勁草書房 新刊一覧(2010年)



勁草書房の新刊を随時アップしていきます。
なかでもシリーズ物については別の一覧ページをつくっています。


2010年11月



心理学の実験倫理―「被験者」実験の現状と展望

  • 河原純一郎/坂上貴之(編),『心理学の実験倫理: 「被験者」実験の現状と展望NEW!!
    • 実験心理学研究では、参加者を効率的に集め、適切な倫理的配慮を行うことが重要な問題である。本書では心理学に関連する倫理規程から、何が求められているかを読み解き、研究を進める上で必要な手続きを解説する。また参加者プールの運用例、謝礼や個人情報の管理など、参加者を募る上で実際に行われている工夫や困難を紹介する。



資源配分機構の設計と外部性

  • 長名寛明,『資源配分機構の設計と外部性NEW!!
    • 本書の関心は以下の三点にある。第一は、ピグー流矯正的課税・補助金、公共財経済でのリンダール均衡、アロー流外部性市場新設が持つ密接な関連。第二は、外部性下でのパレート効率性実現に組織が必要とする最小情報量の発見。第三は、組織の目的に貢献すべく個人情報を顕示する誘因を各経済主体に与える組織の設計可能性である。


2010年10月



連帯の哲学 1 フランス社会連帯主義

  • 重田園江,『連帯の哲学I: フランス社会連帯主義NEW!!
    • 究極のエゴイストでも聖人でもない人たちの、ありうる結びつきとは? 彼らに力を与え、「生きる術」となる連帯について考える。連帯は、一方に国家の介入を拒否する自由放任主義、他方に革命を標榜する社会主義という深刻な社会分断の中で、自由と社会性の両立を目指す中庸を指す言葉として流行した。社会保障の理念的基礎となった連帯の思想は、実は20世紀福祉国家を再考するための視座をも提供する。思想誕生の現場に分け入り、その現代的意義を探る。



契約責任の構造と射程 (明治大学社会科学研究所叢書)

  • 長坂純,『契約責任の構造と射程: 完全性利益侵害の帰責構造を中心にNEW!!
    • ドイツ及び日本における保護義務論の検討と裁判例の傾向分析にもとづき、契約責任法の統一的理解へ向けた理論的素材の提供を試みる。近時、民法改正作業が進められているが、中心課題は契約責任法の再構築にあり、契約責任一般の構成規準、契約責任と不法行為責任の交錯が問い直されるに至っている。本書はこうした理論状況を踏まえ、保護義務の契約責任における位置づけ、具体的な完全性利益侵害の諸態様と帰責構造、不法行為責任との限界づけなどについて検討する。



ライフサイエンス政策の現在

  • 菱山豊,『ライフサイエンス政策の現在: 科学と社会をつなぐNEW!!
    • iPS細胞の画期的な成果の背景で、どんな政策が行われてきたのか? 文部科学省で研究の振興に携わってきた著者による実践的政策論。生命のメカニズムの解明によって、医療や環境問題に寄与することが期待されているライフサイエンス。日々新たな政策によって研究の進展に伴う倫理的・法的・社会的問題の解決を講じることが行政の役割となっている。iPS細胞の振興から脳科学・ヒトゲノムにまつわる倫理的課題、技術の社会還元まで、現場から政策の現状を展望する。



結婚の壁―非婚・晩婚の構造

  • 佐藤博樹/永井暁子/三輪哲(編),『結婚の壁: 非婚・晩婚の構造NEW!!
    • 少子化の背景には未婚化が存在する。なぜ結婚しないのか、できないのか。これらは個々人の問題ではなく社会構造の変化に原因がある。「婚活」が活発化している一方、「結婚難民」の存在も大きな社会問題となっている。本書は、男女の出会いの機会や結婚への意欲、結婚に至る経路を決めるさまざまな要因について、多様な調査データを用いて実証的に明らかにする。若者の結婚に立ちはだかるさまざまな「壁」に接近し、乗り越えるための方策を提示するものである。



会社と社会を幸せにする健康経営

  • 田中滋/川渕孝一/河野敏鑑(編),『会社と社会を幸せにする健康経営NEW!!
    • 研究者と実務家が協力して、ポスト工業化社会における新しい経営、人的資源管理、社会的責任の実現、価値創造の姿を世に問う一冊。本書では理論とケーススタディーをもとに、健康増進のPDCAサイクルの確立、健康の見える化を描き、企業の生産性向上、ひいては社会全体の経済成長、国民・社会の幸福度の向上といった、様々な懸案を解決しうる経営を描き出し、ポスト工業化社会における新しい経営、つまり従業員の健康増進を意図する「健康経営」という概念を提示する。



