青土社 新刊一覧(2010年)


2010年10月



指紋論 心霊主義から生体認証まで

  • 橋本一径,『指紋論: 心霊主義から生体認証までNEW!!
    • 19世紀後半、身元確認の手段として発見された〈指紋〉が与えた知られざる衝撃、指紋を残す 「幽霊」 たち、指紋捜査に冷淡な名探偵ホームズ、指紋採取に対する市民の嫌悪感情――。社会問題からオカルトまで歴史の謎めいた諸断片を渉猟し、近代的主体の変貌を鮮やかに描き出す、逆説の身体・社会論。



デカルトの骨 死後の伝記

  • ラッセル・ショート,松田和也(訳),『デカルトの骨: 死後の伝説NEW!!
    • 〈近代哲学の父〉にして、解析幾何学創始者、自然科学に基づく今日の世界観をつくったとされるデカルト。近代をめぐる最大のミステリーは、彼が死に、16年後に遺骨が掘り出されたところからはじまる――。骨はどこへ消えた? 最も面白く、最も知的なノンフィクション !!



ことばの哲学 関口存男のこと

  • 池内紀,『ことばの哲学: 関口存男のことNEW!!
    • 「存男」 を 「つぎお」 と訓むのはむずかしい。「ぞんだん」 と音読みする人もいるだろう――。「語学の鬼才」 関口存男を知らずしても十分に面白い! エッセイの名手が描き出す 「ことばのうちにあって、ことばで語りえぬもの」。



暴力 6つの斜めからの省察



1492 コロンブス 逆転の世界史

  • フェリペ・フェルナンデス‐アルメスト,関口篤(訳),『1492 コロンブス: 逆転の世界史NEW!!
    • 絢爛たる独自文化で繁栄するインド、中国、イスラム圏、日本などに、その後進性から蔑み・無視された、コロンブス新大陸発見当時のヨーロッパ諸国。1492年を分岐点に、現代をも束縛する西欧による世界再編と覇権の謳歌はなぜ可能になったのか。そのダイナミズムを詳細に追う、歴史学の第一人者による白熱の成果。


2010年9月



バットマンになる! スーパーヒーローの運動生理学



膨張する監視社会 個人識別システムの進化とリスク

  • デイヴィッド・ライアン,田畑暁生(訳),『膨張する監視社会――個人識別システムの進化とリスク
    • 9・11以降ますます精緻化する監視システムとは? いまや監視社会は電子化・国際化による市民識別管理にシフトした。生体認証システムや ID カードシステム整備をめざす政府とその利潤に群がる企業群。セキュリティと自由のバランスをどこに見出すのか? 監視社会論の第一人者が、電子監視社会の進化形を手際よく総覧し、市民識別の視点からあざやかに斬る。



天才だもの。 わたしたちは異常な存在をどう見てきたのか

  • 春日武彦,『天才だもの。――わたしたちは異常な存在をどう見てきたのか
    • 「天才とは何であるかを説明しようとすると、どうして誰もがつまらぬことばかり言うのだろう。」伝記からフィクションまで、いつも奇人変人扱いされてきた 「天才」 たち。精神医学のみならず文芸批評や小説執筆など幅広い分野で執筆活動を続ける著者が 「天才」 というテーマに初めて切り込む。



ニムオロ原野 風露荘の春秋 野鳥の楽園を夢みて

  • 高田勝,『ニムオロ原野 風露荘の春秋――野鳥の楽園を夢みて
    • ニムオロとは北海道の根室の語源となったアイヌ語の地名。都会から野鳥の楽園の創出を夢見てニムオロに移住した著者が、35年にわたる悲喜交々の人間模様や風物観察記をまとめたエッセイ。ネットで検索すればあらゆる情報がいとも容易に手に入る時代に、経験と観察からしか得られない貴重なエピソードを描く深みある一書。



哲学的なものと政治的なもの 開かれた現象学のために


2010年8月



解明される宗教 進化論的アプローチ

  • ダニエル・C・デネット,阿部文彦(訳),『解明される宗教――進化論的アプローチ
    • 宗教は人類至高の精神的所産なのか?それとも不幸な軋轢をもたらす躓きの石なのか?現代哲学の重鎮デネットがついに宗教の謎と矛盾に取り組んだ。指向的構え、ミーム、信念の思考など諸科学の概念を駆使し、人類史の精神過程をあくまで科学的・論理的に解明する、瞠目の書。



フンころがしの生物多様性 自然学の風景

  • 塚本珪一,『フンころがしの生物多様性――自然学の風景
    • 排泄物や死骸を糧とするフンころがし(糞虫)は、自然界の底辺で壮大な循環を支える貴重な生き物だ――。長年にわたってフィールドワークを重ねてきた第一人者が、フン虫と生物多様性の切っても切れない世界観を、つぶさに確かめ描きなおす、ユニークな昆虫記。



