「岩波モダンクラシックス」目録リスト一覧



コミンテルンとスペイン内戦 (岩波モダンクラシックス)

  • E. H. カー,富田武(訳),『コミンテルンとスペイン内戦』,2010年
    • スペイン内戦は、そのはらむ問題の多様性ゆえに、今日でも多くの関心を集めている。大著『ソヴィエト・ロシア史』に続き『コミンテルンの黄昏』で人民戦線戦術の形成を跡づけた著者が、資料的制約からこれまで研究が極めて不十分であった、内戦における人民戦線戦術の展開と外交的思惑の絡み合いを鋭く分析する、最後の著作。



保守革命とモダニズム――ワイマール・第三帝国のテクノロジー・文化・政治 (岩波モダンクラシックス)



マルクスと息子たち (岩波モダンクラシックス)



バーリン ロマン主義講義 (岩波モダンクラシックス)



中世の産業革命 (岩波モダンクラシックス)

  • J. ギャンペル,坂本賢三(訳),『中世の産業革命』,2010年
    • 「暗黒時代」と称されてきた中世ヨーロッパ像に対し、12、3世紀に豊かな技術に彩られた産業革命を見出して、新たな光を投げかけた科学技術史の古典的名著。その射程は広く農業や建築からエネルギー資源、環境問題にまで及び、時代と社会を総体的に把握しようとする試みに叙述全体が貫かれている。



日本の経済思想――江戸期から現代まで (岩波モダンクラシックス)



ケインズ (岩波モダンクラシックス)

  • R. スキデルスキー,浅野栄一(訳),『ケインズ』,2009年
    • 20世紀を代表する思想家の1人ケインズは、経済、政治の分野のみならず、哲学、文化の領域でも幅広く活動した。ケインズの性格、価値観、ものの考え方、さらにその文化的・社会的背景等を具体的に解き明かすとともに、彼が提唱した政策から一般理論に至るまで、バランスよく描き出した好著。世界同時不況のなかで、いまあらためて注目を集めるケインズ経済思想の核心を浮き彫りにする。



スペイン帝国の興亡 1469-1716 (岩波モダンクラシックス)

  • J. H. エリオット,藤田一成(訳),『スペイン帝国の興亡 1469-1716』,2009年
    • 世界史上で重要な意味をもつハプスブルグ朝スペイン。本書は、イサベル女王とフェルナンド王によって統合された一国家が、短期間のうちに新世界を含む一大帝国を形成して栄光の極に達し、しかも急速に没落していった原因は何かを主題とする。支配層の動向、民衆の叛乱、イベリア半島の中心部と周辺部の相剋等を軸に、250年に及ぶその栄光と悲惨の跡を、政治・経済・文化史にわたって鮮やかに再現し、見事な歴史叙述へと結実させている。



ドイツの独裁II ナチズムの生成・構造・帰結 (岩波モダンクラシックス)

  • K. D. ブラッハー,山口定/高橋進(訳),『ドイツの独裁: ナチズムの生成・構造・帰結 II』,2009年
    • 歴史的叙述と体系的分析との結合によってナチズムの全体像を解明するとともに、はじめてナチス・ドイツをドイツ一国の問題としてではなく、近代ヨーロッパの胚胎した権威主義的国家観と政治観との帰結としてあつかった歴史的名著。ナチズムを通して近・現代の政治的・社会的問題に迫る、すぐれたヨーロッパ論でもある。



ドイツの独裁I ナチズムの生成・構造・帰結 (岩波モダンクラシックス)

  • K. D. ブラッハー,山口定/高橋進(訳),『ドイツの独裁: ナチズムの生成・構造・帰結 I』,2009年
    • 歴史的叙述と体系的分析との結合によってナチズムの全体像を解明するとともに、はじめてナチス・ドイツをドイツ一国の問題としてではなく、近代ヨーロッパの胚胎した権威主義的国家観と政治観との帰結としてあつかった歴史的名著。ナチズムを通して近・現代の政治的・社会的問題に迫る、すぐれたヨーロッパ論でもある。



アメリカの政治的伝統 2―その形成者たち (岩波モダンクラシックス)



アメリカ資本主義と学校教育 1―教育改革と経済制度の矛盾 (岩波モダンクラシックス)



デマの心理学 (岩波モダンクラシックス)

  • G. W. オルポート/L. ポストマン,南博(訳),『デマの心理学』,2008年
    • デマはどのようにして流れ,だれがその犠牲になるのか.社会心理学の実際的応用で名高いオルポートが,主要なデマの現象を分析し,想起・忘却・想像・こじつけの過程における歪みを実験に基づいて考察することで,初めてデマについての統一的な説明を試みた歴史的名著.噂の真相を見抜く力と懐疑の精神を訴える.



