本日の読書

一般システム理論に対して、「だから何」クエスチョンを、結構激しい口調で連発する論文。

  • 小塩節,2010,「ある秋の日のゲーテ――詩『旅人の秋の詩』の実像に迫る」,『学士会会報』881,pp. 57-73

読みかけ

邦訳『目的概念とシステム合理性』の誤訳

目的概念とシステム合理性』(265頁)、

経験的な(記述的ないし因果的・説明的な)研究と規範的な、とりわけ合理的・実践的な研究の関係

原書Zweckbegriff und Systemrationalität(343頁)

das Verhältnis von empirischer (deskriptiver oder kausal-erklärender) und normativer, insbesondere rational-präskriptiver Forschung

「präskriptiv」は英語で言うと「prescriptive」であり、「〜せよ」という感じの「指令的」とでも訳すべき。この章の他の箇所だと「規制的」と訳されているが、それだと「〜するな」という感じに聞こえる。



それから邦訳270頁、

とは言ってもやはり科学もまた、価値および目的設定という点で、きわめて強い相対性をもっているのである。

原書347-8頁、

Der Relativismus der Praxis prägt sich durch Beziehung auf Wert- oder Zwecksetzungen sehr viel schärfer aus.

というわけでこれは「実践」の方の話。ここは、その直前で、「科学は抽象的だ」「科学は(方法や公理系について)相対的だ」「科学は価値から自由だ」という(そして、そこが「実践」とは異なるという)三つの説が紹介されて、それぞれに対応して、「いや実践も抽象的だ」「いや実践こそ相対的だ」「いや科学は価値から自由ではない」という反論が並べられているところの二番目である。