締切後の提出について

今回のレポートで、締切後の提出を認めたものが1件ある。持ってきたときに、「他の授業の課題が忙しくて」的な、「なぜ締切までに出せなかったのか」論を展開しようとしたので、それは途中でやめてもらった。その種の言い訳は、「自分がいかにこの授業を(相対的に)重視していないか」を主張しているのであって、少なくとも私に対しては逆効果である。あるいは、「許してください」と言わせて許してやることで全能感を得る幼稚な人格には効果があるかもしれないが、私はその種の過剰な権力関係を結びたくない。
締切後に教員に受けとらせるために必要な議論は、「締切後なのになぜ受け取るべきなのか」を積極的に説くものだ。今回の場合、提出者は最終的に、自分のレポートに書かれている知見は教員である私にとって有用なものであり、逆に読まなければ損をする、という旨のことを言ったので受け取った。私だって損はしたくないからだ。もちろんその結果、採点における期待水準・要求水準は高まり、水準に達していなかったときの「なんだ嘘じゃねーか」感も高まる。
なお、当該のレポートに対しては、相応に高まった要求水準で採点した結果、残念ながら「不可」とした。そもそも課題に対応していなかったからで、これは締切内に出していても「不可」である。
ちなみに、一般論として、書かれている知見が読み手にとって得になるかどうかと、レポートとしての成績とは必ずしも一致しない。「良」をつけたが大変楽しませてもらったレポートも結構あった。