Sylvain White監督『Stomp the Yard』(邦題・ストンプ・ザ・ヤード)

友情! 努力! 勝利! それから、恋愛! 陰謀! 失意! 復活!
というわけで、黒人大学の黒人フラタニティ対抗ストンプ合戦という珍しい題材で、日本の少年漫画のクリシェ的プロットをなぞってみました的映画。ただし、クリシェだから駄目というわけではなく、ダンスシーンもなかなか見ごたえがあるし、音楽もよかった。(そこでスローモーション? というのは結構あったけど。)
しかしプロットをはじめ、ダンス以外のシーンのダサさは異常。たとえば主人公がヒロインと初めて出会うシーンは、もちろん(!)ヒロインがウォータークーラーから水を飲むところだ!(しかもスローモーションだ!)
このヒロインは、もちろん敵チームのエースの彼女だし、この彼氏はもちろん卑怯な手段を使って主人公を停学に追い込む。ヒロインの父親はもちろん大学の学長だし、主人公が身を寄せる家の叔母さんはもちろんヒロインの父親の元彼女である。この父親はヒロインの彼氏と結託して、主人公に娘と別れたら停学を撤回してやると卑怯な取引を持ちかけるし、それが娘にバレるとすぐに停学を撤回してくれる。その知らせを失意の主人公に届けるヒロインの車はもちろん渋滞に巻き込まれるが、撤回を知ってストンプ大会の会場に向かう主人公はもちろん決勝には間に合う。卑怯なライヴァルは主人公のダンスを盗んでそのままやるが、もちろん主人公には死んだ弟の得意技を組み込んださらなるステップが隠されている。
こう書いていくと、お昼にやってろ感がぷんぷんだが、それほど失笑の連続というわけではない。それなりに面白い。ただ、最後、優勝の写真が、Rosa ParksとかMartin Luther King, Jr.とかの写真が飾ってあるHaritage Hallに飾られるのだが、なぜ毎年やっている大会なのに今年に限って飾られるのかの説明がまったくないし、そもそも写真の構図がダサすぎる。もっといい写真あっただろうに、と思わずにはいられない。
ちなみに、今日観た2本の映画は、どちらも主人公の名前がDJだった。一方は白人しか出てこないアニメ(あ、警官が一人黒人だったか)、他方は黒人ばかりのダンス映画で、これはすごい偶然だ。