勁草書房 新刊一覧(2010年)
勁草書房の新刊を随時アップしていきます。
なかでもシリーズ物については別の一覧ページをつくっています。
2010年11月
- 河原純一郎/坂上貴之(編),『心理学の実験倫理: 「被験者」実験の現状と展望』 NEW!!
- 実験心理学研究では、参加者を効率的に集め、適切な倫理的配慮を行うことが重要な問題である。本書では心理学に関連する倫理規程から、何が求められているかを読み解き、研究を進める上で必要な手続きを解説する。また参加者プールの運用例、謝礼や個人情報の管理など、参加者を募る上で実際に行われている工夫や困難を紹介する。
- 長名寛明,『資源配分機構の設計と外部性』 NEW!!
2010年10月
- 重田園江,『連帯の哲学I: フランス社会連帯主義』 NEW!!
- 長坂純,『契約責任の構造と射程: 完全性利益侵害の帰責構造を中心に』 NEW!!
- 菱山豊,『ライフサイエンス政策の現在: 科学と社会をつなぐ』 NEW!!
- 佐藤博樹/永井暁子/三輪哲(編),『結婚の壁: 非婚・晩婚の構造』 NEW!!
- 少子化の背景には未婚化が存在する。なぜ結婚しないのか、できないのか。これらは個々人の問題ではなく社会構造の変化に原因がある。「婚活」が活発化している一方、「結婚難民」の存在も大きな社会問題となっている。本書は、男女の出会いの機会や結婚への意欲、結婚に至る経路を決めるさまざまな要因について、多様な調査データを用いて実証的に明らかにする。若者の結婚に立ちはだかるさまざまな「壁」に接近し、乗り越えるための方策を提示するものである。
- 田中滋/川渕孝一/河野敏鑑(編),『会社と社会を幸せにする健康経営』 NEW!!
- 安彦忠彦/石堂常世(編),『最新教育原理』 NEW!!
- 教育学を学ぶ人と教職を志す人のために、基礎的事項をわかりやすく解説しつつ、最新の教育課題も取り上げた「教育原理」のテキスト。2011年度に小学校から順次正式実施される、新学習指導要領の内容を念頭に置き、好評を博した『現代教育の原理と方法』の内容を全面的に改訂。教育学の基本はもちろん、「外国語活動」や「特別支援教育」などの新しい実践領域や、現在の学校が直面している現代的課題についても論じる。教育学を学ぶすべての人のための実践的入門書。
- 中根允文/吉岡久美子/中根秀之,『心のバリアフリーを目指して: 日本人にとってのうつ病、統合失調症』 NEW!!
- 信原幸弘/原塑/山本愛実(編),『脳神経科学リテラシー』 NEW!!
- 近年著しく発展している脳神経科学。多様な成果をもたらすとともに、心の解明を通して私たちの生き方や人間観にまで影響を及ぼす可能性を秘めている。害を減らしてたくさんの恩恵を引き出すために、必要な知識や心構えとは何か。研究成果が生活や社会にどう関わるのかを知り、新しい事態に的確に判断を下せるようになるための15章。
- 田村智明,『法解釈の正解: 個性尊重主義の秘密』 NEW!!
- 野村茂治,『夫婦間の協調と家族の和: 家族の経済学』 NEW!!
