「岩波モダンクラシックス」目録リスト一覧
- E. H. カー,富田武(訳),『コミンテルンとスペイン内戦』,2010年
- スペイン内戦は、そのはらむ問題の多様性ゆえに、今日でも多くの関心を集めている。大著『ソヴィエト・ロシア史』に続き『コミンテルンの黄昏』で人民戦線戦術の形成を跡づけた著者が、資料的制約からこれまで研究が極めて不十分であった、内戦における人民戦線戦術の展開と外交的思惑の絡み合いを鋭く分析する、最後の著作。
- ジェフリー・ハーフ,中村幹雄/谷口健治/姫岡とし子(訳),『保守革命とモダニズム: ワイマール・第三帝国のテクノロジー・文化・政治』,2010年
- アイザイア・バーリン,田中治男(訳),『バーリン ロマン主義講義』,2010年
- 「私は今、どれだけ向こう見ずに思われようと、私にとってロマン主義の確信であると思われるものについて、語っておきたい」――ロマン主義革命がわれわれに遺した偉大なる達成とは何か。その諸相を鮮やかに浮かび上がらせた、アイザイア・バーリン(1909-97年)のA.W.メロン講義(1965年)の記録。稀代の碩学が語るロマン主義の真髄。
- J. ギャンペル,坂本賢三(訳),『中世の産業革命』,2010年
- 「暗黒時代」と称されてきた中世ヨーロッパ像に対し、12、3世紀に豊かな技術に彩られた産業革命を見出して、新たな光を投げかけた科学技術史の古典的名著。その射程は広く農業や建築からエネルギー資源、環境問題にまで及び、時代と社会を総体的に把握しようとする試みに叙述全体が貫かれている。
- テッサ・モーリス-鈴木,藤井隆至(訳),『日本の経済思想: 江戸期から現代まで』,2010年
- R. スキデルスキー,浅野栄一(訳),『ケインズ』,2009年
- J. H. エリオット,藤田一成(訳),『スペイン帝国の興亡 1469-1716』,2009年
- 世界史上で重要な意味をもつハプスブルグ朝スペイン。本書は、イサベル女王とフェルナンド王によって統合された一国家が、短期間のうちに新世界を含む一大帝国を形成して栄光の極に達し、しかも急速に没落していった原因は何かを主題とする。支配層の動向、民衆の叛乱、イベリア半島の中心部と周辺部の相剋等を軸に、250年に及ぶその栄光と悲惨の跡を、政治・経済・文化史にわたって鮮やかに再現し、見事な歴史叙述へと結実させている。
- K. D. ブラッハー,山口定/高橋進(訳),『ドイツの独裁: ナチズムの生成・構造・帰結 II』,2009年
- K. D. ブラッハー,山口定/高橋進(訳),『ドイツの独裁: ナチズムの生成・構造・帰結 I』,2009年
- S. ボウルズ/H. ギンタス,宇沢弘文(訳),『アメリカ資本主義と学校教育: 教育改革と経済制度の矛盾 II』,2008年
- S. ボウルズ/H. ギンタス,宇沢弘文(訳),『アメリカ資本主義と学校教育: 教育改革と経済制度の矛盾 I』,2008年
- G. W. オルポート/L. ポストマン,南博(訳),『デマの心理学』,2008年
- R. P. ドーア,松居弘道(訳),『学歴社会 新しい文明病』,2008年
- 教育が選別機能によって抑圧され,一片の卒業証書のために競争する「学歴社会」。これは新しい文明病であり、その克服なしには人間社会の未来はありえない。日本、イギリス、発展途上国の実態を歴史的に検討し、その比較・分析を通して本来の教育機能のための方策を具体的に提言した名著。近年の動向を踏まえた新稿を付す。
- R. ホーフスタッター,田口富久治/泉昌一(訳),『アメリカの政治的伝統: その形成者たち II』,2008年
- R. ホーフスタッター,田口富久治/泉昌一(訳),『アメリカの政治的伝統: その形成者たち I』,2008年
- I. イリイチ/B. サンダース,丸山真人(訳),『ABC: 民衆の知性のアルファベット化』,2008年
- N. ワシュテル,小池佑二(訳),『敗者の想像力: インディオのみた新世界征服』,2007年
- A. ガットマン(編),Ch. テイラー/J. ハーバーマスほか,佐々木毅/辻康夫/崎山恭一(訳),『マルチカルチュラリズム』,2007年
- 上山安敏,『フロイトとユング: 精神分析運動とヨーロッパ知識社会』,2007年