最新教育原理

  • 安彦忠彦/石堂常世(編),『最新教育原理NEW!!
    • 教育学を学ぶ人と教職を志す人のために、基礎的事項をわかりやすく解説しつつ、最新の教育課題も取り上げた「教育原理」のテキスト。2011年度に小学校から順次正式実施される、新学習指導要領の内容を念頭に置き、好評を博した『現代教育の原理と方法』の内容を全面的に改訂。教育学の基本はもちろん、「外国語活動」や「特別支援教育」などの新しい実践領域や、現在の学校が直面している現代的課題についても論じる。教育学を学ぶすべての人のための実践的入門書。



心のバリアフリーを目指して―日本人にとってのうつ病、統合失調症



脳神経科学リテラシー

  • 信原幸弘/原塑/山本愛実(編),『脳神経科学リテラシーNEW!!
    • 近年著しく発展している脳神経科学。多様な成果をもたらすとともに、心の解明を通して私たちの生き方や人間観にまで影響を及ぼす可能性を秘めている。害を減らしてたくさんの恩恵を引き出すために、必要な知識や心構えとは何か。研究成果が生活や社会にどう関わるのかを知り、新しい事態に的確に判断を下せるようになるための15章。



法解釈の正解―正しい法解釈が明らかにする個性尊重主義の秘密

  • 田村智明,『法解釈の正解: 個性尊重主義の秘密NEW!!
    • 法解釈には正解がある。法律家が自明視している前提を明らかにし、自由主義国家の原理と法の支配の原理がどう調和するかを考える。日本国憲法は、個性尊重こそ普遍的な正義であると宣言しているが、よく考えると、個性の尊重と普遍的効力をもつ法律の遵守とは相反しないだろうか。そもそも個性を尊重する自由主義国家と法の支配の原理とはいかにして調和するのか。法律家の自明視する前提を明らかにし、個人の幸福追求以外の価値実現こそ法解釈であると説く入門書。



夫婦間の協調と家族の和―家族の経済学 (大阪大学言語社会研究叢書)

  • 野村茂治,『夫婦間の協調と家族の和: 家族の経済学NEW!!
    • 利他主義に基づく夫婦の和こそが、夫婦と子どもにとっての最大の利益をもたらす。経済学の立場から、家族のあり方を問い直す。夫婦間の対立あるいは協調関係が、家族としての組織構造や家族内における生産物の分配、さらには子どもの行動にどのような影響を及ぼすのかを、ゲーム理論や進化論的アプローチ等を使って、理論的・実証的に考察する。社会的行動規範も変容してきている今日、個人の生活と夫婦間の和を達成しつつ、家族の絆の意義を主張する意欲作。


2010年9月



ベトナム経済発展論―中所得国の罠と新たなドイモイ



世界経済・金融危機とヨーロッパ

  • 田中素香(編),『世界経済・金融危機とヨーロッパ
    • リーマン・ショック後、繁栄から危機へと滑り落ちたEU経済の構造と特徴、そして戦後最大の金融・通貨・経済危機の実態を描き出す。21世紀初頭のヨーロッパは、ユーロ圏の形成、社会主義からの体制転換、南欧と中・東欧の経済成長等々により順調に発展し、EU統合への求心力が働いているかに見えた。しかし2008年のリーマン・ショック後、順調な発展は突然停止し、現在も経済停滞は長引き危機は深刻である。本書は、最新の情報を基にヨーロッパ経済の実態を分析する。



日本近世における聖なる熱狂と社会変動 (社会変動をどうとらえるか 4)

  • 遠藤薫,『日本近世における聖なる熱狂と社会変動
    • 何らかの財の配分の変化、すなわち経済変化や政治変化として社会変動を理解するのではなく、社会の根拠の変化、すなわち宗教と文化の変化として社会変動を考察しよう。〈社会〉の原義には「まつり」があることにも着目しながら、「おかげまいり」「ええじゃないか」「忠臣蔵」「からくり」などを例に、宗教と社会変動を日本に観察する。



オペラと経済学

  • 松本保美,『オペラと経済学
    • 早稲田大学「経済学研究」講義録。いくつかのオペラを検討しながら経済学で想定されている考え方との類似点や相違点を分析する。「戦略的意思決定」「人生の意味と目的」「合理的でない選択」「愛国心」などがテーマとなる。昼間の論理整合性を重視する生活に対し、感情を発露し癒しを与える夜のもの、それこそがオペラなのである。



