「岩波新書」目録リスト一覧 新赤版1201-1250 (2009年-2010年)
- 1249. 吉澤誠一郎,『シリーズ中国近現代史1 清朝と近代世界 19世紀』,2010年
- いったんは存亡の危機に直面しながらも、近代世界のなかで自己変革を遂げていった一九世紀の清朝。そこにあった苦しみや迷い、努力や挑戦とはいかなるものだったか。何が体制の立て直しを可能にしたのか。その矛盾に満ち、しかも創造的な過程について、統治や社会の動向、周辺部の状況などもみながら、多面的な世界を生き生きと描く。
- 1248. 藤木久志,『中世民衆の世界: 村の生活と掟』,2010年
- 戦国時代、村では「領主は当座の者、百姓は末代の者」といわれていた。旅人にも開放されていた村のシンボル・惣堂や生産拠点であった周辺の山野などを舞台にくり広げられる土着の百姓の生活と村の掟を生きいきと描きだす中世民衆史。共同体として自立していきながら、近世にも継承される中世民衆の世界の深層にせまる。
- 1247. 堀江則雄,『ユーラシア胎動: ロシア・中国・中央アジア』,2010年
- 多極化する世界の中で、いまユーラシア全体が一つの地域として沸き立っている。中国の爆発的な経済発展、ロシアのエネルギー資源外交の展開、中央アジア諸民族の台頭、そして国境を越えるヒトとモノの奔流…。現地取材を重ねたジャーナリストが、この広大な一帯に吹く変革の風を伝え、そのダイナミズムの意味を考える。
- 1246. 門脇厚司,『社会力を育てる: 新しい「学び」の構想』,2010年
- 子どもや若者に広がる社会や他人への無関心。協力し、助け合える社会は築けるか。著者は前著『子どもの社会力』で「人と人がつながり、社会をつくる力」を「社会力」として提唱し、注目を集めた。いま互恵的協働社会の実現に向けて、地域や学校で社会力を育てる必要性を説き、学力重視の教育からの転換を提案する。
- 1245. 白波瀬佐和子,『生き方の不平等: お互いさまの社会に向けて』,2010年
- いまの日本社会で実際に選択できる「生き方」には、収入やジェンダー、年齢によって著しい不平等があるのではないか。子ども、若者、勤労者、高齢者というライフステージごとに、その実態と原因について、数々のデータをもとに考察。生き方の不平等をなくしていく道を「お互いさまの社会」の創出に見出してゆく。
- 1244. 近藤宣昭,『島民の謎を解く』,2010年
- 体温を下げて冬をやりすごす動物の奇妙な習性、冬眠。心臓の低温保存から冬眠の世界に入っていった著者は、体内時計にしたがって低温に耐える体に切り替える、驚くべき仕組みを発見する。数倍もの長寿をもたらし、人間にも備わっているという冬眠能力とは何か。相次ぐ研究の意外な展開は、生命の奥深さを物語る。
- 1243. 前田耕作,『玄奘三蔵、シルクロードを行く』,2010年
- 1242. 岡部牧夫/荻野富士夫/吉田裕(編),『中国侵略の証言者たち: 「認罪」の記録を読む』,2010年
- 1241. 諸富徹/浅岡美恵,『低炭素経済への道』,2010年
- 刻一刻と進行する地球温暖化。この未曾有の環境変動を前に、従来型の経済発展はもはや許されない。いま必要なのは、CO2の排出を大幅に削減し、なおかつ経済を向上させる、新たな成長戦略だ。困難な課題を克服する鍵は、産業構造の転換にある。低炭素化による経済の大いなる可能性と将来ビジョンを示す。
- 1240. 宇野重規,『〈私〉時代のデモクラシー』,2010年
- 一人ひとりが「私」意識を強く持ち、他人とは違う自分らしさを追い求める現代。分断された「私」と「私」を結びつけ、「私たち」の問題を解決するデモクラシーを発展させることは可能なのか。人々の平等意識の変容と新しい個人主義の出現を踏まえた上で、「私」と政治の関係をとらえなおし、これからのデモクラシーを構想する。
- 1239. 神野直彦,『「分かち合い」の経済学』,2010年
- 深刻な経済危機が世界を覆っている。不況にあえぐ日本でも失業者が増大し、貧困や格差は広がるばかり。この「危機の時代」を克服するには、「痛み」や「幸福」を社会全体で分かち合う、新しい経済システムの構築が急務だ。日本の産業構造や社会保障のあり方を検証し、誰もが人間らしく働き、生活できる社会を具体的に提案する。
- 1238. 辰濃和男,『ぼんやりの時間』,2010年
- 常に時間に追われ、効率を追い求める生き方が、現代人の心を破壊しつつある。今こそ、ぼんやりと過ごす時間の価値が見直されてよいのではないか。では、そうした時間を充実させるために何が必要であり、そこにどんな豊かさが生まれるか。さまざまな書物にヒントを求め、自らの体験もまじえながらつづる思索的エッセイ。
- 1237. 竹内敬人,『人物で語る化学入門』,2010年
- 世界は何からできているのか?人間の手でまったく新しい物質をつくることはできるのか?化学者たちの奮闘と発見の物語を通じて、化学の考え方が理解できる。革命の断頭台の露と消えたラヴォアジエ、フグ毒を解明した日本の化学者たち、失敗が生んだノーベル賞など、無限に広がる物質世界の探険記。
- 1236. 清水徹,『ヴァレリー: 知性と感性の相剋』,2010年
- 二十世紀前半のフランスで「最高の知性」として知られた詩人・批評家ポール・ヴァレリー。この明晰な「知性のひと」は、生涯に少なくとも四度の大恋愛にのめりこみ、愛欲に惑い続けた「感性のひと」でもあった。その相剋に彼の本質をみさだめ、人物像に新たな光を当てる。手紙や作品の豊富な引用とともに綴られる、魅惑的な伝記。
- 1235. 風間孝/河口和也,『同性愛と異性愛』,2010年
- 1234. 鶴見俊輔,『思い出袋』,2010年
