勁草書房「双書プロブレーマタ」目録リスト一覧
- III-4. W. S. セラーズ,中才敏郎(訳),『経験論と心の哲学』,2006年
- III-3. ギルバート・ライル,篠沢和久(訳),『ジレンマ: 日常言語の哲学』,1997年
- 哲学的な問題の発生源となる言語上の混乱を正し、概念の交通整理を行う。テーマに応じて具体的な比喩、アナロジーを多数用いて、日常言語を分析。巧みな思考実験と達意の文章を楽しむ。
- III-2. H. デズモンド・リー(編),山田友幸/千葉恵(訳),『ウィトゲンシュタインの講義I ケンブリッジ1930-1932年: ジョン・キングとデズモンド・リーのノートより』,1996年
- 『論考』の誤りを自覚し、ふたたびケンブリッジに戻ってきたウィトゲンシュタイン。後期哲学への歩みが、ここからはじまる。本書には、『論考』のウィトゲンシュタインへと遡る思考の道筋の内に、『探究』のウィトゲンシュタインへと連なる思考の道筋が、流れ込み、絡まりあい始めている様子を見いだすことができる。したがって本書は、前期の哲学から後期の哲学へと至る、両端だけ見れば著しく対照的にも見える思考の変貌の第一歩がどのように踏み出されたのかを探るための資料としても、大いに興味深いものであると言えるであろう。
- III-1. D. M. アームストロング,鈴木登(訳),『心の唯物論』,1996年
- 心を主として「ある種の行動を引き起こしそうな人の状態」と捉え、それを脳の中枢神経の状態に等しいものとする「中枢状態説」によって、心身問題を分析。心と脳の関係における機能主義を論じる。
- II-9. R. M. チザム, 中才敏郎/中谷隆雄/飯田賢一(訳),『知覚: 哲学的研究』,1994年
- 知覚について考えたり語ったりするときに生じる哲学的な難題、あるいは問題を解くために必要な、知覚にまつわる言葉の相互関係の理解をすすめる本。そこから知識論へと広がり、心の哲学に連なる問題の起点を解説する。
- II-8. B. ラッセル,竹尾治一郎(訳),『心の分析』,1993年
- 物質に対して適用された現象主義的分析の方法を、心的存在に対して適用しようと試みた。それ自身では心的でも物的でもない〈中性的要素〉から心の構成を考える。
- II-7. W. V. O. クワイン,飯田隆(訳),『論理的観点から: 論理と哲学をめぐる九章』,1992年
- II-6. G. E. M. アンスコム/P. T. ギーチ,野本和幸/藤沢郁夫(訳),『哲学の三人: アリストテレス・トマス・フレーゲ』,1992年
- 言語・論理・意味をキータームとし、西洋哲学の基礎的な考え方を示す。古代・中世哲学と現代哲学との実り多い対話の先駆。
- II-5. J. O. アームソン,G. J. ウォーノック(編),坂本百大(監訳),『オースティン哲学論文集』,1991年
- 言語行為論の創始者として知られるオースティン。彼の言語行為論のほか、意味、他我、真理などの問題を解明。彼の哲学の集大成といえる書。
- II-4. アリス・アンブローズ(編),野矢茂樹(訳),『ウィトゲンシュタインの講義II ケンブリッジ1932-1935年: アリス・アンブローズとマーガレット・マクドナルドのノートより』,1991年
- 言語ゲーム論の成熟へ向かう中期。行ったり来たりしながら、手探りで前進するウィトゲンシュタインと共に知の迷宮を歩んでいく、哲学への道標。
- II-3. A. J. エア,神野慧一郎/中才敏郎/中谷隆雄(訳),『経験的知識の基礎』,1991年
- 他者の心、因果法則、意味、命題の本性などを探査し、<外界についてのわれわれの知識>をめぐる哲学的問題を解決する。知識論、認識論に関するエアの主著。
- II-2. ヴィクトル・クラーフト,寺中平治(訳),『ウィーン学団: 論理実証主義の起源・現代哲学史への一章』,1990年
- 形而学上のまどろみを斥け、現代哲学の誕生を準備した論理実証主義。運動を支え、広めた若き哲学者集団の軌跡を追う。
- II-1. S. シューメーカー, 菅豊彦/浜渦辰二(訳),『自己知と自己同一性』,1989年
- 自分についての知識や他人の心をめぐる哲学上の混乱を正し、倫理や法の帰責の根拠と考えられている〈人格の同一性〉の問題、このロック以来の難問に決着をつける。
- 10. H. ファイグル,伊藤笏康/荻野弘之(訳),『こころともの』,1989年
- 物理主義は心的現象を首尾よく理論の中に回収できるだろうか。心身問題にまつわる議論のもつれを解きほぐし、著者の立場である“心脳同一説”へと誘う。
- 9. Ch. W. モリス,内田種臣/小林昭世(訳),『記号理論の基礎: 付 美学と記号理論』,1988年
- 1930年代の統一科学運動の熱気の中で構想された記号学の古典。記号媒体・指示対象・解釈項の関係、構文論・意味論・語用論の三つの次元の区別と連関などが簡潔に述べられる。
- 8. 坂本百大(編),『現代哲学基本論文集II: ムーア・タルスキ・クワイン・ライル・ストローソン』,1987年
- (1)反事実的条件法の問題、(2)可能的なものの終焉、(3)帰能法の新たな謎、(4)投射の理論に向けての展望。〈非現実〉的なものに対し,経験論はどのような解決を試みるか。
- 7. N. グッドマン,雨宮民雄(訳),『事実・虚構・予言』,1987年
- (1)反事実的条件法の問題、(2)可能的なものの終焉、(3)帰能法の新たな謎、(4)投射の理論に向けての展望。〈非現実〉的なものに対し,経験論はどのような解決を試みるか。
- 6. 坂本百大(編),『現代哲学基本論文集I: フレーゲ・ラッセル・ラムジー・ヘンペル・シュリック・ノイラート・カルナップ』,1986年
- 5. J. R. サール,坂本百大/土屋俊(訳),『言語行為: 言語哲学への試論』,1986年
- オースティンによる言語行為――事実の記述ではなく発話とは何がしかの行為であると考える――の分析を受け継ぎ、体系化したのが本書。現代哲学の中心テーマの一つ。
- 4. J. L. オースティン,丹治信春/守屋唱進(訳),『知覚の言語: センスとセンシビリア』,1984年
- 感覚与件理論に体現されている過度の簡略化、画一化、二分法への拝跪といった傾向を日常言語の詳細な分析によって徹底的に破壊する。哲学の破壊による哲学の再建。
- 3. W. V. O. クワイン,大出晃/宮館恵(訳),『ことばと対象』,1984年
- 言語の習得やその使用、および意味現象などをすべて言語行動に関連させて考察している。思索の拡がりと体系性において、戦後分析哲学の最高峰の一つといわれている。
- 2. G. J. ワーノック,坂本百大/宮下治子(訳),『現代のイギリス哲学: ムーア・ウィトゲンシュタイン・オースティン』,1983年
- 原題は「1900年以降のイギリス哲学」。現代哲学の到達点を評価し、今後の方向性を考える上で、刺激に満ちた概説書といえよう。