実数列の部分列
『経済学のための数学入門』、定義2.2.5(72頁)。
実数列 というのは要するに、
というふうに、実数が無限個並んでいるもののことでした。「並んでいる」ということは、その並びの順番に意味があるということです。そのため自然数 が小さい順に、添字としてついています。
さて、部分列というのは、この実数列から、並びの順番を変えずに要素を抜き出してつくった、無限に続く実数列のことです(元の実数列からすべての要素を抜き出してつくった実数列も元の実数列の部分列ですから、つまり元の実数列自身も、その実数列の部分列です)。まあ、それだけのことなのですが、テキストの定義文が難しそうなので、解説しておきます。
テキストにはこう書いてあります。
を数列とする。 が の部分集合であり、任意の に対してそれより大きい元 が存在するようなものであるとする。 は の部分集合だから、その元に対して小さい方から順に と番号をつけることができる。そのような番号付けによって、集合 が と表されているものとしよう。このとき という数列、すなわち を の部分列と呼ぶ。
部分列であるための条件を箇条書きにしておくと、
- 無限列でなければならない
- 要素がすべて、元の実数列の要素でなければならない
- 元の実数列の順番は、とばすのはいいが、ひっくり返してはいけない
ということです。上の定義文はこれらの条件を、それっぽく書いているだけです。
さて、具体例で考えましょう。数列
から、偶数番目だけを取り出して部分列をつくります。
このとき、取り出した要素の「添字(=番号)の集合」が、定義文でいう です。この場合、
ですね。さて、つくった部分列は無限に続きます。「無限に続く」というのは、つまり番号に終わりがない、どんな番号よりも大きな番号の要素がある、ということです。それが
任意の に対してそれより大きい元 が存在する
ということの意味です。
つくった部分列
を見ましょう。要素に添字(=番号)がついていますが、これは「元の実数列で何番目にあったやつか」を表している数字でしかなく、この部分列で何番目かはわかりませんよね。実際には、この部分列の中では、
が0番目、 が1番目、 が2番目、 が3番目、 が4番目、・・・
となっているわけです。それが
その(=部分列の)元に対して小さい方から順に と番号をつける
ということです。せっかく番号を振ったので、それがちゃんとわかるような形で部分列を書いてやりたいですよね。ところがたとえば
を
と書いてしまうと、これは元の実数列と同じですよね。なのでこの書き方はまずいです。そこで、
という、添字付きの添字をつくってやります。こうすれば、上の部分列は
というふうに書けます。これなら、元の実数列と混同されることもなく、部分列であることが明らかで、かつ並んでいる要素が何番目かがすぐわかりますよね。
これは要するに
ということです。あ、あと、言うまでもなく、
ですね。以上で、定義文の解説は終わりです。