Jared Hess監督『Nacho Libre』 (邦題:ナチョ・リブレ 覆面の神様)

相棒役の人がよかった。こういう、痩せてて、汚い顔で、変な動きをする相棒役が出てくるといつも嬉しくなる。主演の Jack Black は、ところどころいいけど、なんか普通のいい人という感じで、アガる感じがない。
おそらくは、編集とか特に脚本の問題で、作品全体に、クライマックスに向けて盛り上がっていこう、という有機的な統一感が欠けているのだと思う。鷲の卵の件は、流れの中では完全に孤立しているのに、クライマックスで思い出したように利用されてしまうし、前半に出てきた嫌な修道士は、後半では出て来なくなってしまう。あの人に何らかの落とし前をつけないとすっきりしないよ。
それから、プロレスの試合のシーンが、時間的にも短いし、面白く見えるような演出にもなっていないと思う。あれだったら、たぶん、本物のプロレスのテレビ中継を観た方がアガるのではないかな。それから、これは一番言いたかったことだが、あの程度の盛り上がりのところで、シスターとか孤児たちを会場に来させちゃダメ。あそこは、孤児院総出でテレビの前で応援する、というのがセオリーだろう。姿を観た途端にパワーアップとか、ちょっと嘘くさすぎて覚めてしまうわけで。タイガーマスクとかあしたのジョーとか観て研究してほしかったなあ。