学歴社会新しい文明病 (岩波モダンクラシックス)

  • R. P. ドーア,松居弘道(訳),『学歴社会 新しい文明病』,2008年
    • 教育が選別機能によって抑圧され,一片の卒業証書のために競争する「学歴社会」。これは新しい文明病であり、その克服なしには人間社会の未来はありえない。日本、イギリス、発展途上国の実態を歴史的に検討し、その比較・分析を通して本来の教育機能のための方策を具体的に提言した名著。近年の動向を踏まえた新稿を付す。



アメリカの政治的伝統 2―その形成者たち (岩波モダンクラシックス)



アメリカの政治的伝統 1―その形成者たち (岩波モダンクラシックス)



ABC―民衆の知性のアルファベット化 (岩波モダンクラシックス)

  • I. イリイチ/B. サンダース,丸山真人(訳),『ABC: 民衆の知性のアルファベット化』,2008年
    • シャドウ・ワーク』『ジェンダー』などの著書による現代産業文明の鋭い批判は、日本でも大きな反響を呼んだ。「書かれた言語」が12世紀末の民衆の知性にいかなる影響を及ぼしたのかに始まり、言語が記号以外の何ものでもなくなりつつある現代の危機的状況を解明する。「書かれた言語」を生き生きとした日常言語に回復する途を模索する。



敗者の想像力―インディオのみた新世界征服 (岩波モダンクラシックス)



マルチカルチュラリズム (岩波モダンクラシックス)



フロイトとユング―精神分析運動とヨーロッパ知識社会 (岩波モダンクラシックス)



ラディカル・デモクラシー―可能性の政治学 (岩波モダンクラシックス)

  • C. ダグラス・ラミス,加地永都子(訳),『ラディカル・デモクラシー: 可能性の政治学』,2007年
    • 古くて新しい思想である民主主義.それはどこに限界があり,またどのように理解するときに根源的な原理,現実への批判原理として意味をもち得るのか.独創的な政治理論家・社会批評家として知られる著者の,長年の経験と苦悩,研鑽から紡ぎ出された数々の洞見は,民主主義を理論的に実践的に復権させる貴重なマニフェストであり,現代社会の成熟化へ向けた「希望の政治学」である.



日本思想という問題―翻訳と主体 (岩波モダンクラシックス)



近代日本の農村的起源 (岩波モダンクラシックス)

  • トマス・C・スミス,大塚久雄(訳),『近代日本の農村的起源』,2007年
    • 江戸から明治前期にかけての日本経済史の研究は、戦後驚くべき発展をとげた。本書は、優れた米国人歴史家である著者がその成果を駆使して書き上げたものである。日米の異質な学問伝統の出会いが生み出した、清新な日本経済史像を示す。



生きた隠喩 (岩波モダンクラシックス)

  • ポール・リクール,久米博(訳),『生きた隠喩』,2006年
    • 現代におけるレトリックの複興はめざましい。言語のもつ創造性のもっとも明瞭な表現である“生きた隠喩”が、言語・記号活動の本質を捉えうるところに、レトリックの新しい意義が見出されるからである。本書は、アリストテレスから現代に至るレトリック理論に、言語と創造力との観点から新しい光をあて、その機能と構造を明らかにする。



ケインズ『一般理論』の形成 (岩波モダンクラシックス)

  • リチャード・カーン,浅野栄一/地主重美(訳),『ケインズ『一般理論』の形成』,2006年
    • 難解なことで知られる『一般理論』はどのように誕生したのか?ケインズの学問上の盟友R.カーンが、20世紀最大の経済学者のダイナミックな思想展開を6回の講演でわかりやすく解説。同時代の諸学説の影響や交友関係を通してケインズ理論の核心に肉薄する本書は、初学者から研究者に至るまで必携のケインズ入門書である。



