詞を分詞にして修飾語にすることができるが、それには現在分詞と過去分詞しかない。generalizeならgeneralizingとgeneralizedしかないわけだ。だからといって、後者を受身の意味にのみとってつねに「一般化された」と訳すのは間違いなのであって、そう訳すのは受身的な意味が明らか(つまり行為主体が明らか)なときに限るべきだろう。
なお過去分詞で受身的な意味が稀薄化したものにはdevelopedとかestablishedなど他にもたくさんある。