和辻倫理学を読む もう一つの「近代の超克」

  • 子安宣邦,『和辻倫理学を読む――もう一つの「近代の超克」
    • 日本的学知の頂点にそびえる和辻哲郎畢生の代表作『倫理学』。昭和の戦争をまたいで刊行されたこの大著に、いかなる思想的事件がはらまれていたのか?敗戦後ほどこされた「修正」を検証し浮かびあがってきた刻印とは?西欧近代に渾身で応答しようとした思想的営為の栄光と挫折を、われらの課題として批判的に読み解く。



名画で読む聖書の女たち

  • 秦剛平,『名画で読む聖書の女たち
    • 受胎告知を受けたもう一人の聖女、民族を救った美貌の王妃から、近親相姦で人類を救おうとした女、娼婦に化けてしゅうとを騙した女、敵将の首をかき取った猛女まで。世界最高の古典を華やかかつ妖しく彩る過激な女たちの相貌を、あますところなく絵解きする。画像200点。



身体補完計画 すべてはサイボーグになる

  • 原克,『身体補完計画――すべてはサイボーグになる
    • 義肢、臓器移植、人工臓器からテレパシー研究、パワードスーツ、そして人間増幅器まで…。生体と機械がその領域を超えて「境界侵犯」したとき、混沌と織りなす複合体、すなわちサイボーグ的身体は誕生した。20世紀の身体表象を解き明かす。



大川周明 イスラームと天皇のはざまで


2010年7月



生命壱号 おそろしく単純な生命モデル



美しい科学2 サイエンス・イメージ

  • ジョン・D・バロウ,桃井緑美子(訳),『美しい科学2――サイエンス・イメージ
    • 現代科学のスーパースター量子ともつれる光子、複雑がゆえに美しいフラクタル図、超一級の知的パズル、無限とメビウスの環、未知の物質を言い当てた元素周期表、生命の核心に迫る二重らせん・DNAの発見・・・・・・。巨万の富ばかりか、人類の幸せに直結する新発見・新発明は、荘厳な自然界からの甘美な誘惑。その秘密に挑んだ科学者の知的遺産とは――。ダイナミックな知と想像力がんだ、奇跡と冒険に満ちた科学革命の大パノラマ。



美しい科学1 コズミック・イメージ

  • ジョン・D・バロウ,桃井緑美子(訳),『美しい科学1――コズミック・イメージ
    • 星月夜を描く画家ゴッホが魅せられた渦状銀河。かに星雲は遠い宇宙からの吉兆なのか、それとも地球外生命の通信基地なのか。人工衛星が捉えた激しく明滅する夜の地球と、月から見た青い地球の穏やかさの対照性。大いなる情熱で追跡されたUFOから雪の結晶まで。初の人体解剖図とノミの顕微鏡写真が伝える生命の神秘・・・・・・。全て百聞は一見にしかず――。



飢えたピラニアと泳いでみた へんであぶない生きもの紀行



数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方



ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること



蝶も蛾もうつくしい 虫屋なる日々



2010年6月



追憶のハリウッド’60s もうひとつのディラン詩集

  • ボブ・ディラン/バリー・フェインスタイン,中川五郎(訳),『追憶のハリウッド'60s――もうひとつのディラン特集
    • ディランが彗星の如く現れ、「時代は変わる」と謳い上げた1960年代―友人の写真家、バリー・ファインスタインが撮ったハリウッドのポートレイトの数々にインスピレーションを得て執筆した詩の一群が、40年以上の歳月を経て再発見された。話題沸騰の詩写真集、待望の本邦初訳。



仏像が来た道

  • 杉山二郎,『仏像が来た道
    • 今われわれに深い感動を呼び起こす仏像は、なぜこのような姿かたちにたどりついたのか?かたちとその背後にある信仰・歴史・人間の営みを跡づけ、千年にわたる仏像誕生と来歴のドラマをたどる。




ゴキブリだって愛されたい 昆虫たちの都市伝説

  • メイ・R・ベーレンバウム,久保儀明(訳),『ゴキブリだって愛されたい――昆虫たちの都市伝説
    • 広大な野山やコンクリート・ジャングルを自在に徘徊する虫たちの、不思議いっぱいの知られざる生態の数々。カワイイから気味悪いまで、虫の習性と姿形に投影された、現代人の情感とイメージを多角的に分析する、文化昆虫学の可能性―。



リハビリテーション身体論 認知運動療法の臨床×哲学

  • 宮本省三,『リハビリテーション身体論――認知運動療法の臨床×哲学
    • 脳が損傷し、体性感覚が変容し、動かなくなった身体…。その失われた世界にふたたび意味を与えるためにできることは、無理やり身体を動かすことではなく、脳の認知過程を適切に活性化させ、感じ、思考することなのである。運動麻痺に苦しむ人々が私自身という主体を取り戻すために、リハビリテーションを「見える身体」から「見えない身体」の治療へと変える、脳と身体をめぐる思考の結晶としての認知運動療法の挑戦。


2010年5月



光るクラゲ 蛍光タンパク質開発物語



アマリアの別荘

  • パスカルキニャール高橋啓(訳),『アマリアの別荘
    • 夫の浮気を知ったアンは、決然とすべての生活を“処分”して、新たな人生を始めるための旅に出る。さまざまな出逢いが交錯し、思いがけない事態が迫りくる。彼女は安らぎの場所を見いだせるのか?…現代フランスを代表する作家の集大成にして傑作長篇。