近代世界システム〈2〉―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立 (岩波モダンクラシックス)



近代世界システム〈1〉―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立 (岩波モダンクラシックス)



世界と世界史 (岩波モダンクラシックス)

  • K. レーヴィット,柴田治三郎(訳),『世界と世界史』,2006年
    • 現代に至るまで、西欧哲学のなかにいまだ根強く生き続けるキリスト教神学。本書は、哲学が「神への信仰」から離れるためには必然的に古代ギリシャ的または東洋的思惟に戻らざるをえないとする著者が、近世以来の哲学における知識と信仰との混同を指摘しつつ、人間思惟の歴史を跡づけた名著である。



自然法 (岩波モダンクラシックス)

  • A. P. ダントレーヴ,久保正幡(訳),『自然法』,2006年
    • 保守主義の正当化にもまた革命の正当化にも使われるなど、二千年以上にわたって重要な役割を演じてきた自然法思想。その概念と本質を、西洋の思想と歴史のなかに繰り返される一つの主題として跡づけながら掘りさげるとともに、倫理学政治学・法学の分野における自然法の重要性と現代における意義を明らかにした画期的名著。



ジェンダー 女と男の世界 (岩波モダンクラシックス)

  • イヴァン・イリイチ,玉野井芳郎(訳),『ジェンダー』,2005年
    • 現代文明の鋭い批判者であったイリイチの代表作.産業的商品に完全に支配された生活様式に特有の「セックス」とは異なる,本来的な人間関係のあり方に考察を進める.時間と場所に応じて多様な形をとる女と男の世界=「ジェンダー」を歴史的に分析し,その喪失がもたらした現代社会の荒廃を厳しく批判した.



旧世界と新世界 1492-1650 (岩波モダンクラシックス)

  • ジョン・H・エリオット,越智武臣/川北稔(訳),『旧世界と新世界 1492-1650』,2005年
    • 16世紀から17世紀初頭のヨーロッパに,アメリカという新世界はどのような影響を与えたか? 旧世界と新世界の相互浸透のなかに近代ヨーロッパ成立の重要な鍵のあることを見抜いた著者の問題提起は,ヨーロッパ側に限られていた従来の研究視点を大きく変えた.ヨーロッパ史の枠を越えて世界史構想の作業へ読者を誘い出す1冊.



うつの論理 (岩波モダンクラシックス)

  • ダニエル・ヴィドロシェ,古川冬彦(訳),『うつの論理』,2005年
    • 精神科医であるともに精神分析家でもある著者が,総合的視野に立って,うつ病を理解する方法を論じた啓蒙書.理解の方法論の歴史を概観したうえで,精神分析の論理にもとづいた心理学的知見と,動物行動学の論理にもとづいた生物学的知見とを基盤として,著者自身の新しい方法論を提案する.



歴史学と精神分析 フロイトの方法的有効性 (岩波モダンクラシックス)



人間の経済 II 交易・貨幣および市場の出現 (岩波モダンクラシックス)

  • カール・ポランニー,玉野井芳郎/中野忠(訳),『人間の経済: 交易・貨幣および市場の出現 II』,2005年
    • 著者の批判的主張の核心は,われわれが生きている現代社会の経済を人間生活にふさわしい本来のすがたへと転回させることである.第II分冊では,古代ギリシア以来の経済史の再検討を通じ,市場に基礎をおかない経済体制のもとでの経済活動にかんして社会的組織を一般類型的に把握し,新たな社会構想のための概念的枠組を提示する.



人間の経済 I 市場社会の虚構性 (岩波モダンクラシックス)

  • カール・ポランニー,玉野井芳郎/中野忠(訳),『人間の経済: 交易・貨幣および市場の出現 I』,2005年
    • われわれが生きている現代社会の経済を人間生活にふさわしい本来のすがたへと転回させること――これこそ著者の批判的主張の核心である.第I分冊では,交易・貨幣および市場の出現を主題に,全人類史への深い洞察をふまえ,市場社会としての資本主義経済の虚構性をあばく.



