背理法

 背理法っていうのは、〈「Aならば矛盾」が常に真なら、「Aでない」が常に真である〉という前提のもとで、〈「Aならば矛盾」が常に真である〉ことを証明することによって〈「Aでない」が常に真である〉ことを証明するというやり方だ。
 では最初の前提、〈「Aならば矛盾」が常に真なら、「Aでない」が常に真である〉というのはなんでそういえるのか。
 まず、矛盾(たとえば「Bであり、かつBでない」)は常に偽である。
 さて、「PならばQ」という形の命題を、含意命題という。ここで、Pをこの含意命題の前件、Qを後件という。含意命題自体の真偽は、前件が真で後件が偽のときにのみ偽となり、あとは常に真である。特に、前件が偽のときは後件の真偽にかかわらず含意命題全体は真である。
 「Aならば矛盾」はこの種の含意命題の一種である。そして後件(=矛盾)は常に偽である。後件が偽のときに含意命題全体が常に真であるためには、前件(=A)が常に偽でないといけない。〈Aが常に偽である〉ということは、〈「Aでない」が常に真である〉ということだ。こうして最初の前提が成り立つ。
 ここで最も効いているのは、含意命題の真理関数のあり方である。特に〈前件が偽なら含意命題全体が必ず真〉という部分だ。
 たとえば「カエルが哺乳類なら、太陽が西から昇る」という命題は、カエルが哺乳類でないこの世界では(太陽がどっちから出ようと)常に真である。
 というわけで、背理法はこういうのに依存して成り立っているということだけ確認して・・・もう眠いので寝ようっと。