抽象と具体、一般と特殊

 さっきココイチでとんかつカレーほうれん草ミックス400グラム3辛1210円というごちそうwを食べながら考えた。
 「話が抽象的すぎる。もっと具体的な話をしてくれ。」というのをよく聞く(よく言われる)が、往々にしてこれは、「話が一般的すぎる。もっと特殊な事例の話をしてくれ。」という意味である。
 何が違うか。
 抽象というのは、具体物が持っている一つの性質を「抽出」し残りを「捨象」する操作である。たとえばシロという犬がいて、シロの鼻の濡れ具合の話ばかりしていたら、これはシロに関するかなり抽象的な話である。
 一般と特殊というのは集合論である。ある集合の内包的定義が一般ということである。たとえば「犬というのは、鼻が濡れていて、四足で、尻尾が(ry」とかがそうである。
 犬一般の話ばかりしていたら、「なんのことかよくわからんからこのシロを例にとって話してくれ」というのが、冒頭に挙げた要請の意味である。「シロの鼻の濡れ具合の話(抽象)なんかやめて、シロ全体(具体)の話をしてくれ」というのとは全然質が違うことがわかるだろう。こちらの場合、要請者は話がわからんのではなくて単に「シロの鼻の濡れ具合」に興味がないだけである。
 抽象と一般、具体と特殊というのも、ある意味では対応しない。むしろ、具体と一般、抽象と特殊の方が対応する。つまり、後者は前者を概念的に(定義上)前提にしている。抽象というのは具体物からの抽象でしかありえず、特殊というのもある一般的カテゴリーの一例でしかありえない。