社会の規範主義

社会の規範主義については少なくとも以下の四種類を区別しないと話にならない。

(1)望ましい社会構想を呈示するもの

もちろん望ましくない社会状態も可能的、現実的に存在しうる。これは目標設定自体が規範主義的である。
「社会は〜であるべきだ」。

(2)何が社会を定義するかを規範的に定めるもの

「社会とは〜である」べきだ。

(3)規範の共有によって社会を定義するもの

「規範が共有されている」ことを「そこに社会がある」ことの必要条件にする議論。規範の中身を論者自身が決めておくことも、「何らかの規範」という形式規定に留めておくことも可。もちろんそうでない定義も可能である以上、対象の捉え方が規範主義的である。
「社会とは「全員が「〜であるべきだ」と考えている」ことだ」

(4)規範の共有によって社会を説明するもの

「規範が共有されている」から「社会が成立している」という説明。社会の定義自体が規範主義である必要はない。これは真偽いずれかの経験的命題である。偽ならば捨てられる。真ならば、規範について語らなければならないのはいかなる意味でも論者の責任ではない(対象の自然に由来する)から、そもそも規範「主義」ではない。
「「全員が「〜であるべきだ」と考えている」から社会が成立している」