- C. ダグラス・ラミス,加地永都子(訳),『ラディカル・デモクラシー: 可能性の政治学』,2007年
- 酒井直樹,『日本思想という問題: 翻訳と主体』,2007年
- トマス・C・スミス,大塚久雄(訳),『近代日本の農村的起源』,2007年
- 江戸から明治前期にかけての日本経済史の研究は、戦後驚くべき発展をとげた。本書は、優れた米国人歴史家である著者がその成果を駆使して書き上げたものである。日米の異質な学問伝統の出会いが生み出した、清新な日本経済史像を示す。
- ポール・リクール,久米博(訳),『生きた隠喩』,2006年
- 現代におけるレトリックの複興はめざましい。言語のもつ創造性のもっとも明瞭な表現である“生きた隠喩”が、言語・記号活動の本質を捉えうるところに、レトリックの新しい意義が見出されるからである。本書は、アリストテレスから現代に至るレトリック理論に、言語と創造力との観点から新しい光をあて、その機能と構造を明らかにする。
- リチャード・カーン,浅野栄一/地主重美(訳),『ケインズ『一般理論』の形成』,2006年
- I. ウォーラーステイン,川北稔(訳),『近代世界システム: 農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立 II』,2006年
- I. ウォーラーステイン,川北稔(訳),『近代世界システム: 農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立 I』,2006年
- A. P. ダントレーヴ,久保正幡(訳),『自然法』,2006年
- ジョン・H・エリオット,越智武臣/川北稔(訳),『旧世界と新世界 1492-1650』,2005年
- ダニエル・ヴィドロシェ,古川冬彦(訳),『うつの論理』,2005年
- ピーター・ゲイ,成田篤彦/森泉弘次(訳),『歴史学と精神分析: フロイトの方法的有効性』,2005年
- フロイト理論の歴史学への適用が阻まれてきた原因を明らかにし,「エディプス・コンプレックス」「過剰決定説」等の概念と心理面からの人間分析が歴史を見る上で豊かな可能性をもつことを説く.豊富な資料による説得的立論,鋭い問題意識,平明な叙述を特長とする歴史家が,精神分析的歴史学(サイコヒストリー)を提唱した書物.
- カール・ポランニー,玉野井芳郎/中野忠(訳),『人間の経済: 交易・貨幣および市場の出現 II』,2005年
- カール・ポランニー,玉野井芳郎/中野忠(訳),『人間の経済: 交易・貨幣および市場の出現 I』,2005年
- ヴォルフガング・イーザー,轡田收(訳),『行為としての読書: 美的作用の理論』,2005年
- イヴァン・イリイチ,玉野井芳郎/栗原彬(訳),『シャドウ・ワーク: 生活のあり方を問う』,2005年
- ピーター・バーク,大津真作(訳),『フランス歴史学革命: アナール学派 1929-89年』,2005年
- 青木昌彦,『現代の企業: ゲームの理論から見た法と経済』,2001年
- 企業の動向を理解せずに経済の実態を語ることはできない.日本を代表する経済学者の手になる本書は,現代企業の新しい理論を提示する画期的な労作である.まず新古典派の企業理論の限界を明らかにし,代案として経営陣と従業員の協調に基づく経営参加モデルを構築する.国内外の企業の実情をふまえ展望を示した本書の意義は実に大きい.
- 松井透,『世界市場の形成』,2001年
- イギリスを中心として17,8世紀に環大西洋規模で世界市場が形成され,さらに19世紀前半にかけてアジアから全世界へと拡大・深化されていく過程を,統計資料を駆使して明らかにする.多大なデータ分析に基づいて作成した60数点の図表を提示しながら,偶然や無法をも伴ったその過程を的確に読み解き,世界史像構築に示唆を与える.
- 永原慶二,『日本の中世社会』,2001年
- 成瀬治,『世界史の意識と理論』,2001年
- 本書は,敗戦より現在にいたる30年余の間に世界・アジア・日本の現実が大きく変動していく中での,日本国民の世界史認識の歩みを,具体的な事例に即して跡づける.歴史学界だけでなく,隣接諸科学やジャーナリズムの領域をも含めて,その時々に提起された多様な問題と背後の歴史意識を,全体的なつながりのもとで考察する.