「国語」教育の思想―声と文字の諸相

  • 渡辺哲男,『「国語」教育の思想: 声と文字の諸相
    • 均質な音声を持つ規範としての日本語の形成期である、1930─50年代の「国語」教育の歴史を分析し、言語と教育の根本的問題を捉えなおす。「国語」における文字と音声の関係は、戦中戦後の言語学者国語学者・国語教育者たちの複雑に入り組んだ影響関係の中で、いかに形成・共有されていったのか。その議論とプロセスを歴史に位置づけ、ソシュール言語学やその後継学派の影響にも着目しながら解明する。今日なお生成する「国語」にわれわれが対峙するための丹念な考察。



生物多様性というロジック

  • 及川敬貴,『生物多様性というロジック: 環境法の静かな革命
    • 生物多様性というロジックは、社会の基盤たる法制度にどのように投影されているか。この理解なしに、今後の社会のあり方を論じることはできない。法の意義から具体的な地域戦略策定の手法まで、わかりやすく説く本書は、「制度生態系」や「環境の司令塔」など最先端の議論も展開。自治体やNPO、企業人も必読の"市民のための専門書"。



社会的排除と格差問題

  • 高崎経済大学附属地域政策研究センター(編),『社会的排除と格差問題: 地域社会による問題解決
    • 近年の社会制度の急速な構造転換により生じている社会的排除。その現状と課題を包括的に捉え、実際の取組みから解決への知見を示す。社会的排除は、福祉国家の行き詰まりと自由主義的改革の結果として生起した問題状況といえる。本書では貧困、雇用・労働、多文化共生、福祉、都市と農山村といった領域を取り上げ、日本が抱える問題構造を明らかにしつつ、解決に取り組む地域づくりの実践について詳説する。社会的排除を生み出す政策的背景への構造的理解のために。


2010年8月



マンション法案内

  • 鎌野邦樹,『マンション法案内
    • マンションを買い、入居し、居住を続けていく、その間、建物を維持・管理をしていき、定期的に大規模修繕をし、最終的には建て替える。いわばマンションの一生の間、様々な法的問題が生じる。マンションの一生を時系列で具体的な事例を通して解説する。教育的配慮を行き届かせた、第一人者によるはじめてのマンション法入門書である。



アジア太平洋のFTA競争

  • ミレヤ・ソリース/バーバラ・スターリングス/片田さおり(編),片田さおり/浦田秀次郎(監訳),岡本次郎(訳),『アジア太平洋のFTA競争
    • 本書の特色は、特定の政策アイディアの国境を越えた伝播を説明する「政策拡散理論」に焦点を当て、その枠組みからFTAの急増を一貫して分析している点にある。政策拡散の経路は模倣と競争に、さらに競争は経済、政治・安全保障、法律の3つに分けられている。そして環太平洋7カ国を対象としたケーススタディによってFTA拡散の実態を検証する。



ビスマルクと大英帝国―伝統的外交手法の可能性と限界



歴史の哲学―物語を超えて (双書エニグマ 15)



哲学という地図―松永哲学を読む

  • 檜垣立哉/村瀬鋼(編),『哲学という地図: 松永哲学を読む
    • 哲学史の祖述者ではなく、思考する哲学者であろうとすること。日本語で書くという特殊性と哲学という学の普遍性におりあいをつけること。フランス哲学を土台に独特の「スタイル」を築いた松永哲学への応答。松永哲学(村瀬鋼)/自我論(川崎惣一)/科学論(山口裕之)/因果論(村松正隆)/秩序論(谷口薫)/生命論(檜垣立哉)。



自民党長期政権の政治経済学―利益誘導政治の自己矛盾

  • 斉藤淳,『自民党長期政権の政治経済学: 利益誘導政治の自己矛盾
    • 長期に渡って政権にありつづけた自民党は、いかにして支配政党としての地位を維持したのか。またそのことは日本の公共政策にどのような結果をもたらしたのか。じつは、利益誘導の政策そのもののなかに、その支配政党としての地位を危くする矛盾があったことをあきらかにする。代議士の経験もコラム化。現代日本政治論の最新の研究書。


2010年7月



心の哲学―心を形づくるもの

  • ティム・クレイン,植原亮(訳),『心の哲学: 心を形づくるもの
    • 志向性とは心が対象に向けられているということであり、心的現象の本質的な特徴である。心を科学的に位置づけようとする物理主義的還元が全盛を迎えているなか、本書では志向性という概念を通して日常的な観点と連続した形で心的現象を哲学的に明確化し、意識や知覚とはどのような心的現象なのかという心の十全な理解への道を示す。