行為としての読書 美的作用の理論 (岩波モダンクラシックス)

  • ヴォルフガング・イーザー,轡田收(訳),『行為としての読書: 美的作用の理論』,2005年
    • 古典文学の主軸が〈調和〉にあるとすれば近代文学の基本傾向は〈否定性〉にある.この変化に伴って,作品に唯一永遠の意味を求める旧来の文学解釈はその有効性を失った.読書過程におけるテクストと読者との相互作用の関係を,詳細かつ理論的に解明・吟味し,文学研究における新たなパラダイムを提示する.



シャドウ・ワーク 生活のあり方を問う (岩波モダンクラシックス)



フランス歴史学革命 アナール学派 1929-89年 (岩波モダンクラシックス)



日本帝国主義の形成 (岩波モダンクラシックス)



現代の企業―ゲームの理論から見た法と経済 (岩波モダンクラシックス)

  • 青木昌彦,『現代の企業: ゲームの理論から見た法と経済』,2001年
    • 企業の動向を理解せずに経済の実態を語ることはできない.日本を代表する経済学者の手になる本書は,現代企業の新しい理論を提示する画期的な労作である.まず新古典派の企業理論の限界を明らかにし,代案として経営陣と従業員の協調に基づく経営参加モデルを構築する.国内外の企業の実情をふまえ展望を示した本書の意義は実に大きい.



世界市場の形成 (岩波モダンクラシックス)

  • 松井透,『世界市場の形成』,2001年
    • イギリスを中心として17,8世紀に環大西洋規模で世界市場が形成され,さらに19世紀前半にかけてアジアから全世界へと拡大・深化されていく過程を,統計資料を駆使して明らかにする.多大なデータ分析に基づいて作成した60数点の図表を提示しながら,偶然や無法をも伴ったその過程を的確に読み解き,世界史像構築に示唆を与える.



日本の中世社会 (岩波モダンクラシックス)

  • 永原慶二,『日本の中世社会』,2001年
    • 10世紀以降徐々に展開していった日本の中世社会において,民衆はようやく自己を発見し,確立する方向へ歩みだす.本書は,土地所有関係の展開を基軸として,そのような日本の中世社会の成立と特色を追求する.なお,近時,日本の近代化の特色と結びつけて日本封建社会を「西欧型」とする論議に対しても1つの解答を提出する.



世界史の意識と理論 (岩波モダンクラシックス)

  • 成瀬治,『世界史の意識と理論』,2001年
    • 本書は,敗戦より現在にいたる30年余の間に世界・アジア・日本の現実が大きく変動していく中での,日本国民の世界史認識の歩みを,具体的な事例に即して跡づける.歴史学界だけでなく,隣接諸科学やジャーナリズムの領域をも含めて,その時々に提起された多様な問題と背後の歴史意識を,全体的なつながりのもとで考察する.



ヘーゲル左派と初期マルクス (岩波モダンクラシックス)

  • 良知力,『ヘーゲル左派と初期マルクス』,2001年
    • ルーゲ,ヘス,バウアー,そしてマルクスエンゲルス-世界史に乗り遅れた19世紀ドイツで革命にこがれた若き思想家たち.彼らの論争を軸に,時代と向き合う思想形成の軌跡をさぐる.革命期の民衆の声に耳をかたむけ続けた著者の研究の原点を飾るマルクス主義成立史にかかわる論攷を精選.解説=廣松渉



戦後日本の精神史―その再検討 (岩波モダンクラシックス)

  • テツオ・ナジタ/前田愛/神島二郎(編),『戦後日本の精神史: その再検討』,2001年
    • 戦後精神史とは何か.日本近代史において戦後精神はいかに位置づけられるか.戦中の「近代の超克」論,1960年代の近代化論,そして近年のポストモダン論を射程に収めつつ,政治,文学,哲学から大衆文化,社会運動に至る局面で戦後日本を総括する.シカゴ大学を中心に活躍する日本研究者たちの積極的な参加を得て初めて可能になった日米共同研究.



