年はみんなでとるもの

パラサイト・シングル」の人口は現在1100万人であるという。ピーク時は1200万人だったから、これは100万人がめでたく結婚したということなのだろうか? そうではない。パラサイトの定義は、上限34歳までである。消えた100万人は、おそらくその大半が、独身のまま35歳を迎えた可能性が高いのだ。

他の独身者をおいといて、自分だけ結婚する、ということは可能だし、親と同居している他の人をおいといて、自分だけ一人暮らしする、ということも可能だが、他の人をおいといて、自分だけ年をとるということは不可能だ。
誰かが34歳から35歳になって定義から外れたからといって34歳の人がいなくなるのではなくて33歳の人が34歳になるのだし、19歳の人が20歳になって定義に含まれるようになるのである。
山田昌弘パラサイト・シングルの時代』の59頁には1995年の概数で人数が載っているが、20代前半が615万人、30代前半が140万人とのことなので、5で割れば平均123万人と28万人で、つまりほっとくと毎年95万人ずつ増える計算であって、なぜそうならないかというと、もちろん、パラサイト・シングルの人たちがどんどん結婚したり一人暮らしを始めたりするからである。
1200万人というのは2003年の話なので、それから5年間ならざっと500万人くらいはパラサイトシングルが「めでたく結婚」ないし一人暮らしを始めているはずだ。