「岩波新書」目録リスト一覧 新赤版1151-1200 (2008年-2009年)
- 1200. 新藤宗幸,『司法官僚: 裁判所の権力者たち』,2009年
- 全国の裁判官の人事や予算などの司法行政を担う最高裁判所事務総局。その幹部を構成する「司法官僚」とは、裁判官の衣をまとった行政官である。彼らはどんな経歴の持ち主なのか。判事たちをどのように「統制」しているのか。司法の消極性をもたらしているその実態を検証し、市民のための裁判所のあり方を提言する。
- 1199. 小沢昭一/神崎宣武,『道楽三昧: 遊びつづけて八十年』,2009年
- 虫とり、べいごま・めんこ、相撲・野球…とのめり込んでの道楽少年は、昭和四年生まれ。八〇歳の今日まで俳優を生業としながら、大道芸、落語、歌、俳句、釣り、競馬、さらには○○まで、存分に遊ぶ。でも、もしかすると生業も遊びではなかろうかと。いま、職業と道楽の関係に考察が及ぶ小沢昭一遊びの一代記。写真多数。
- 1198. 渡部泰明,『和歌とは何か』,2009年
- たった三十一文字の歌のなかに、枕詞や序詞など、無用ともみえるレトリックが使われる理由とは?答えのカギは、「演技」という視点にあった―。身近な疑問を入口に、古典和歌の豊富な具体例をあげながら、千三百年も続いてきた文学形式の謎に真っ向から取り組む。歌の言葉と人が生きることの深いかかわりを読み解く、刺激的な一書。
- 1196. 岩田規久男,『国際金融入門 新版』,2009年
- 乱高下する為替相場、急激に後退する景気、止まらない株価の下落。揺れ動く世界経済を読み解く鍵は、国際金融にある。本書は、理論、仕組み、歴史の三つの側面から、国際金融の基礎を解説する。コンパクトでわかりやすい好著として定評ある旧版をアップデート。必須の知識が、この一冊で得られる。
- 1195. 西川一誠,『「ふるさと」の発想: 地方の力を活かす』,2009年
- 1194. 濱口桂一郎,『新しい労働社会: 雇用システムの再構築へ』,2009年
- 正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。職場の現実から乖離した、その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。
- 1192. 川崎健,『イワシと気候変動: 漁業の未来を考える』,2009年
- 大漁・不漁を左右する海の魚の数は、地球の大気や海と連動して数十年スケールで変動していた―この「レジーム・シフト」を著書は一九八三年、世界で初めて見いだした。九〇年代以降、世界的に大きく進展した研究成果を踏まえ、これからの海と海洋生物資源の持続的利用のあり方に明確な方向性を示す。新しい地球環境観への誘い。
- 1191. 田中克彦,『ノモンハン戦争: モンゴルと満洲国』,2009年
- 1190. 東大作,『平和構築: アフガン、東ティモールの現場から』,2009年
- 1188. 高橋卓志,『寺よ、変われ』,2009年
- 日本の寺は、いまや死にかけている。形骸化した葬儀・法事のあり方を改めるだけでなく、さまざまな「苦」を抱えて生きる人々を支える拠点となるべきではないか。「いのち」と向き合って幅広い社会活動や文化行事を重ね、地域の高齢者福祉の場づくりにも努めてきた僧侶が、その実践を語り、コンビニの倍、八万余もある寺の変革を訴える。
- 1187. 廣野由美子,『ミステリーの人間学: 英国古典探偵小説を読む』,2009年
- 1186. 山田隆司,『名誉毀損: 表現の自由をめぐる攻防』,2009年
- 1185. 徳田雄洋,『デジタル社会はなぜ生きにくいか』,2009年
- わかりにくい操作、突然の不具合、巧妙な詐欺など、デジタル社会に生きる困難は確実に深まっている。それはなぜか。技術者の設計に問題はないか、メディアは必要なことを伝えているか、利用者は素朴に信じてしまっていないか?私たちを待っているのは悪夢のような未来なのか。一人一人が生き延びるための心得を考える。
- 1184. 兵藤裕己,『琵琶法師: 〈異界〉を語る人びと』,2009年
- モノ語りとは“異界”のざわめきに声を与え、伝えることである―皇族や将軍に仕える奏者として、あるいは民間の宗教芸能者として、聖と俗、貴と賎、あの世とこの世の“あいだ”に立つ盲目の語り手、琵琶法師。古代から近代まで、この列島の社会に存在した彼らの実像を浮彫にする。「最後の琵琶法師」による演唱の稀少な記録映像を付す。
- 1183. 石井淳蔵,『ビジネス・インサイト: 創造の知とは何か』,2009年
- 1180. 五味文彦,『日本の中世を歩く: 遺跡を訪ね、史料を読む』,2009年
- 1179. 軽部謙介,『ドキュメント アメリカの金権政治』,2009年
- 1177. 小野健吉,『日本庭園: 空間の美の歴史』,2009年
- 1176. 佐藤幹夫,『ルポ 高齢者医療: 地域で支えるために』,2009年
- 1175. 半田滋,『「戦地」派遣: 変わる自衛隊』,2009年