2010年9月
- トラン・ヴァン・トウ,『ベトナム経済発展論: 東アジアの中の市場移行』
- 田中素香(編),『世界経済・金融危機とヨーロッパ』
- 遠藤薫,『日本近世における聖なる熱狂と社会変動』
- 何らかの財の配分の変化、すなわち経済変化や政治変化として社会変動を理解するのではなく、社会の根拠の変化、すなわち宗教と文化の変化として社会変動を考察しよう。〈社会〉の原義には「まつり」があることにも着目しながら、「おかげまいり」「ええじゃないか」「忠臣蔵」「からくり」などを例に、宗教と社会変動を日本に観察する。
- 松本保美,『オペラと経済学』
- 渡辺哲男,『「国語」教育の思想: 声と文字の諸相』
- 及川敬貴,『生物多様性というロジック: 環境法の静かな革命』
- 高崎経済大学附属地域政策研究センター(編),『社会的排除と格差問題: 地域社会による問題解決』
2010年8月
- 鎌野邦樹,『マンション法案内』
- マンションを買い、入居し、居住を続けていく、その間、建物を維持・管理をしていき、定期的に大規模修繕をし、最終的には建て替える。いわばマンションの一生の間、様々な法的問題が生じる。マンションの一生を時系列で具体的な事例を通して解説する。教育的配慮を行き届かせた、第一人者によるはじめてのマンション法入門書である。
- ミレヤ・ソリース/バーバラ・スターリングス/片田さおり(編),片田さおり/浦田秀次郎(監訳),岡本次郎(訳),『アジア太平洋のFTA競争』
- 飯田洋介,『ビスマルクと大英帝国: 伝統的外交手法の可能性と限界』
- 檜垣立哉/村瀬鋼(編),『哲学という地図: 松永哲学を読む』
2010年7月
- ティム・クレイン,植原亮(訳),『心の哲学: 心を形づくるもの』
- 志向性とは心が対象に向けられているということであり、心的現象の本質的な特徴である。心を科学的に位置づけようとする物理主義的還元が全盛を迎えているなか、本書では志向性という概念を通して日常的な観点と連続した形で心的現象を哲学的に明確化し、意識や知覚とはどのような心的現象なのかという心の十全な理解への道を示す。
- 渡辺利夫/21世紀政策研究所(監修),朱炎(編),『国際金融危機後の中国経済: 内需拡大と構造調整に向けて』
- 馬場啓一/木村福成/田中素香(編),『検証・金融危機と世界経済: 危機後の課題と展望』
- ベルナール・サラニエ,細江守紀/三浦功/堀宣昭(訳),『契約の経済学 第二版』
- 松本俊吉(編著),『進化論はなぜ哲学の問題になるのか: 生物学の哲学の現在』
- マイケル・サンデル,金原恭子/小林正弥(訳),『民主政の不満: 公共哲学を求めるアメリカ 上』
- 政治的制度は、それとは独立に育まれる思想を実現するための単なる道具ではない。政治的制度はそれ自身が思想の具現なのである。我々が正義の意味や善き生の本質といった究極的問いに抗いたくとも、我々は何らかの理論を生きているということからは逃れられないのだ。この立場から、アメリカ憲政論とその公共哲学を論じた現代の古典。
2010年6月
- 遠藤薫,『三層モラルコンフリクトとオルトエリート: 社会変動をどうとらえるか3』
- かつて「歴史を動かしていた」のは英雄たちだった。時代は変わった。現代においては「英雄」たちは絶滅した。「グローバリゼーション」の時代に残っているのは「顔のない群衆」と「有名人」だけである。では今、社会は「変化」するのだろうか。誰が変化を望むのだろうか。大衆社会論と情報社会論を交差させながら論じられる変動の担い手論。
- 天児慧/三船恵美(編),『膨張する中国の対外関係: パクス・シニカと周辺国』
- 押村高,『国際政治思想: 生存・秩序・正義』
- 塩川伸明,『冷戦終焉20年: 何が、どのようにして終わったのか』
- 現代世界論の試み。社会主義をどのように価値的に評価するか──それを擁護したり、再興を目指したりするかどうか──ということとは別次元の問題がたしかに存在する。歴史的な事実として無視できない現実的重みをもったこと、そしてその後におけるその重みの急速な低落。それらはこの間の世界全体の転換の構成要素をなしているのだ。
- 小野秀誠,『利息制限の理論』
2010年5月
- ジェイコブ・ヴァイナー,中澤進一(訳),『国際貿易の理論』
- 杉原由美,『日本語学習のエスノメソドロジー』
- 地域や大学で行われている日本語の学習場面において、「外国人/日本人」というカテゴリー化はいかに形成されるのか。相互学習型活動の実践と参与観察から、非対称的な関係性の中で異質性が顕在化するメカニズムを解明。さらに、「対立」の克服に至る「協働」の現象を分析し、多言語・多文化共生を目指すための学習展開を考察する。
- 山本健,『同盟外交の力学』
- 大井浩一,『60年安保: メディアにあらわれたイメージ闘争』
- 学生が最も熱かった時代―その抵抗のエネルギーとは一体どんなものだったのか。新聞メディアと知識人の言動の分析を通して、当時の人々の目に映った時代の姿に肉薄。50年を経て今、歴史としての「60年安保」を捉えなおす。