- 良知力,『ヘーゲル左派と初期マルクス』,2001年
- テツオ・ナジタ/前田愛/神島二郎(編),『戦後日本の精神史: その再検討』,2001年
- 真木悠介,『自我の起原: 愛とエゴイズムの動物社会学』,2001年
- 佐藤進一,『日本の中世国家』,2001年
- 井上光貞,『日本古代の国家と仏教』,2001年
- 赤羽裕,『低開発経済分析序説』,2001年
- 「低開発」状況を規定する基本要因を「共同体」的構成に求め,その視角からブラック・アフリカの伝統的農業生産様式の実態を検討,共同体を揚棄するための土地制度・産業構造・人間類型変革の開発モデルを構想する.さらに低開発経済工業化の問題を,EECの発展を中心とする,現代資本主義の動向との関連において究明する.
- 柴田三千雄,『近代世界と民衆運動』,2001年
- 近代世界の展開過程は,資本主義世界体制の構造化・再構造化の動きと地域世界から出てくる民衆運動の作用との接点においてとらえられねばならぬ-戦後歴史学の研究動向の総括の上に立ったこのような観点から,英・仏・独における近代国家形成の分析に主眼を置きつつ,近代世界の成立に至る世界史の動的な過程を描き出す.
- 遠山茂樹,『戦後の歴史学と歴史意識』,2001年
- 山之内靖,『社会科学の方法と人間学』,2001年
- 作田啓一,『価値の社会学』,2001年
- 文化・パーソナリティ・社会の相互関連を価値の問題を軸として考察する.即ち,文化の総体をその主体的行為者との関連で理解し,価値の次元に焦点を合せてとらえる.第1部は,行為,社会体系,責任,アノミーなどを扱った社会的価値に関する理論篇であり,第2部では,日本社会における価値体系の特質を鋭く観察し分析する.
- 久野収,『歴史的理性批判序説』,2001年
- ファシズムに対する徹底的な反省を契機として,独自の哲学的思索を展開してきた著者の論文集.ヨーロッパにおける理性概念の歴史的展開過程をたどりなおし,その意味を確定することによって,〈近代的理性〉のひずみを根底から照射し,社会形態の変革と歴史的理性との関係を問う〈歴史的理性批判〉のための視座を設定する.
- チャールズ・テイラー,渡辺義雄(訳),『ヘーゲルと近代社会』,2000年
- ユルゲン・ハーバーマス,三島憲一/中野敏男/木前利秋(訳),『道徳意識とコミュニケーション行為』,2000年
- 大著『コミュニケーション的行為の理論』によって,哲学と社会科学一般に多大な思想的影響を及ぼしたハーバマス.生活世界の植民地化からの解放を求めて理論構築に苦闘するハーバマスが赴いた次のシーンは,倫理と道徳にかかわる意識・認識の問題であった.ガーダマー,アーペル,コールバーグとの思想的対決を試みる.
- ロバート・ダーントン,関根素子/二宮宏之(訳),『革命前夜の地下出版』,2000年
- J. N. シュクラー,田中成明(訳),『リーガリズム: 法と道徳・政治』,2000年
- バーバラ・A.バブコック(編),岩崎宗治/井上兼行(訳),『さかさまの世界』,2000年
- 謝肉祭に見られる王と臣下,男と女,動物と人間の転倒などの象徴的地位逆転現象は,フレーザー以来「未開」民族において広く知られるが,その淵源はギリシア民衆文化に溯る.本書は人間の象徴行為の核心をなす逆転過程の諸例を西欧の絵画や文学に探り,その社会的・文化的働きを明らかにしたユニークな論文集.
