Gil Kenan監督『Monster House』(邦題:モンスター・ハウス)
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: Blu-ray
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そういうクリシェを、素晴らしいモーションキャプチャのアニメでやってみました、という作品。いやなかなか期待以上の出来映えで満足。
ただ気になる点も多々ある。人を呑み込む家の正体は、実は何十年も前に死んだその家の奥さんだった、というオチなのだが、この奥さんの設定が、家そのものよりも遥かに恐ろしいのだ。
偏屈ジジイは名前をNebbercrackerと言うが、若き日のNebbercracker氏はある日、サーカスを観に行って将来の妻に出会う。一目惚れだ。ところがなんと、その相手の名は、Constance the Giantess。つまり、サーカスの見世物として出ている大女だった。彼女は、極度に肥満してはいるものの知能も通常の人間なのだが、サーカスでは人間扱いされず、野ざらしの檻の中で文字通り「飼われて」いる。Nebbercracker氏は彼女を檻ごと盗み出し、結婚して家を建てる。ところが建設作業が半ばまで来たころ、近所の心ない子供たちがConstanceの外見をからかってトマトだの生卵だのを投げつける。激昂した彼女は斧を持ち出すが、Nebbercracker氏に止められ、揉みあう中で、バランスを崩して建設途中の地下室に墜落し、そのときの拍子で上から大量のセメントが落ちてきて、セメント漬けで死んでしまう。失意のNebbercracker氏は、しかし家を完成させ、家に取り憑いた妻と何十年もの日々を過ごすことになるわけだ。
さて、この設定だが、ちょっとかなりやばいことになっている。見世物小屋でのクリーチャー扱い。それに一目惚れするという異常なセクシュアリティ。おそらく生きたままセメント漬けになっているのに警察や救急を呼ばないという異常事態。これらについては、作中で何らかの特別な扱いがないと、観客としては処理ができないのだが、それがないのである。単に、ジジイは家から近所の人を守るために偏屈の振りをしていたんだ、という種明かしがあるだけで、12歳やそこらの子供たちが、この真相をどう受け止めたのかがさっぱりわからない。これはちょっと怖い。
それから、家は最後に爆破されて、Constanceは成仏するのだが、これは観念的な意味ではなくて、実際に家は消滅している。ところが、旅行から帰ってきた主人公の両親は、それを見ても何の反応もない。向かいの家が消滅して煙とか上がっているのに、である。これはどういうことなのか理解に苦しむ。怖い。