近代天皇像の形成 (岩波モダンクラシックス)

  • 安丸良夫,『近代天皇像の形成』,2001年
    • 社会秩序の要として今日も機能し続ける天皇制.この天皇制をめぐるイメージの大部分は,近代国家の形成期である明治維新をはさむ約百年間に作り出された.その生成と展開の過程を,思想史の手法により具体的な史料の分析を通じて跡づけ,近代天皇制の本質を鮮やかに解明する.近年の研究を体系的に総合した渾身の書下ろし.



自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学 (岩波モダンクラシックス)

  • 真木悠介,『自我の起原: 愛とエゴイズムの動物社会学』,2001年
    • 地球上に存在するあらゆる生命の歴史において,「個体」の発生とその主体化という出来事ほど画期的な事象はない.比較社会学のパースペクティヴから現代世界を考察してきた著書が,「人間的自我」の探究のために遺伝子理論・動物行動学・動物社会学の領域に踏みこみ,「自我」成立の前提としての動物個体の行動の秘密を探る.



日本の中世国家 (岩波モダンクラシックス)

  • 佐藤進一,『日本の中世国家』,2001年
    • 律令国家解体ののちに生まれた王朝国家を祖型として東国に鎌倉幕府が成立して以来,武家勢力と王朝勢力はそれぞれ内部矛盾を抱えつつ対立・抵抗し,複雑な経過を辿った.本書は王朝国家成立から建武新政に至る歴史の流れに即して,国家権力の性格と権力行使の態様を分析し,日本中世国家の構造と特質を簡潔・明瞭に説き明かす.



日本古代の国家と仏教 (岩波モダンクラシックス)

  • 井上光貞,『日本古代の国家と仏教』,2001年
    • 奈良時代を中心に栄えた中国的な国家仏教の中から,平安期をへて鎌倉時代に至り,民衆を基盤とした日本的な仏教がいろいろな相で現われはじめた.この過程の各々の時点については,教義の面でも社会経済史の面でも多くの研究があるが,本書はそれを総合的・歴史的に把握し,日本仏教の成立の意義とその史的背景を明らかにする.



低開発経済分析序説 (岩波モダンクラシックス)

  • 赤羽裕,『低開発経済分析序説』,2001年
    • 「低開発」状況を規定する基本要因を「共同体」的構成に求め,その視角からブラック・アフリカの伝統的農業生産様式の実態を検討,共同体を揚棄するための土地制度・産業構造・人間類型変革の開発モデルを構想する.さらに低開発経済工業化の問題を,EECの発展を中心とする,現代資本主義の動向との関連において究明する.



日本の古代国家 (岩波モダンクラシックス)

  • 石母田正,『日本の古代国家』,2001年
    • 本書は,律令制国家として完成をみた日本の古代国家の形態と機能を分析し,その歴史的特質を解明する.著者は,古代国家が直面したアクチュアルな課題に着目し,古代国家を諸階級の総体的運動の総括として位置づける.また,国家成立史における国際的契機,大化の改新などの問題点についても,新たな視角から論究されている.



近代世界と民衆運動 (岩波モダンクラシックス)

  • 柴田三千雄,『近代世界と民衆運動』,2001年
    • 近代世界の展開過程は,資本主義世界体制の構造化・再構造化の動きと地域世界から出てくる民衆運動の作用との接点においてとらえられねばならぬ-戦後歴史学の研究動向の総括の上に立ったこのような観点から,英・仏・独における近代国家形成の分析に主眼を置きつつ,近代世界の成立に至る世界史の動的な過程を描き出す.



戦後の歴史学と歴史意識 (岩波モダンクラシックス)

  • 遠山茂樹,『戦後の歴史学と歴史意識』,2001年
    • 歴史学の戦後20年の研究成果の特色が学問と教育,学問と国民との結合の重視という点にあると見る立場から,戦後の歴史学を整理し,跡づけたもの.従ってそれぞれの学説の紹介を主眼とする通例の史学とは異なり,結論を追うことよりも,それを導き出した問題意識と方法を明示することに,主要な努力が向けられている.



