給食費未納:今日の産経主張+読売社説+毎日社説
給食費未納 学校を軽んじてはならぬ
(前略)
文部科学省の初の全国調査によると、小中学校の給食費は平成17年度だけで未納者が9万9000人、未納額は22億円にも上る。
(中略)
給食は小中学生に食の正しい知識と食習慣を身につけるために実施されている。立派な教育活動のひとつだ。それなのに親が給食費を納めないのは、身勝手、無責任、教育への無関心があると言わざるを得ない。
かつて親たちは自分の子供の教師を尊敬していた。学校を軽んじるようなことはなかった。子供にも恥ずかしい思いをさせないようにと、給食費の集金袋にきちんと現金を入れて持たせてくれた。昔の親たちのこうした姿を思い出したいものである。
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070126/shc070126000.htm
牛乳とご飯を一緒に食べるのが正しい知識と食習慣かよ!と思ったら確かに学校給食法にはそれが目標だと書いてあったorz。
(学校給食の目標)
第2条 学校給食については、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
1.日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
2.学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。
3.食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。
4.食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。
というか集金については引き落としにすればいいだけなんじゃないのだろうか。なんで児童に何千円も持たせるのだろうか(追記:以下の読売社説によると引き落としもあるらしい)。
読売社説は同じテーマながら、未納率減少に貢献した自治体のやり方を紹介していて、産経よりも優れている。
[学校給食費]「『払えるのに払わない』無責任さ]
(前略)
未納の対応策として、各家庭を回って給食費を徴収する職員を雇った自治体もある。裁判所を通じた支払い督促手続きや民事訴訟など、法的手段に訴えたところも複数ある。
学校独自で知恵を絞り、成果を上げたケースもある。父母らが学校で子どもたちの集金袋を直接集める方式に変えてみた。「滞納したら給食停止を受け入れる」という誓約書を、保護者に書かせてみた。未納が減ったという。
(後略)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070125ig90.htm
毎日社説も同テーマ。こちらは学校給食の歴史について簡単に紹介してくれている。結局懐古主義的な精神論をぶっただけの産経が一人負けという感じ。
給食費滞納 「払えても払わない」は通らぬ
(前略)
戦前「救貧」「欠食児救済」を主眼に一部で行われた学校給食は、戦後「ララ物資」の脱脂粉乳など米国の援助を受け全国規模で発足した。法で「教育」と位置づけ、味覚や食材知識、マナー、社交性など食文化を学ぶ場とした。
1960年代には共同調理するセンター方式が広まり、70年代には米飯給食も開始、メニューも多様になった。また郷土学習を兼ね、地元名産物を食材にしたり、ランチルームで学年の違う子供たちが会食するなど、さまざまな工夫が凝らされている。
また食を通して総合的な教育をする「食育」も定着し、この推進を学校現場で担う栄養教諭制度も導入、配置されつつある。
ちょうど60年前の47年1月。毎日新聞の記事は、ララ物資をもとに東京都内で一斉に給食が始まったことを報じる。満面の笑みの子供たちの写真付きだ。「芝の国民学校では870人の学童が『これは進駐軍のお土産ですよ』という先生の説明を聞きながら、さけ缶のスープに心の中まで温まったが、学校側で一番の悩みは燃料と調味料だという」……。
そして今、学校給食が置かれた状況は大きく変わった。肥満対策、あるいは偏食や朝食抜きの子供たちの栄養確保なども重要な課題になっている。
(後略)
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070126ddm005070154000c.html
ちなみに「ララ物資」の「ララ」はLARAで、Licenced Agencies for Relief in Asiaの略だそうだ。米大陸の日系人の寄付による救援物資だが、GHQが日系人の関与を黙っていたために、記事にあるような「『これは進駐軍のお土産ですよ』という先生の説明」が出てきたようだ。(参考:Wikipedia ララ物資)