- 1174. 竹内実,『中国という世界: 人・風土・近代』,2009年
- 国土は広く、人も多く、古い歴史の中国。「チュウゴク」とは何か、そしてこれからどこへ行くのだろうか。「一つの世界」を形成する独特の風土に生きてきた人びとの人間観・家族観をさぐり、さらに近代を象徴する都市・上海と上海女性の気質を描きだす。新たなる中国論の誕生。図版多数。
- 1173. 阿岸祐幸,『温泉と健康』,2009年
- 温泉地には豊かな自然が広がっています。その自然環境を利用して病気の予防や治療を行う「自然療法」が注目されています。温泉の効果は泉質によってどう違うのでしょうか。医学的根拠はあるのでしょうか。飲泉や吸入など、珍しいヨーロッパの温泉地保養療法を紹介しながら、日本の温泉の新しい可能性を探ります。
- 1172. 鎌田遵,『ネイティブ・アメリカン: 先住民社会の現在』,2009年
- 1171. 溝口睦子,『アマテラスの誕生: 古代王権の源流を探る』,2009年
- 1170. 原寿雄,『ジャーナリズムの可能性』,2009年
- 権力との癒着、過熱する事件報道、強まる自己検閲…。マスコミへの不信・批判が叫ばれて久しい。しかし有効な解決策を見出せぬまま法規制の動きも強まっている。いま原点に戻って、ジャーナリズム本来の力、役割を問い直す必要があるのではないか。長年の現場体験を踏まえ、放送、新聞の現状を検証し、再生の道を構想する。
- 1169. ノーマ・フィールド,『小林多喜二: 21世紀にどう読むか』,2009年
- 1168. 浜矩子,『グローバル恐慌: 金融暴走時代の果てに』,2009年
- 1167. 魚住孝至,『宮本武蔵: 「兵法の道」を生きる』,2008年
- 誰もが知る存在でありながら、じつは信用できる史料がきわめて少ない武蔵。小説や伝説に隠されてきた実像はいかなるものだったか。すべての勝負に勝ってなお生涯追求し続けた、「兵法の道」とは何か?新史料も用いながら生涯を追うとともに、きわめて合理的かつ具体的に書かれたその思想を、『五輪書』を核に精細に読みとく。
- 1166. 石城謙吉,『森林と人間: ある都市近郊林の物語』,2008年
- 北海道苫小牧市の郊外に広がる、かつては荒れ果てていた森林。そこで一九七〇年代以降、自然の再生力を尊重する森づくりが進んだ。草花、小鳥、昆虫、そして小川のせせらぎ…。市民の憩いの場として、また森林研究の場としても知られる豊かな自然空間は、どのようにして生まれたのか。「都市林」のあり方を示唆する貴重な体験記。
- 1165. 新保恵志,『金融商品とどうつき合うか: 仕組みとリスク』,2008年
- 1163. 大久保純一,『カラー版 浮世絵』,2008年
- 1162. 山川静夫,『歌舞伎の愉しみ方』,2008年
- 歌舞伎は観客も立派な構成要素、感じるままに観ればいいのです。ただ、今の世の中、ちょっとした手助けで、愉しみ方はずっと深くなるはずですよ―一人の観客として歌舞伎を愛して半世紀、当代の見巧者が、知っておけばさらに愉しめる「約束事」の数々から名優・名舞台の息づかいまで、練達の筆で丁寧に紹介する。格好の入門書。
- 1161. 佐藤勝彦,『宇宙論入門: 誕生から未来へ』,2008年
- 1160. 隈研吾,『自然な建築』,2008年
- 二〇世紀の世界を覆い尽くしたコンクリート。それは場所と素材との関係性を断ち切り、自然を画一化する建築であった。自然さとは、素材や景観だけの問題ではない。タウトやライトの作品にラジカルな方法論を読み解き、水、石、木、竹、土、和紙などの素材を、それぞれの場所に活かす試みのかずかずを語る。
- 1159. 松浦玲,『坂本龍馬』,2008年
- 1158. 島本慈子,『ルポ 労働と戦争: この国のいまと未来』,2008年
- 1157. 阿部彩,『子どもの貧困: 日本の不公平を考える』,2008年
- 健康、学力、そして将来…。大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。OECD諸国の中で第二位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。貧困の世代間連鎖を断つために本当に必要な「子ども対策」とは何か。
- 1156. 塩川伸明,『民族とネイション: ナショナリズムという難問』,2008年
- 1155. 森田ゆり,『子どもへの性的虐待』,2008年
- 子どもをめぐる悲惨な事件の報道が跡を絶たない。いったい、この種の事件の背景に何があるのか。本書では、実態を把握し、抱かれがちな誤解を解き、なぜ適切な介入が困難なのか、解決のためにどうすればいいのかを考察していく。制度改革への緊急提言をも盛り込みつつ、あらゆるいのちに力強いエールを送る「心の救急箱」。
- 1153. 浜田久美子,『森の力: 育む、癒す、地域をつくる』,2008年
- 1152. 田口晃,『ウィーン: 都市の近代』,2008年
- 1151. 石川文洋,『カラー版 四国八十八カ所: わたしの遍路旅』,2008年