- P.G.ボガトゥイリョーフ,千野栄一/松田州二(訳),『呪術・儀礼・俗信: ロシア・カルパチア地方のフォークロア』,2000年
- E. ウィリアムズ,川北稔(訳),『コロンブスからカストロまで: カリブ海域史、1492-1969 II』,2000年
- E. ウィリアムズ,川北稔(訳),『コロンブスからカストロまで: カリブ海域史、1492-1969 I』,2000年
- ガーダマー/アーペルほか,竹市明弘(訳),『哲学の変貌: 現代ドイツ哲学』,2000年
- ジャック・デリダ,飯吉光夫/小林康夫/守中高明(訳),『シボレート: パウル・ツェランのために』,2000年
- フランソワ・フュレ,大津真作(訳),『フランス革命を考える』,2000年
- ロバート・スコールズ,富山太佳夫(訳),『記号論のたのしみ: 文学・映画・女』,2000年
- バーナード・クリック,河合秀和(訳),『ジョージ・オーウェル: ひとつの生き方 下』,2000年
- バーナード・クリック,河合秀和(訳),『ジョージ・オーウェル: ひとつの生き方 上』,2000年
- クェンティン・スキナー,半澤孝麿/加藤節(訳),『思想史とはなにか: 意味とコンテクスト』,1999年
- 従来の政治思想史叙述を非歴史的と断じ去って登場した「新しい思想史学」の旗手スキナーは,当然のごとく厳しい反批判にさらされた.本書では,言語行為論から解釈学,さらには新批評までを視野におさめながら,それらの批判に答えつつ,合理性概念の再検討を軸とする自らの思想史学の核心を,大胆に語っている.
- ミシェル・ド・セルトー,山田登世子(訳),『文化の政治学』,1999年
- 「文化,それは柔らかいものなのである」.日々生産される記号や社会的テクノクラシーの合理性の間隙をぬって,文化的実践は絶えず流動し変容する.惰性化した批評ではとらえきれないこの文化の始原の活力を把握するために,マスメディアや教育,都市の現在を縦横に批判し,新たな実践のプログラムを提示する.
- ロジェ・シャルチエ,松浦義弘(訳),『フランス革命の文化的起源』,1999年
- R. ローティ,冨田恭彦(訳),『連隊と自由の哲学: 二元論の幻想を超えて』,1999年
- アーロン・グレーヴィチ,川端香男里/栗原成郎(訳),『中世文化のカテゴリー』,1999年
- 西欧中世の民衆は,自分たちの生きる世界をどのように経験し,感じていたのか.本書は,現代人と隔絶した彼らの意識の深層に降り立ち,その時間意識や空間感覚,文化の内実としての法や慣習,富と労働の関係等をつぶさに明らかにする.バフチーンの流れを汲む著者によって,歴史学の側から切り開かれた異文化理解への道.
- テリー・イーグルトン,大橋洋一(訳),『クラリッサの陵辱: エクリチュール,セクシュアリティー,階級闘争』,1999年
- ノーマン・コーン,山本通(訳),『魔女狩りの社会史: ヨーロッパの内なる悪霊』,1999年
- エレイン・ショウォールター,青山誠子(訳),『新フェミニズム批評: 女性・文学・理論』,1999年
- クリフォード・ギアーツ,梶原景昭(訳),『ローカル・ノレッジ: 解釈人類学論集』,1999年
- 「我々自身のものではない理解を我々が理解するとはどういうことか」.異文化を我々の思考の言葉でとらえるためには,その領域固有の知のなかで考えなければならないと主張した表題論文のほか,卓越した人類学者の脱領域的な文化批評を集成する.解釈人類学の文化理論としての可能性を切り開いた記念碑的著作.
- J. R. ヒックス,貝塚啓明(訳),『経済学の思考法: 貨幣と成長についての再論』,1999年
- ミシェル・フーコー, 田村俶/雲和子(訳),『自己のテクノロジー: フーコー・セミナーの記録』,1999年
- R. スコールズ,折島正司(訳),『テクストの読み方と教え方: ヘミングウェイ・SF・現代思想』,1999年
- E. ウィリアムズ,田中浩(訳),『帝国主義と知識人: イギリスの歴史家たちと西インド諸島』,1999年
- ユルゲン・ハーバーマス,三島憲一(訳),『近代の哲学的ディスクルス II』,1999年
- ユルゲン・ハーバーマス,三島憲一(訳),『近代の哲学的ディスクルス I』,1999年
- H. R. ヤウス,轡田収(訳),『挑発としての文学史』,1999年
- 文学史とは作家と作品の歴史のことではない.作品の生命は作品それ自身のなかにあるのではなく,それぞれの時代と環境を生きる読者による作品の受容や拒絶,再現実化の中にこそある-従来の文芸理論のエリート主義を破壊し,「受容の歴史」の重要性を説いて,ドイツでの激しい論争の火ぶたを切った傑作批評.