Elizabeth S. Scott, Laurence Steinberg, Rethinking Juvenile Justice



Rethinking Juvenile Justice

  • Elizabeth S. Scott, Laurence Steinberg, Rethinking Juvenile Justice
    • 『少年裁判を考え直す』(2008年に出た本のペーパーバック化)
       青少年の犯罪に対して、我々はどう対処すべきなのか。彼らは子供であり、犯罪行為は未熟さと環境の引き起こした結果なのか。それとも、彼らもまた、それぞれ一人の犯罪者なのか。
       ここ20年のあいだ、「adult time for adult crime」(未成年であっても重大犯罪は成年として裁判にかけられる)が、裁判システムのマントラであった。ところが、収監される少年の数が増大したことで、国家予算への負担が大きくなってきた。さらに皮肉なことに、結果的に犯罪数が増えているというデータまである。
       本書は、法学と青少年発達学それぞれの主導的研究者が、議論を先に進めるための包括的かつ実践的な方法を説いた大胆な著書である。その主張は、少年裁判は最新の心理学に基づくものでなければならないというものだ。そして、心理学的には、少年期というのは認知においても情動においても、他の時期とはまったく異なる段階だというのだ。少年は児童ではないが、完全な責任能力をもった成年でもないのだ。
       二人の著者はまず、青少年の未熟さを考慮し、かつ青少年にも一定の責任を求めるような少年裁判の新しい発達モデルを紹介する。法や政策が発達学の知見に基づいたものとなっていれば、犯罪に手を染めてしまった若者も、常習犯となるのではなく、責任ある成年へと成長することが可能になる。そうなれば、法システムや監獄システムへの負担も軽減されるはずだ。最後に、このモデルによってより望ましい形で正義が実現されることになり、また従来の厳しいだけで効果の少ない政策にくらべて、金と生命の無駄遣いを減らすことになるはずだ。