科学思想史

  • 金森修,『科学思想史
    • 科学技術が早急に対応すべき社会問題となった現在、科学思想史は〈科学政治学〉へ変貌しつつある。しかし、科学技術を社会がどう捉えるかは経済・文化・思想が輻輳する多層的な問題であり、科学思想史家がなすべきなのは、個々の研究を通じその輻輳した問題構制を明らかすることである。科学思想史の現代的可能性を改めて問う一書。



国際金融危機後の中国経済―内需拡大と構造調整に向けて (21世紀政策研究所叢書)



検証・金融危機と世界経済―危機後の課題と展望



契約の経済学

  • ベルナール・サラニエ,細江守紀/三浦功/堀宣昭(訳),『契約の経済学 第二版
    • 第二版にあたって、第7章「不完備契約」、第8章「実証研究」を完全に書き直し、第3章と第5章について重要な変更をした。第3章については今度は複数プリンシパル、共謀、多次元逆選択をかなり網羅的に含んでいる。また、第5章のトピックスに有限責任モデル、キャリアコンサーン、そしてコモンエージェントを追加している。



進化論はなぜ哲学の問題になるのか―生物学の哲学の現在“いま”

  • 松本俊吉(編著),『進化論はなぜ哲学の問題になるのか: 生物学の哲学の現在
    • 「生物学の哲学」では、既存の人文系、哲学系という枠を超えて議論が繰り広げられている。本書は、日本における「生物学の哲学」の中心的研究者たち9人が進化論を軸に、科学哲学、システム理論、数学、心理学、歴史学倫理学など様々な分野と接点をもって、バラエティある話題を展開。原理的な問題から個別的な問題へと読者を誘う。



民主政の不満―公共哲学を求めるアメリカ〈上〉手続き的共和国の憲法

  • マイケル・サンデル,金原恭子/小林正弥(訳),『民主政の不満: 公共哲学を求めるアメリカ 上
    • 政治的制度は、それとは独立に育まれる思想を実現するための単なる道具ではない。政治的制度はそれ自身が思想の具現なのである。我々が正義の意味や善き生の本質といった究極的問いに抗いたくとも、我々は何らかの理論を生きているということからは逃れられないのだ。この立場から、アメリカ憲政論とその公共哲学を論じた現代の古典。


2010年6月



三層モラルコンフリクトとオルトエリート (社会変動をどうとらえるか 3)



膨張する中国の対外関係―パクス・シニカと周辺国

  • 天児慧/三船恵美(編),『膨張する中国の対外関係: パクス・シニカと周辺国
    • 中国は現在、環状の多国間主義の枠組みを形成している。その中心にあるのは中米関係である。本書はこの中米関係を軸に、対インド・対台湾・対ASEAN・対朝鮮半島の関係を解説し、中国の外交戦略の特徴を抽出、その本質を考察する。G2論の本質とは何か、新展開する中国の外交戦略の目的は何か、各方面の専門家が課題に取り組む。



国際政治思想―生存・秩序・正義

  • 押村高,『国際政治思想: 生存・秩序・正義
    • グローバリゼーションが進み、環境、格差、地域紛争などの問題群が噴出している。しかし、現状維持を志向する既存の国際政治学は、問題解決のビジョンをうまく示せていない。公正な国際秩序やグローバル・ガバナンスを構想するには、思想の力が必要である。本書では、「国際政治思想」の果たす役割を、英国学派、規範理論、ポストモダン思想などの成果を織り込みながら、明らかにしていく。



冷戦終焉20年―何が、どのようにして終わったのか

  • 塩川伸明,『冷戦終焉20年: 何が、どのようにして終わったのか
    • 現代世界論の試み。社会主義をどのように価値的に評価するか──それを擁護したり、再興を目指したりするかどうか──ということとは別次元の問題がたしかに存在する。歴史的な事実として無視できない現実的重みをもったこと、そしてその後におけるその重みの急速な低落。それらはこの間の世界全体の転換の構成要素をなしているのだ。



経営学講義




利息制限の理論 (クレサラ叢書―理論編)

  • 小野秀誠,『利息制限の理論
    • まず、利息制限法の沿革的推移を概観しその体系を鳥瞰する。次に、今日の解釈に役立てることを目的として旧法下の判例理論を分析、検討する。さらに、近時の貸金業法43条を実質的に無価値にする判例の展開に着目して精査する。最後に、法の全面改正後の新設規定及び法の趣旨を生かす思想等の周辺状況を解説する。第一人者による法の体系。


