Patrick D. Jones, The Selma of the North: Civil Rights Insurgency in Milwaukee



The Selma of the North: Civil Rights Insurgency in Milwaukee

  • Patrick D. Jones, The Selma of the North: Civil Rights Insurgency in Milwaukee
    • 『北部のセルマ: ミルウォーキーにおける公民権暴動』(2009年に出た本のペーパーバック化)
       1958年から1970年にかけて、ミルウォーキーで起こった反人種差別運動は、ちょっと他では見られない特徴をもっていた。歴代の市長が、雇用や居住区の差別、公立学校の隔離、公職就任上の差別、福祉切り捨て、警察の暴力に反対するキャンペーンに参加することを、市民に呼びかけ続けたのである。
       ミルウォーキー運動は、1967年の劇的な(そして暴力を含む)公正住宅キャンペーンで頂点に達する。ジェイムズ・グロッピは、白人のカトリック司祭であったが、NAACPの青年評議会や武装部隊を指揮して200日に及ぶ武力闘争を戦い、数千人の白人居住者の怒りを買った。デモ隊が労働者階級の暴徒に襲撃されるにいたって、ミルウォーキーは「北部のセルマ」と呼ばれるようになった。また、公正住居キャンペーンが、非暴力で人種混合的で教会を基盤とした運動に対する最後の抵抗を表していたと考える人もいる。
       著者が語る力強く劇的な物語は、非暴力と武装自衛のあいだの論争、ブラックパワーの意味、地方運動と全国運動の関係、北部運動と南部運動のあいだの力学、これら公民権の歴史に対する知見を深めるのに重要な位置を占めるものだ。本書は、北部都市部における運動史に対する価値ある貢献であり、同時に、米国史に重大な一ページを付け加えるものである。