- 武谷三男,『弁証法の諸問題 新装版』
- 実践の指針としての技術論を展開する、「三段階認識論」の基礎となった諸論文を収録。戦前戦後を通じた我が国素粒子論の前進へ寄与しただけでなく、戦後の科学サークル運動にも多大な影響を与える。
- 岩崎武雄,『カント「純粋理性批判」の研究 新装版』
- 安孫子誠男/水島治郎,『労働: 公共性と労働-福祉ネクサス』(持続可能な福祉社会へ 公共性の視座から3)
- 三浦信孝(編),『自由論の討議空間: フランス・リベラリズムの系譜』
- 池村聡,『著作権法コメンタール 別冊 平成21年改正解説』
2010年4月
- 原田晃樹/藤井敦史/松井真理子,『NPO再構築への道: パートナーシップを支える仕組み』
- 「新しい公共」政策が始動する今こそNPOの時代。しかし、肝腎なNPOは、「小さな政府」化に伴う行政の下請け化、あるいは、経済的自立を重視するがゆえの過度の商業化という2つの危機に直面している。NPOが、本来有すべき「社会性」を育みながら、サステナブルに発展していくためには、どのような仕組みが必要なのか。/本書は、社会的企業論を展開する一方、自治体との協働事例について英国で実態調査。日本での実践例を踏まえながら、中間支援組織の構築やフルコスト・リカバリー契約手法を提案する。理論・実践双方の観点からNPOの本質をも問い直す、近年稀に見る骨太なNPO研究書。NPO活動に取り組む市民や自治体職員、政府関係者、社会起業家必携の書。
- 茆原正道/茆原洋子,『利息制限法潜脱克服の実務 第二版』
- 天野雅敏,『戦前日豪貿易史の研究: 兼松商店と三井物産を中心にして』
- 尾高煌之助/西沢保(編),『回想の都留重人: 資本主義、社会主義、そして環境』
- 経済学者、政策立案者、現代資本主義論、比較経済体制論、公害・環境、福祉の政治経済学などを中心に、都留先生の知的遺産を現代と将来の世代に伝える積極的な内容をもつように編集された論集。
- 岩田修一郎,『核拡散の論理: 主権と国益をめぐる国家の攻防』
- ポール・ピアソン,粕谷祐子(訳),『ポリティクス・イン・タイム: 歴史・制度・社会分析』
- エリオット・ソーバー,三中信宏(訳),『過去を復元する: 最節約原理、進化論、推論』
- 地球上に分布する多様な生物たちをどのように理解すればいいのか。進化プロセスが生み出した系統関係をめぐり、生物学哲学、生物系統学そして統計科学からの議論が深まってきた。原著出版から20年。系統推定の意味を問い、妥当性を掘り下げた本書の意義は、いまなお色あせない。分子進化学の進展を経た現在こそ、ひもとかれるべき1冊。
- 岩下有司,『日本の景気循環と低利・百年国債の日銀引き受け』
2010年3月
- 足立公也/都筑雅子,『学校文法の語らなかった英語構文』
- 5文型は英語初心者向けの指針としては有益だが、すべての文をそれに当てはめようとすることで見えなくなってしまうものがある。本書では、学校文法で扱われなかったり、軽く触れられる程度で十分な説明が与えられてこなかった文法現象や構文を取り上げ、英語文法の多様性を提示する。
- 日本地方財政学会,『地方制度の改革と財政問題』
- 小田兼三/宮川数君(編),『社会福祉援助技術論: 相談援助の基盤と方法 第2版』
- 社会福祉士国家試験用テキスト。一般的に使われているテキストがやや研究書寄りであったり、演習ワークブック形式など資格試験用には散漫な内容であるのに対し、本書は援助技術の歴史的背景から実践までを丁寧に項目わけし、国家試験に必要とされる知識を包括的に網羅する。2006年刊行の旧版に最新の法制度改正等データを刷新した改訂版。
- 小田兼三/杉本敏夫(編),『社会福祉概論: 現代社会と福祉 第2版』
- 豊永郁子,『新版 サッチャリズムの世紀: 作用の政治学へ』
- C. フェルファット/S. フィンケルスティーン/W. ミッチェル/M. ペトラフ/H.シン/D. ティース/S. ウィンター,谷口和弘/蜂巣旭/川西章弘(訳),『ダイナミック・ケイパビリティ: 組織の戦略編化』
- 「組織が意図的に資源ベースを創造、拡大、修正する能力」という考え方を中心にすえたとき、経営者の役割、提携や買収を通じた企業の成長はどうとらえられるか。その測定概念としては進化的適合度を提示し、新しい一般的な研究枠組を組み立てる。進化経済学からも影響をうけた戦略経営論の新展開。競争に生き残るための変化の描き方。
- 小田中直樹,『ライブ・合理的選択論: 投票行動のパラドクスから考える』
- ぼくの1票の影響力なんてたかがしれている。投票で得られるメリットなんてよくわかんない。なのに選挙に行かなきゃならないのはなぜ? こんな素朴な疑問に経済学で斬り込む合理的選択論を、わかりやすい解説で定評のある著者が書き下ろす。さらには大学生の主人公が合理的選択論を学んで、三角関係に応用するライトノベル付?!