2010年5月



国際貿易の理論

  • ジェイコブ・ヴァイナー,中澤進一(訳),『国際貿易の理論
    • 本書では、17・18世紀のイギリス重商主義への反抗の初期から、19世紀のイギリス通貨・関税論争を経て現代に至るまでの"正統派"国際貿易理論の発展をたどった後、国際貿易のメカニズムと貿易利益の理論に関係した古典派と新古典派経済学者の重要な命題を吟味する。世界的国際経済学者ジェイコブ・ヴァイナーの代表作かつ貿易理論の古典。



日本語学習のエスノメソドロジー

  • 杉原由美,『日本語学習のエスノメソドロジー
    • 地域や大学で行われている日本語の学習場面において、「外国人/日本人」というカテゴリー化はいかに形成されるのか。相互学習型活動の実践と参与観察から、非対称的な関係性の中で異質性が顕在化するメカニズムを解明。さらに、「対立」の克服に至る「協働」の現象を分析し、多言語・多文化共生を目指すための学習展開を考察する。



同盟外交の力学

  • 山本健,『同盟外交の力学
    • 冷戦終結に大きな役割を果たしたともいわれる、欧州安全保障協力会議。そのスタートをめぐって、ヨーロッパの国々は熾烈な同盟外交をくりひろげ、緊張緩和(デタント)を成し遂げていった。英独仏3カ国の最新一次資料を駆使したマルチアーカイバル・アプローチで、真の国際政治史を描き出す。



60年安保 メディアにあらわれたイメージ闘争

  • 大井浩一,『60年安保: メディアにあらわれたイメージ闘争
    • 学生が最も熱かった時代―その抵抗のエネルギーとは一体どんなものだったのか。新聞メディアと知識人の言動の分析を通して、当時の人々の目に映った時代の姿に肉薄。50年を経て今、歴史としての「60年安保」を捉えなおす。



弁証法の諸問題 新装版

  • 武谷三男,『弁証法の諸問題 新装版

    • 実践の指針としての技術論を展開する、「三段階認識論」の基礎となった諸論文を収録。戦前戦後を通じた我が国素粒子論の前進へ寄与しただけでなく、戦後の科学サークル運動にも多大な影響を与える。



カント「純粋理性批判」の研究 新装版

  • 岩崎武雄,『カント「純粋理性批判」の研究 新装版
    • 東大での講義ノート。カントの自然科学的認識の方法をとり入れ、人間の立場における形而上学を樹立しようとしたその意図を、原典から自らのものとして追究を試みる。/カント哲学の真髄は、自然科学的認識の本質を洞察し、実験的方法の導入によって新しい形而上学を打ち立てたことにある。あるがままでなく、あるべきカントの姿を捉えるための精緻な議論。



労働―公共性と労働‐福祉ネクサス (持続可能な福祉社会へ公共性の視座から) (双書 持続可能な福祉社会へ:公共性の視座から)

  • 孫子誠男/水島治郎,『労働: 公共性と労働-福祉ネクサス』(持続可能な福祉社会へ 公共性の視座から3)
    • 安定的な生活を支えるはずの労働と福祉のあり方が大きく揺らぐ現在。労働と福祉にかかわる新たな理論枠組みとして、デンマークモデル「フレクシキュリティ」論、労働市場改革と社会保障制度改革を連携させるレギュラシオン学派〈労働─福祉ネクサス〉論等、ヨーロッパの雇用─福祉戦略をひきつつ、学際的に労働のあり方を問い直す試み。



中国労働市場のジェンダー分析―経済・社会システムからみる都市部就業者



自由論の討議空間―フランス・リベラリズムの系譜



著作権法コンメンタール〈別冊〉平成21年改正解説

  • 池村聡,『著作権法コメンタール 別冊 平成21年改正解説
    • 「平成の大改正」法の条文の趣旨や射程範囲等を網羅した、著作権課調査官による実務家待望の初めての逐条解説書。平成21年の著作権法改正は、新設された権利制限規定をはじめ複雑な条文や政省令への委任が多い。本書では、施行令・施行規則や関連法令も盛り込み、難解な条文を丁寧に解説。実務上今後想定される論点についての解釈も提示する。姉妹書『著作権法コンメンタール』全3巻とのリファレンスも充実。


