James Foley監督『Perfect Stranger』(邦題:パーフェクト・ストレンジャー)

犯人はヤス。こう書いておけば、みんな観る気をなくして、不幸になる人が一人でも減るだろう。だからもっと直接的に書いておこう。犯人は、犯人探しをしている主人公のHalle Berryその人。
配給会社がつけた「ラスト7分11秒。あなたは絶対騙される。」というコピー(と、それに比したどんでん返しの陳腐さ)に怒っている人が結構いるみたいだが、私はこのコピーはそれなりに有効であったと思う。
なぜなら、私はこのコピーについては知らないままに観たのだが、実のところ、「ラスト7分11秒」が来て、Halle Berryが犯人だった! というシーンになるまで、この映画がフーダニットであることに(というかそもそもミステリーであることに)気づかなかったからだ。「こいつが犯人だったのか!」が有効に働くためには、「誰が犯人かがポイントである」ということが前提として観客に共有されていなければならないわけだが、本作ではそれが全然できていない。
本編の大部分は、Halle Berryが、Bruce Willisと出会い系チャットをするシーンで占められている。それから、自分が探っていることを示す証拠がモニタに表示されたままでパソコンがフリーズしてあたふたするとか、Willisのパソコンにスパイウェアを仕掛けにいったらアンチスパイウェアに引っかかって失敗するとか、アホみたいなシーンが連発する。
そもそも、Halle Berryは、会社のパソコンで、仕事中に、しかも後ろから見られまくりのオープンスペースで、社長にチャットを仕掛けている。あるいは、まだ人がたくさんいる仕事中に、全面ガラス張りで外から丸見えな社長のオフィスに忍び込んで、USBメモリ経由でスパイウェアを仕掛けようとする。失笑するしかない。
ちなみに、製作はSony関係のRevolution Studioなので、出てくるパソコンはVaioばかり。Vaioは画像を表示しようとするだけでフリーズするというまとめでいいでしょうか。