Peter C. Perdue, China Marches West: The Qing Conquest of Central Eurasia



China Marches West: The Qing Conquest of Central Eurasia

  • Peter C. Perdue, China Marches West: The Qing Conquest of Central Eurasia
    • 『中国の西進: 清の中央ユーラシア征服』(2005年に出た本のペーパーバック化)
       1600年頃から1800年頃にかけて、中国の清帝国は前代未聞の規模にまで拡大した。満洲族の支配者たちは、巧みな外交、経済的投資、中央ユーラシアの心臓部への度重なる大胆な軍事作戦によって、モンゴルのジュンガルを倒し、現在の新彊とモンゴルの全体を支配下に収め、チベットに対する強い影響力を得た。我々が知っている中国は、これら大規模な征服活動の産物である。
       著者はこのあまり知られていない、中国の北西方向への拡大の物語を年代順に記録していく。清朝はそれまでの王朝とは異なり、ユーラシア大陸の頭部全体に対する支配を長期にわたり持続することができた。清朝の支配者たちは、抵抗に対しては武力による抑圧で臨む一方、平和的な手段による人心掌握も試みている。辺境部の経済と行政の発展のために膨大な投資を行い、交易のネットワークを整備し、各地の文化に合わせて儀式のやり方を調整したのだ。
       著者は、中国が中央ユーラシアを支配下におくに至った経緯、その支配を正当化する論拠、国民の統合を維持することができた要因、イスラム世界やモンゴルとの関係構築について、次々と明らかにしていく。それに加え、他の植民帝国との比較も一読の価値があるし、また中国の領土拡大がのこした遺産についての議論もある。今日、北京政府は、独裁的支配を拒む辺境地区の民族からの抵抗にあっている。しかしその一方で、中国は国内の大胆な開発プログラムにも着手しているが、これは多くの面で、清朝時代の政策の反復だといえるのだ。
       本書は、中央ユーラシアに対する我々の理解を根本から変える力作である。