2010年4月



NPO再構築への道

  • 原田晃樹/藤井敦史/松井真理子,『NPO再構築への道: パートナーシップを支える仕組み
    • 新しい公共」政策が始動する今こそNPOの時代。しかし、肝腎なNPOは、「小さな政府」化に伴う行政の下請け化、あるいは、経済的自立を重視するがゆえの過度の商業化という2つの危機に直面している。NPOが、本来有すべき「社会性」を育みながら、サステナブルに発展していくためには、どのような仕組みが必要なのか。/本書は、社会的企業論を展開する一方、自治体との協働事例について英国で実態調査。日本での実践例を踏まえながら、中間支援組織の構築やフルコスト・リカバリー契約手法を提案する。理論・実践双方の観点からNPOの本質をも問い直す、近年稀に見る骨太なNPO研究書。NPO活動に取り組む市民や自治体職員、政府関係者、社会起業家必携の書。



利息制限法潜脱克服の実務 第2版 (クレサラ叢書 実務編)

  • 茆原正道/茆原洋子,『利息制限法潜脱克服の実務 第二版
    • 貸金業者の主張はより多くの貸金回収とより少ない過払金返還という利息制限法の潜脱の試みであり、様々な手口を用い方法を考案する。本書は法の重要性と歴史に光をあててその克服をめざす。初版は大好評をもって迎えられ裁判実務に大きな影響を与えたが、さらに近時の重要判例を分析し理論的構成におき強いメッセージを発揮する。



国際政治の理論 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス 3)

  • ケネス・ウォルツ,河野勝/岡垣知子(訳),『国際政治の理論
    • 大論争を巻き起こした,ネオリアリズムの金字塔! 国際関係論にパラダイムシフトをもたらした不朽の名著,Kenneth Waltz, Theory of International Politics をついに完訳! 国と国との関係を決めるのは何か? 政治家の手腕か? 国家の体制か? 国際政治のダイナミクスを科学的に考えぬき,国際システムの構造に光をあてる。



戦前日豪貿易史の研究―兼松商店と三井物産を中心にして (神戸大学経済学叢書 第 16輯)



回想の都留重人―資本主義、社会主義、そして環境

  • 尾高煌之助/西沢保(編),『回想の都留重人: 資本主義、社会主義、そして環境
    • 経済学者、政策立案者、現代資本主義論、比較経済体制論、公害・環境、福祉の政治経済学などを中心に、都留先生の知的遺産を現代と将来の世代に伝える積極的な内容をもつように編集された論集。



核拡散の論理―主権と国益をめぐる国家の攻防



ポリティクス・イン・タイム―歴史・制度・社会分析 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス 5)

  • ポール・ピアソン,粕谷祐子(訳),『ポリティクス・イン・タイム: 歴史・制度・社会分析
    • なぜ,歴史は重要か? 社会科学のフロンティアを切り拓いた画期的著作をついに完訳! 合理的選択論の限界を示し,経路依存に光をあて,「時間」の重要性を明らかにする。/社会科学や政治学の必読文献である,Paul PiersonのPolitics in Time: History, Institutions and Social Analysisをついに完訳! 歴史はなぜ重要なのかという問いに,社会科学的の知見をフルにつかって一般的かつ論理的にこたえていく。経路依存の問題にとりくむうえでは避けて通ることのできない,画期的著作。



過去を復元する―最節約原理、進化論、推論

  • エリオット・ソーバー,三中信宏(訳),『過去を復元する: 最節約原理、進化論、推論
    • 地球上に分布する多様な生物たちをどのように理解すればいいのか。進化プロセスが生み出した系統関係をめぐり、生物学哲学、生物系統学そして統計科学からの議論が深まってきた。原著出版から20年。系統推定の意味を問い、妥当性を掘り下げた本書の意義は、いまなお色あせない。分子進化学の進展を経た現在こそ、ひもとかれるべき1冊。



社会科学系のための「優秀論文」作成術―プロの学術論文から卒論まで



日本の景気循環と低利・百年国債の日銀引き受け (中京大学経済学研究叢書)



2010年3月



成長停滞から定常経済へ (中京大学経済学部附属経済研究所研究叢書)

  • 河宮信郎,『成長停滞から定常経済へ: 持続可能性を失った成長主義を超えて
    • 自動車・電機など耐久財に主導された成長が石油危機(資源制約)と需要飽和で停滞に陥り、成長主義を継いだ土建・金融バブル(日本)、金融証券バブル(米欧)が不良債権津波に沈んだ。成長主義の二重の挫折は資源制約・環境制約と密接に関連している。以上をふまえ、本書では経済再建の道は実物経済の定常化にあることを提示する。



学校文法の語らなかった英語構文 (中京大学文化科学叢書)