社会科学の方法と人間学 (岩波モダンクラシックス)

  • 山之内靖,『社会科学の方法と人間学』,2001年
    • 人間の意識や行為は時代・民族文化を特徴づける精神的風土に規定され,そのことを究明する人間学こそ社会科学成立の基盤であり社会科学の方法の一環である.このような視点から本書第1部では『経済学批判・序言』の再検討によってマルクスを捉えなおし,第2部では河上肇の思想を再構成するなかで社会科学の在り方を考える.



価値の社会学 (岩波モダンクラシックス)

  • 作田啓一,『価値の社会学』,2001年
    • 文化・パーソナリティ・社会の相互関連を価値の問題を軸として考察する.即ち,文化の総体をその主体的行為者との関連で理解し,価値の次元に焦点を合せてとらえる.第1部は,行為,社会体系,責任,アノミーなどを扱った社会的価値に関する理論篇であり,第2部では,日本社会における価値体系の特質を鋭く観察し分析する.



歴史的理性批判序説 (岩波モダンクラシックス)

  • 久野収,『歴史的理性批判序説』,2001年
    • ファシズムに対する徹底的な反省を契機として,独自の哲学的思索を展開してきた著者の論文集.ヨーロッパにおける理性概念の歴史的展開過程をたどりなおし,その意味を確定することによって,〈近代的理性〉のひずみを根底から照射し,社会形態の変革と歴史的理性との関係を問う〈歴史的理性批判〉のための視座を設定する.



解放の神学 (岩波モダンクラシックス)

  • グスタボ・グティエレス,関望/山田経三(訳),『解放の神学』,2001年
    • ラテンアメリカにおける抑圧と貧困に対する抵抗から生まれた新たな福音の書.「新しい霊性」(個人の回心)と同時に人間同士の不正な関係の是正と,それをもたらした社会構造の変革を呼びかける本書の力強い訴えは,今日における人間の解放の意味と具体的実践の道を模索する人々に,多くの示唆と励ましを与える.



ヘーゲルと近代社会 (岩波モダンクラシックス)

  • チャールズ・テイラー,渡辺義雄(訳),『ヘーゲルと近代社会』,2000年
    • 近代社会の特質とは何か.ヘーゲルはこの問いには,全体的・本質的な答えを提出した最初の偉大な思想家であった.人間の主体性と自己疎外,政治の優位と自由の可能性,理性の絶対視と歴史の弁証法,言語と意味の発見―これらはなお,今日的課題である.壮大な思想体系の現代的意義を明確に浮彫りにした,ユニークなヘーゲル入門.



道徳意識とコミュニケーション行為 (岩波モダンクラシックス)

  • ユルゲン・ハーバーマス三島憲一/中野敏男/木前利秋(訳),『道徳意識とコミュニケーション行為』,2000年
    • 大著『コミュニケーション的行為の理論』によって,哲学と社会科学一般に多大な思想的影響を及ぼしたハーバマス.生活世界の植民地化からの解放を求めて理論構築に苦闘するハーバマスが赴いた次のシーンは,倫理と道徳にかかわる意識・認識の問題であった.ガーダマー,アーペル,コールバーグとの思想的対決を試みる.



革命前夜の地下出版 (岩波モダンクラシックス)

  • ロバート・ダーントン,関根素子/二宮宏之(訳),『革命前夜の地下出版』,2000年
    • 思想史上「啓蒙」の時代として知られる18世紀フランス.だがヴォルテール,ルソー,ディドロらの陰で「どぶ川のルソー」と呼ばれる三文文士たちが暗躍し,革命を準備していた! 当時の警察文書や手紙,営業記録など膨大な眠れる史料を丹念に読み解くことで,革命前夜の隠れた歴史を鮮やかに描き上げ,絶賛された力作.



リーガリズム―法と道徳・政治 (岩波モダンクラシックス)

  • J. N. シュクラー,田中成明(訳),『リーガリズム: 法と道徳・政治』,2000年
    • 本書は,リーガリズム―抽象的な法の概念をその社会的背景から切り離して妥当範囲を過大視する,法理論家に共通する欠点を示す言葉―の再検討をめざしている.現代社会における法的思考・法的機構の特質や機能,限界,存立基盤などを分析することによって,法理論と道徳・政治理論との対話の回復を試みる.



