推論の正しさとトートロジー

野矢茂樹論理学』の、推論の論理式がトートロジーであるかどうかを調べれば、推論が正しいかどうかがわかる、というところ(pp. 40-41)の説明が簡単すぎて、ちょっと聞いただけではわかりにくい(でもすでに理解した人には当たり前)気がするので、補足してみる。
 
推論の正しさとは、「前提がすべて真」のとき「結論も真」、になるということ。
推論式は、
    (AかつBかつC)ならばD
みたいな形(「ならば文」)をとる(AとかBとかCが「前提」)。前提は連言でつながっているので、「前提がすべて真」のとき、前件(「ならば」の前)は真。
「ならば文」の真理関数は、前件が偽なら、後件の真偽は問わず、「ならば文」全体は真。前件が真のときは、後件も真なら、全体も真。後件が偽なら、全体も偽。
さて、推論が正しいとは、推論式の「ならば文」の前件が真のとき(つまり「前提がすべて真」のとき)、後件も真となる(「結論も真」となる)ということだった。
推論が正しいなら、前件が真のとき、後件も真になっているはず(偽になっていないはず)。
「前件が偽のとき(=すべての前提が正しいわけではないとき)は、後件の真偽問わず、全体が真」、そして、「前件が真のときは、後件が真なら、全体が真」、というわけだから、推論が正しいなら、どんなときでも、「ならば文」全体(=推論式)は真になる。つまり、推論式がトートロジーとなる。
 
うう・・・もっと簡潔に書けるような。
要するに、わかりにくいのは、「前提がすべて真」のとき「結論も真」、という直観的にとらえやすい条件から、「推論式が恒真(トートロジー)」という、前提が偽のときも組み込んだ話が出てくるからで、それはなぜかというと、推論式は「ならば文」で、ならば文は前件が偽なら必ず全体は真になるから、ということなのだが、あんまり簡潔になっていないか・・・