  • 足立公也/都筑雅子,『学校文法の語らなかった英語構文
    • 5文型は英語初心者向けの指針としては有益だが、すべての文をそれに当てはめようとすることで見えなくなってしまうものがある。本書では、学校文法で扱われなかったり、軽く触れられる程度で十分な説明が与えられてこなかった文法現象や構文を取り上げ、英語文法の多様性を提示する。



地方制度の改革と財政問題 (日本地方財政学会研究叢書)



社会福祉援助技術論 第2版―相談援助の基盤と方法

  • 小田兼三/宮川数君(編),『社会福祉援助技術論: 相談援助の基盤と方法 第2版
    • 社会福祉士国家試験用テキスト。一般的に使われているテキストがやや研究書寄りであったり、演習ワークブック形式など資格試験用には散漫な内容であるのに対し、本書は援助技術の歴史的背景から実践までを丁寧に項目わけし、国家試験に必要とされる知識を包括的に網羅する。2006年刊行の旧版に最新の法制度改正等データを刷新した改訂版。



社会福祉概論 第2版―現代社会と福祉



サッチャリズムの世紀 新版―作用の政治学へ



ダイナミック・ケイパビリティ―組織の戦略変化

  • C. フェルファット/S. フィンケルスティーン/W. ミッチェル/M. ペトラフ/H.シン/D. ティース/S. ウィンター,谷口和弘/蜂巣旭/川西章弘(訳),『ダイナミック・ケイパビリティ: 組織の戦略編化
    • 「組織が意図的に資源ベースを創造、拡大、修正する能力」という考え方を中心にすえたとき、経営者の役割、提携や買収を通じた企業の成長はどうとらえられるか。その測定概念としては進化的適合度を提示し、新しい一般的な研究枠組を組み立てる。進化経済学からも影響をうけた戦略経営論の新展開。競争に生き残るための変化の描き方。



ライブ・合理的選択論―投票行動のパラドクスから考える



現代日本政治研究と丸山眞男―制度化する政治学の未来のために



2010年2月



図書館を計画する(図書館の現場 9)

  • 小川俊彦,『図書館を計画する
    • 利用者と図書館員の双方にとって使いやすい図書館とは、どのようなものなのか。自治体図書館長として、また民間団体による事業の責任者として、図書館の立ち上げに関わってきた経験を元に、魅力的な図書館づくりのために配慮すべき点を、具体的事例を交えて検討する。図書館とはいかなる場所なのか、改めて考えさせられる一冊。



教育費の政治経済学

  • 末冨芳,『教育費の政治経済学
    • 教育費のあり方は、子どもの能力開花や教育の機会均等をも左右する。教育費の配分に関する制度的変革が進展しつつある今、わが国における教育を家計と政府がどのように負担するべきか。従来の曖昧な混合型構造の問題点を指摘し、法システムの明確化など、新しい分担型構造を提案する。教育費をとりまく政策、学問を問い直す格好の書。



世界的金融危機の構図

  • 井村喜代子,『世界的金融危機の構図
    • 2007年、米国のサブプライムローン焦付きに端を発した金融不安は、ただちにヨーロッパ諸国に波及し、主要金融機関の破綻、金融市場の機能麻痺へと拡がり、世界的金融危機へ突入していった。本書は、このような新しい世界的金融危機が生じた「根源」を明らかにし、危機を惹起した基本的構図を解明する。



憲法と資本主義の現在 百年に一度の危機のなかで



若者と初期キャリア―「非典型」からの出発のために

  • 小杉礼子,『若者と初期キャリア: 「非典型」からの出発のために
    • 雇用の多様化が進む中、従来の日本型雇用に対応したキャリアから外れる若者が増えている。いったんフリーターになった場合、正社員への道はあるのか。若者がメインストリームから外れた際の移行経路や、そのキャリア形成の課題を調査により実証的に把握し、キャリア移行実現のための道筋を、キャリア研究の第一人者が詳細に論考する。



台湾経済読本

  • 渡辺利夫/朝元照雄,『台湾経済読本

    • 台湾はいかにして経済発展の基礎を築いたのか。日本統治時代の「遺産」は何か。初学者を魅力の国・台湾へ誘う。




なぜ女性はケア労働をするのか―性別分業の再生産を超えて



大学生のための心理学VC++プログラミング入門

  • 岡本安晴,『大学生のための心理学VC++プログラミング入門
    • はじめてのプログラミングで重要なのは、機能の網羅的な紹介よりも実用上の基本的な事項の学習と経験である。本書は多くのプログラム例を示し、それを読者が実際に試してみることで、プログラムの理解が進むようになっている。また心理学におけるプログラミングを題材とすることで、初心者でも楽しみながら学べる入門書となっている。