さかさまの世界―芸術と社会における象徴的逆転 (岩波モダンクラシックス)

  • バーバラ・A.バブコック(編),岩崎宗治/井上兼行(訳),『さかさまの世界』,2000年
    • 謝肉祭に見られる王と臣下,男と女,動物と人間の転倒などの象徴的地位逆転現象は,フレーザー以来「未開」民族において広く知られるが,その淵源はギリシア民衆文化に溯る.本書は人間の象徴行為の核心をなす逆転過程の諸例を西欧の絵画や文学に探り,その社会的・文化的働きを明らかにしたユニークな論文集.



呪術・儀礼・俗信―ロシア・カルパチア地方のフォークロア (岩波モダンクラシックス)



コロンブスからカストロまで―カリブ海域史、1492‐1969〈2〉 (岩波モダンクラシックス)



コロンブスからカストロまで―カリブ海域史、1492‐1969〈1〉 (岩波モダンクラシックス)



人間科学序説 (岩波モダンクラシックス)

  • ジャン・ピアジェ波多野完治(訳),『人間科学序説』,2000年
    • 本書はユネスコ編『社会諸科学および人間諸科学の研究の主要動向』の巻頭に収められたスイスの碩学ピアジェの「序文」を翻訳したものである.児童心理学の業績によって知られる著者は,「発生的認識論」の立場から人間諸科学を解明するとともに,社会科学,人間科学及び自然科学の分野においても多くの重要な視点を提示する.



哲学の変貌―現代ドイツ哲学 (岩波モダンクラシックス)

  • ガーダマー/アーペルほか,竹市明弘(訳),『哲学の変貌: 現代ドイツ哲学』,2000年
    • 現代哲学の潮流は1960年代以降大きく変貌した.ことにドイツでは,伝統的哲学の文脈に依拠しながらも,現代の問いに真に対応しうる哲学の復権が企図された.本書は60年代以降の動向を概観し,超越論哲学,現象学と解釈学,言語行為論と批判的合理主義など,代表的哲学の核心をついた論考を集成し,その変貌をたどる.



文化の新しい歴史学 (岩波モダンクラシックス)

  • リン・ハント,筒井清忠(訳),『文化の新しい歴史学』,2000年
    • 文化史はアナール学派英米の歴史家たちとの理論や方法の融合・葛藤の中で花開いた.本論集では,第1部にフーコー,デーヴィスらの先駆的モデルへの活発な議論を収め,第2部に祭典・書物・身体・視覚芸術などの表象を扱う刺激的なアプローチを盛り込んだ.人類学や文学理論と歴史学の交配が生んだ,絶好の文化史ガイド.



シボレート―パウル・ツェランのために (岩波モダンクラシックス)



フランス革命を考える (岩波モダンクラシックス)

  • フランソワ・フュレ,大津真作(訳),『フランス革命を考える』,2000年
    • 歴史家・思想家によってこぞって顕賞され,その記念碑に銘文が書き続けられる「フランス革命」.この革命は歴史的事象として果して正当に位置づけられているのだろうか.トクヴィルに拠りながら,歴代の革命史家によって歪曲された革命像を論争的に検討し,等身大の歴史として革命を脱神話化する問題の書.



記号論のたのしみ―文学・映画・女 (岩波モダンクラシックス)



ラカンを読む (岩波モダンクラシックス)



ジョージ・オーウェル―ひとつの生き方〈下〉 (岩波モダンクラシックス)



ジョージ・オーウェル―ひとつの生き方〈上〉 (岩波モダンクラシックス)



組織の限界 (岩波モダンクラシックス)

  • ケネス・J・アロー,村上泰亮(訳),『組織の限界』,1999年
    • 新古典派経済学の理論的指導者にして批判者でもある著者が,現代社会の全側面をおおう組織に切り込んだ啓蒙的名著.経済における決定主体として,個人より組織のほうが重要であること,また市場そのものも,それ自体として内部構造を持つ組織と見た方がよいことを指摘して,市場メカニズムへの楽天的な態度を厳しく戒める.