- 戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。抜きん出た知性と独特の感性が光る多彩な回想のなかでも、その北米体験と戦争経験は、著者の原点を鮮やかに示している。著者八十歳から七年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」の集成に、書き下ろしの終章を付す。
- 1233. 大貫隆,『聖書の読み方』,2010年
- 聖書は信仰をもつ人だけが読むものなのか?本書は聖書を、広く人びとに開かれた書物として読むための入門書である。特定の教派によらず、自主独立で読む。聖書学者の著者が、自身の経験と思索をもとに提案する「わかる読み方」。キリスト教に関心がある人はもちろん、西洋思想を学ぶ人にも格好の手引きとなる。
- 1232. 正田彬,『消費者の権利 新版』,2010年
- 1231. 沖藤典子,『介護保険は老いを守るか』,2010年
- 1230. 椎名誠,『活字たんけん隊: めざせ、面白本の大海』,2010年
- 岩波新書が変わった!と大反響を呼んだ『活字のサーカス』から二三年、「面白本」案内四部作の完結篇。並外れた好奇心ゆえに出会えた奇書・快著・傑作を紹介しながら、常識の盲点へ、世界の辺境へと誘う。「クソ食う人々」「大日本スリッパ問題」「地球の壊し方」…。目次を眺めてピクリとも心動かぬ人が、果たしているだろうか。
- 1229. 高橋敏,『清水次郎長: 幕末維新と博徒の世界』,2010年
- 1228. 川合康三,『白楽天: 官と穏のはざまで』,2010年
- 1227. 村井純,『インターネット新世代』,2010年
- 社会に深く浸透し、情報基盤となりつつあるインターネット。急激に変わる放送などのメディア、携帯電話など電波による通信技術、広がるクラウドコンピューティングの背景を紹介し、未来を展望する。縦割り社会を横に貫き、すべての分野をつなぐ透明なグローバル空間をどのようにして創造するか。激動する世界の中で、日本の役割は何か。
- 1226. 三浦俊章(編訳),『オバマ演説集』,2010年
- 1225. 堤未果,『ルポ 貧困大国アメリカII』,2010年
- 1224. 荒このみ,『マルコムX: 人権への闘い』,2009年
- アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムX。彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇〜六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
- 1221. 佐和隆光,『グリーン資本主義: グローバル「危機」克服の条件』,2009年
- 1219. 押谷仁/瀬名秀明,『パンデミックとたたかう』,2009年
- 1218. 東野治之,『鑑真』,2009年
- 五度の失敗の末に、ようやく来日を果たした苦心談で知られる鑑真。しかし、彼がどのような学問を修めていたか、何を実現するために日本へ来たのか、また結果として日本の仏教に何をもたらしたかについては、これまであまり語られてこなかった。日本の仏教受容という大きな流れのなかに鑑真の存在を位置づける、画期的な試み。
- 1217. 本間義人,『居住の貧困』,2009年
- 1216. 宮本太郎,『生活保障: 排除しない社会へ』,2009年
- 1215. ねじめ正一,『ぼくらの言葉塾』,2009年
- 「言葉って、すごいなあ」。本当に強い言葉は、人のいちばん奥底にまで届く。この本は、そんな心に響く言葉たちを、詩から、歌から、俳句から集め、言葉の味わい方・楽しみ方を指南します。詩が好きな人、詩をつくる人、詩を朗読する人はとくに必読!言葉の回路全開のねじめ先生が、パワフルに過激にスリリングに語ります。
- 1214. 宮坂静生,『季語の誕生』,2009年
- 1213. 喜安朗,『パリ: 都市統治の近代』,2009年
- 一八〜一九世紀にかけての革命の時代、パリは激増する人口、都市騒乱の頻発で危機的な状況を迎えていた。王権・教会が弱体化するなかで、近代的な都市基盤や治安体制はどのように創られたか。セーヌの河岸・橋・港の整備、パリ警視庁創設、共同体の変容などについて述べながら、近代的な統治システムの形成過程を明らかにする。
- 1212. 高橋昌明,『平家の群像: 物語から史実へ』,2009年
- 1211. 飯島裕一,『健康不安社会を生きる』,2009年
- 誰もが抱える健康不安を背景に、「健康ブーム」を衰えを見せない。ことに、手間暇を掛けずに健康効果、痩身効果が望める―とうたう手法を求める風潮が強い。効率化を求め、慌ただしく動く現代社会の影を映す鏡ではないだろうか。識者へのインタビューを通し、ブームの底にあるものを見裾え、「健康とは何か」を問い直す。
- 1210. 砂田一郎,『オバマは何を変えるか』,2009年
- 1209. 祖父江逸郎,『長寿を科学する』,2009年
- 1208. 石弘之,『キリマンジャロの雪が消えていく: アフリカ環境報告』,2009年
- 1207. 栗原俊雄,『シベリア抑留: 未完の悲劇』,2009年
- 1206. 熊野純彦,『和辻哲郎: 文人哲学者の軌跡』,2009年
- 1205. 徳永恂,『現代思想の断層: 「神なき時代」の模索』,2009年
- 1204. 小此木潔,『消費税をどうするか: 再分配と負担の視点から』,2009年
- 1203. 清水勲,『四コマ漫画: 北斎から「萌え」まで』,2009年
- 1202. 内井惣七,『ダーウィンの思想: 人間と動物のあいだ』,2009年
- 1201. 末廣昭,『タイ: 中進国の模索』,2009年