宗教とは何か

  • テリー・イーグルトン,大橋洋一/小林久美子(訳),『宗教とは何か
    • ドーキンスらの科学万能主義が蔓延する現代にあって、宗教はやはり阿片にすぎないのか。後期資本主義の格差・貧困を打開する可能性は、革命と救済を目指す宗教にあるのではないか。知の巨人・イーグルトンによる画期的宗教論。



東京から 現代アメリカ映画談義 イーストウッド、スピルバーグ、タランティーノ




不可能を証明する 現代数学の挑戦

  • 瀬山士郎,『不可能を証明する――現代数学の挑戦
    • トポロジー・群・無限…、「解けない問題」が数学を進化させた!定規とコンパスだけでは引けない角の3等分線、公式を使って解けない5次方程式、正しいかどうか証明できない問題…。数学の世界には解けない問題がたくさんある。それでは、「なぜ」解けないのか?ほんとうの知的冒険はこの探究からはじまる!ユークリッドの『原論』からゲーデル不完全性定理まで、数学のエレガントな発想を堪能できる名解説。


2010年4月



食べる

  • 西江雅之,『食べる
    • 「食べられるもの」と「食べ物」は何がちがうの?世界を旅して、その土地の言葉も習慣も吸収してしまう驚異の文化人類学者が、これまでのすべての経験から考えた、味わい深い「食べる」をめぐる20のはなし。




不純なる教養

  • 白石嘉治,『不純なる教養
    • 資本主義の終わりを、われわれはどのように生きればいいのか?時間と場所を倒錯させ、無数の新たな夢をつむぐための「不純なる教養」。




サキソフォン物語 悪魔の角笛からジャズの花形へ

  • マイケル・シーゲル,諸岡敏行(訳),『サキソフォン物語――悪魔の角笛からジャズの花形へ
    • 最もあとで生まれ、最もはやく世界に広まった人気楽器の魅力の秘密とは?伝説のミュージシャンのインタビューもまじえながら、その歴史と薀蓄に深く分け入る。ジャズ、クラシック、ブラスバンド、R&B…あらゆるジャンルをこえて愛され続けるサックスのすべてが詰め込まれた決定版。



肖像画論 モーツァルトの肖像をめぐる15章



落葉隻語 ことばのかたみ

全身全霊で書きつづられた、次の世代へのメッセージ。



文化を交叉させる 人類学者の眼

  • 川田順造,『文化を交叉させる――人類学者の眼
    • 声・身振り・絵解きが中心的伝達手段の、アフリカ無文字社会の日常。対照的に、過剰・多様な文字表現が駆使される日本の伝統。全く異なる文化空間を自在に往還し、「人間」とは誰か、「文化」とは何かを探求する、人類学の第一人者の思考のエッセンス。


2010年3月



神話が考える ネットワーク社会の文化論



ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性



考える皮膚 触覚文化論(増補新版)



魔術師たちのルネサンス 錬金術からコスモロジーへ



政教分離を問いなおす EUとムスリムのはざまで

  • ルネ・レモン, 工藤庸子/伊達聖伸(訳),『政教分離を問いなおす――EUとムスリムのはざまで
    • 宗教と国家の錯綜した関係をふまえ、政教分離の原則とともに、創造すべき価値として生まれた「ライシテ」。「スカーフ事件」をはじめ、社会のなかに信仰を位置づけるための葛藤や模索がさまざまにつづくなか、フランス屈指の歴史学政治学の泰斗が、われわれの背後に広がる歴史的、地政学的な文脈から、リベラリズム多文化主義など世界のアクチュアルな問題に応答しつつ、具体的な例をとおして思考する。日本の読者のための詳細な「用語解説」・「関連年表」・「訳者解説」付き。



パラドクスだらけの生命 DNA分子から人間社会まで

  • アンドレアス・ワグナー,松浦俊輔(訳),『パラドクスだらけの生命――DNA分子から人間社会まで
    • 「利他的」でもあり「利己的」でもある親鳥の子育てやアリの捨て身攻撃、「リスク」でもあり「安全策」でもある水棲生物の陸上進出やDNAの突然変異…。生命活動のさまざまな場面で「逆説」が姿を見せるのは偶然ではない。それは生命が生命たりうる究極の原理なのだ。最先端のあらゆる領域を駆け巡り、大胆に生命の謎に迫る。


2010年2月



ドゥルーズと創造の哲学 この世界を抜け出て



大義を忘れるな -革命・テロ・反資本主義-



にほんごの話




王国と栄光 オイコノミアと統治の神学的系譜学のために



数秘術大全

  • アンダーウッド・ダッドリー,森夏樹(訳),『数秘術大全
    • 数に隠された神秘の力を解き明かそうとした古今の数秘術者たち。その歴史と理論を網羅し、現代数学の視点から徹底検証。



2010年1月

なし