2010年2月
- 小川俊彦,『図書館を計画する』
- 利用者と図書館員の双方にとって使いやすい図書館とは、どのようなものなのか。自治体図書館長として、また民間団体による事業の責任者として、図書館の立ち上げに関わってきた経験を元に、魅力的な図書館づくりのために配慮すべき点を、具体的事例を交えて検討する。図書館とはいかなる場所なのか、改めて考えさせられる一冊。
- 末冨芳,『教育費の政治経済学』
- 教育費のあり方は、子どもの能力開花や教育の機会均等をも左右する。教育費の配分に関する制度的変革が進展しつつある今、わが国における教育を家計と政府がどのように負担するべきか。従来の曖昧な混合型構造の問題点を指摘し、法システムの明確化など、新しい分担型構造を提案する。教育費をとりまく政策、学問を問い直す格好の書。
- 井村喜代子,『世界的金融危機の構図』
- 杉原泰雄,『憲法と資本主義の現在: 「百年に一度の危機」のなかで』
- 小杉礼子,『若者と初期キャリア: 「非典型」からの出発のために』
- 雇用の多様化が進む中、従来の日本型雇用に対応したキャリアから外れる若者が増えている。いったんフリーターになった場合、正社員への道はあるのか。若者がメインストリームから外れた際の移行経路や、そのキャリア形成の課題を調査により実証的に把握し、キャリア移行実現のための道筋を、キャリア研究の第一人者が詳細に論考する。
- 山根純佳,『なぜ女性はケア労働をするのか: 性別分業の再生産を超えて』
- 岡本安晴,『大学生のための心理学VC++プログラミング入門』
- はじめてのプログラミングで重要なのは、機能の網羅的な紹介よりも実用上の基本的な事項の学習と経験である。本書は多くのプログラム例を示し、それを読者が実際に試してみることで、プログラムの理解が進むようになっている。また心理学におけるプログラミングを題材とすることで、初心者でも楽しみながら学べる入門書となっている。
- 横澤一彦,『視覚科学』
- 多くの過程が関与し極めて学際的な研究領域である視覚について、網膜の受容機構から脳の活動と意識の問題まで、幅広く解説する。特にこれまでの日本の書籍にはあまり見られなかった、注意やオブジェクト認知などの視覚の高次過程について、重点的に紹介。心理学、工学、物理学など、視覚に関わるすべての人に向けた新しいテキスト。
- 伊佐敷隆弘,『時間様相の形而上学: 現在・過去・未来とは何か』
- 本書では「出来事個体」という存在を通して時間様相の性格に迫る。1.出来事個体の成立とともに確定したものとしての過去が生じる、2.過去の出現に伴って過去でないものとしての現在が出現する、3.出来事個体と呼べるのは過去の出来事のみで細部が不確定な未来にはあてはまらない。この主張を様々な角度から論証した、時間論の新機軸。
- 我妻榮/川井健,水木浩(補訂)『民法案内11 契約各論 上』
2010年1月
- 井村圭壯/相澤譲治,『福祉の基本体系シリーズ8 社会福祉の理論と制度』
- 高橋基樹,『開発経済学の挑戦3 開発と国家: アフリカ政治経済論序説』
- 長島正治,『労働移動の開発経済分析』
- 宇都宮健児,『多重債務被害救済の実務 第二版』
- 初版刊行後4年余が経過し、多くの読者に好評をもって迎えられてきたが、その間に抜本的法改正、画期的判例の出現、被害実態の激しい変化があった。それらの状況に変化に即応し、現在の実務的な要請に最も合致したテーマとそれに相応しい執筆者によって、問題点を整理・分析、将来に対する解決指針を提示する。実務家必読の書である。
- 稲生信男,『協働の行政学: 公共領域の組織過程論』
- 日本地方財政学会(編),『地方財政の破綻と再生』
- 広井良典/小林正弥(編),『コミュニティ: 公共性・コモンズ・コミュニタリアニズム』
- 格差や社会的排除への防波堤として、従来型共同体の再生ではなく、「個人の自立」を基礎とする新たなコミュニティをどう築くか。コミュニタリアニズム、コモンズ等コミュニティに関わる理念から展望するとともに、まちづくり、緑地福祉、ケア等具体的な事例を通じ、今後の日本社会における公共性とコミュニティ再生の方途を追求する。
- 太田雅子,『心のありか: 心身問題の哲学入門』
- 世界に存在するあらゆるものは物質的な存在にすぎないとする「物理主義」。この考えは私たちの日常にも浸透しているが、「心」をこのモノの世界に位置づけようとした途端に、難題が生じ