視覚科学

  • 横澤一彦,『視覚科学
    • 多くの過程が関与し極めて学際的な研究領域である視覚について、網膜の受容機構から脳の活動と意識の問題まで、幅広く解説する。特にこれまでの日本の書籍にはあまり見られなかった、注意やオブジェクト認知などの視覚の高次過程について、重点的に紹介。心理学、工学、物理学など、視覚に関わるすべての人に向けた新しいテキスト。



時間様相の形而上学―現在・過去・未来とは何か

  • 伊佐敷隆弘,『時間様相の形而上学: 現在・過去・未来とは何か
    • 本書では「出来事個体」という存在を通して時間様相の性格に迫る。1.出来事個体の成立とともに確定したものとしての過去が生じる、2.過去の出現に伴って過去でないものとしての現在が出現する、3.出来事個体と呼べるのは過去の出来事のみで細部が不確定な未来にはあてはまらない。この主張を様々な角度から論証した、時間論の新機軸。



システムの社会理論―宮台真司初期思考集成



民法案内〈11〉契約各論〈上〉

  • 我妻榮/川井健,水木浩(補訂)『民法案内11 契約各論 上
    • 我妻先生の晩年の円熟した筆になる我妻民法学の総決算ともいうべきものが「民法案内」である。今回、最後のお弟子、川井健先生の手により一粒社から債権各論の一部として刊行されたものを基礎として、大幅加筆、その後の立法、判例、学説の進展を盛り込んだ。共著として贈与から使用貸借までを契約各論上として独立して刊行する。



経済戦争の理論―大戦間期ウィーンとゲーム理論



2010年1月



社会福祉の理論と制度(福祉の基本体系シリーズ8)



開発と国家 アフリカ政治経済論序説(開発経済学の挑戦3)

  • 高橋基樹,『開発経済学の挑戦3 開発と国家: アフリカ政治経済論序説
    • 本書は、アフリカという、現実世界ばかりではなく社会科学の学問世界においても、最も片隅に追いやられてきた地域の現実から、社会科学の保守本流ともいうべき方法論的個人主義に立つ「普遍的」諸理論を問い直そうとするものである。アフリカにおける開発と国家を語ることによって、欧米をも、アジアをも、日本をも、そして世界をも語ることが、本書が負わなければならない責任である。



労働移動の開発経済分析

  • 長島正治,『労働移動の開発経済分析
    • 本書は、開発経済学における最も有名な理論モデルの1つであり、賃金率格差による国内労働移動を説明したいわゆるハリス=トダロー・モデルをとりあげ、純粋な新古典派2部門モデルであるヘクシャー=オリーン=サミュエルソン・モデルがどのように変容を遂げながら、途上国経済の国内労働移動を説明するに至るのかその過程を詳説する。



多重債務被害救済の実務 第2版 (クレサラ叢書 実務編)

  • 宇都宮健児,『多重債務被害救済の実務 第二版
    • 初版刊行後4年余が経過し、多くの読者に好評をもって迎えられてきたが、その間に抜本的法改正、画期的判例の出現、被害実態の激しい変化があった。それらの状況に変化に即応し、現在の実務的な要請に最も合致したテーマとそれに相応しい執筆者によって、問題点を整理・分析、将来に対する解決指針を提示する。実務家必読の書である。



協働の行政学―公共領域の組織過程論

  • 稲生信男,『協働の行政学: 公共領域の組織過程論
    • 経営学・組織理論の成果と方法を積極的に取り込んだ分析枠組みを、PFIや地方債市場等へ適用し、行政組織とそれを取り巻く公私を問わぬ多様なアクターとの関係に迫る。公私の境界が希薄化し公共サービスの供給主体が多様化する中で、日本行政学戦後60年先延ばしにしていた分野を切り拓く、行政学経営学を架橋する意欲的労作。



地方財政の破綻と再生 (日本地方財政学会研究叢書15)




コミュニティ―公共性・コモンズ・コミュニタリアニズム (双書 持続可能な福祉社会へ:公共性の視座から1)



心のありか―心身問題の哲学入門

  • 太田雅子,『心のありか: 心身問題の哲学入門

    • 世界に存在するあらゆるものは物質的な存在にすぎないとする「物理主義」。この考えは私たちの日常にも浸透しているが、「心」をこのモノの世界に位置づけようとした途端に、難題が生じ