Robert Max Jackson, Destined for Equality: The Inevitable Rise of Women's Status



Destined for Equality: The Inevitable Rise of Women’s Status

  • Robert Max Jackson, Destined for Equality: The Inevitable Rise of Women's Status
    • 『平等化は既定路線: 女性の地位の不可避的な上昇』(1998年に出た本のペーパーバック化)
       米国に、男女の不平等はまだある。しかしこの挑発的な本で、著者は、ジェンダー不平等が不可逆な崩壊過程にあると説く。本書はジェンダー不平等の現代における衰退についての、統一的な分析としては最初のものである。本書は、過去2世紀間にわたって展開されてきた米国における平等運動の展開を語り、そこで女性の地位が一貫して上昇し続けていることを示すのである。
       著者の主張はこうだ。女性の地位の上昇には、近代的な政治組織や経済組織が誕生し、それによってジェンダーに関する制度的な優先順位が変化したことが大きく貢献している、と。政治家やビジネスマンは、個人としては、女性が伝統的な役割を担い続けるべきだと考えるのが、やはり一般的であった。ところが、不平等が存在することは、近代の企業や政府にとっては単純に利益にならないのである。利潤を求める、票を求める、組織としての合理性を求める、安定性を求める、そうした目的にとっては、ジェンダー中立的なアプローチの方が望ましいのであって、それは結局、女性の地位を改善することになる。つまり、組織利益にとって不可欠のジェンダー不偏性が、その組織を経営する男性たちの偏向的選好に打ち勝ったということだ。
       もともとジェンダーの差異に無関心な大規模組織に経済力が入り込んでくることで、家父長制モデルはその社会的、文化的な支配力を失い、それによって地位上昇を求める女性たちの不断の努力は、確実に身を結び続けてきたのだ。完全なジェンダー平等の実現は、もう予定されている。あとは、ジェンダー平等が実現された社会がどんなものになるのか、それがいつ、どのようにして実現にいたるのか、ということだけだ。