思想史とはなにか―意味とコンテクスト (岩波モダンクラシックス)

  • クェンティン・スキナー,半澤孝麿/加藤節(訳),『思想史とはなにか: 意味とコンテクスト』,1999年
    • 従来の政治思想史叙述を非歴史的と断じ去って登場した「新しい思想史学」の旗手スキナーは,当然のごとく厳しい反批判にさらされた.本書では,言語行為論から解釈学,さらには新批評までを視野におさめながら,それらの批判に答えつつ,合理性概念の再検討を軸とする自らの思想史学の核心を,大胆に語っている.



文化の政治学 (岩波モダンクラシックス)

  • ミシェル・ド・セルトー,山田登世子(訳),『文化の政治学』,1999年
    • 「文化,それは柔らかいものなのである」.日々生産される記号や社会的テクノクラシーの合理性の間隙をぬって,文化的実践は絶えず流動し変容する.惰性化した批評ではとらえきれないこの文化の始原の活力を把握するために,マスメディアや教育,都市の現在を縦横に批判し,新たな実践のプログラムを提示する.



フランス革命の文化的起源 (岩波モダンクラシックス)



連帯と自由の哲学―二元論の幻想を超えて (岩波モダンクラシックス)



中世文化のカテゴリー (岩波モダンクラシックス)

  • アーロン・グレーヴィチ,川端香男里/栗原成郎(訳),『中世文化のカテゴリー』,1999年
    • 西欧中世の民衆は,自分たちの生きる世界をどのように経験し,感じていたのか.本書は,現代人と隔絶した彼らの意識の深層に降り立ち,その時間意識や空間感覚,文化の内実としての法や慣習,富と労働の関係等をつぶさに明らかにする.バフチーンの流れを汲む著者によって,歴史学の側から切り開かれた異文化理解への道.



クラリッサの凌辱―エクリチュール,セクシュアリティー,階級闘争 (岩波モダンクラシックス)



魔女狩りの社会史―ヨーロッパの内なる悪霊 (岩波モダンクラシックス)

  • ノーマン・コーン,山本通(訳),『魔女狩りの社会史: ヨーロッパの内なる悪霊』,1999年
    • 大きな社会のただ中のどこかに,反社会的な嫌悪すべき習慣にふけっている秘められた小さな社会がある-この最初の妄想が,やがてヨーロッパで大規模な魔女狩りへとつながっていく歴史を追跡した本書は,異端分子の捏造と排除の社会力学を克明に描き出す.今世紀の大量殺戮メカニズムもまた,これと無縁ではありえない.



新フェミニズム批評―女性・文学・理論 (岩波モダンクラシックス)



ローカル・ノレッジ―解釈人類学論集 (岩波モダンクラシックス)

  • クリフォード・ギアーツ,梶原景昭(訳),『ローカル・ノレッジ: 解釈人類学論集』,1999年
    • 「我々自身のものではない理解を我々が理解するとはどういうことか」.異文化を我々の思考の言葉でとらえるためには,その領域固有の知のなかで考えなければならないと主張した表題論文のほか,卓越した人類学者の脱領域的な文化批評を集成する.解釈人類学の文化理論としての可能性を切り開いた記念碑的著作.



経済学の思考法―貨幣と成長についての再論 (岩波モダンクラシックス)



自己のテクノロジー―フーコー・セミナーの記録 (岩波モダンクラシックス)



テクストの読み方と教え方―ヘミングウェイ・SF・現代思想 (岩波モダンクラシックス)



帝国主義と知識人―イギリスの歴史家たちと西インド諸島 (岩波モダンクラシックス)



近代の哲学的ディスクルス (2) (岩波モダンクラシックス)



近代の哲学的ディスクルス (1) (岩波モダンクラシックス)



挑発としての文学史 (岩波モダンクラシックス)

  • H. R. ヤウス,轡田収(訳),『挑発としての文学史』,1999年
    • 文学史とは作家と作品の歴史のことではない.作品の生命は作品それ自身のなかにあるのではなく,それぞれの時代と環境を生きる読者による作品の受容や拒絶,再現実化の中にこそある-従来の文芸理論のエリート主義を破壊し,「受容の歴史」の重要性を説いて,ドイツでの激しい論争の火ぶたを切った傑作批評.



歴史・文化・表象―アナール派と歴史人類学 (岩波モダンクラシックス)