人文総合演習B 第5回



えーと、打ち合わせ時点のヴァージョンを知っている身からいうと、話をまとめようとして削りすぎたという感じですね。まとめる努力はすべきですし、報告の一貫性は重要ですが、ネタの多様さも重要です(出席者はどこに喰いついてくるかわからないですからね)。レジュメを見て、あ、あのネタ削っちゃったんだ・・・と思いました。

報告者の主張は、学校のクラス編成を習熟度別にすべきだというものでした。これは、打ち合わせ時の、勉強は塾・予備校に、それ以外の人間的成長は学校に、というラディカルな分業提案と較べると、ちょっと穏当すぎる常識的な提案で、出席者にショックを与えるには弱すぎました。発想が穏当なために、議論がすぐに、提案を実現するための具体的な調整の話になってしまったように思います。要するに人件費がなんだとか、教師の負担がなんだとかいう話ですね。もちろん報告者としてはそこまで詰めて考えてはいないわけで(というかそこまで詰めた議論があの場でできるわけはないわけで)、それで議論が停滞したり「木を見て森を見ない」になってしまったというのが私の観測です。

われわれは議会のように、なにか責任ある決定を下すために議論をしているわけではありません。なので、問題提起の性質によっては、細かい実現可能性などは無視して、極端な提案を極端なままで検討し、その帰結をひとまず確認するという流れが有意義だったりします。学問はそういう無責任(であるがゆえに自由)なものであっていいのです。むしろそういうものであるべきでしょう。今日の議論でいえば、負担や費用の増加などはとりあえず無視して、学校の授業を面白くするにはどういう手立てがあるかということだけを論じていくのが先決だったでしょう。この論点だけでも、授業が面白いとはどういうことか、授業にとって大切なのは面白いことだけか、などなど、詰めないといけない点がたくさん含まれています。負担や費用の話と同時に行うのは実質的に不可能な大きな話なのです。そういう意味では、私も含めて、議論の場が詰め論に傾いていったのはよくなかったですね。

えー、感想を見たら司会者が気落ちしているようなのですが(笑)、どう言おうかな。えーと、まあ今回だけに限りませんが、前期も含めて、司会者が遠慮しすぎだなと感じています。一般論として何度も言いますが、主役は司会者です。会を司る者なんだから。司会者が、報告者に報告をさせ、出席者に発言をさせるのです。だから報告作成途中の打ち合わせ時でも、報告者にもっと要求をしていいです。漫画雑誌の鬼編集者のように、容赦なくボツを出していいのです。そうやって、自分が司会をしやすいような報告を作らせましょう。また演習の場においても、自分にとってつまらない展開になってきたら強制的に打ち切って、新しい話題を振ればいいのです。朝生の田原総一朗を見習いましょう。司会者は王様です神様です。

そういう意味では、私も含めて、出席者はもっと「しもべ」としての自覚をもたないといけませんね。どうも船頭が多くて船が山に上っている感がちょっとあります。

というわけで、今回は議論運営の仕方について多くコメントしましたが、私としては大学の授業のあり方についての悪口(?)がききたかったですね。時間がなくて残念です(笑)。



以下、出席者のコメント。

  • 自分にない考えがでて楽しかったです。
  • なんだかイマイチ議論の焦点が定まっていなかったような気がしました。
  • 途中で少しわけがわからなくなってしまいましたが、発言をためらっていて他の人に自分と同じ意見を言われるよりはましだなと思いました。
  • 色々意見が挙がったけど、ちょっと議論がズレることが多かった気がする。他人の意見を適切に解釈し、それに合った意見をしなくてはいけないと思った。
  • 今日の議論は木を見て森を見ていない感じがありました。なにかが足りないんですよね・・・
  • 言葉遣い・・・。周りを見る目、周りを聞く耳をはたらかせないとなと思った。(流れを記憶する脳も。)
  • このさい伝統とかを気にするべきではないと思う。革新するべきではないと思う。(←ちょっとよく分からんですが。三谷)
  • 話すタイミングがなかったんですけど、教師のモチベーションを上げればいいんじゃないかなと思います。
  • 「学校の役割とは?」「なぜ勉強するのか/させるのか?」ということを含めて、今回も熱い議論でした。でも、本質を探るための質問が主だったと感じたので、精進したいと思います。
  • 部活をやる日数を減らすだけでも教師の負担は減るんじゃないかと途中で思った。視線が集中するのが未だに怖い。
  • うちの高校は勉強重視だったので、部活が週3でした。部活の回数を減らすのも先生の負担を減らすことにつながるのでは・・・? でも結局、学校に何を求めるのかが・・・
  • 報告者の感想  疲れました。学校の先生の多忙化の解消は、そんなに簡単に出来るものではないと思いました。実際、解消する時には、やはり今までの歴史だったり色々な事が関わってきてしまうと思います。
  • 司会者の感想  最低な司会でした。グダグダにしてしまいました。