Mark Steven Johnson監督『Ghost Rider』(邦題:ゴーストライダー)

2007年の米国映画。
観てるといらいらしてくるくらいつまらない。
なんというか、Nicolas Cageという人はもうコメディしかできないんじゃないかというくらいひどい。何がかというと、顔というか存在感が。というか10歳も違うEva Mendesと同い年という設定が無茶苦茶だろう。
話としては、わるもんもええもんも、誰が何をしたくて今それをしているのか、というところがさっぱりわからん。あと敵が弱すぎる。ちょっと火をつけたらすぐ燃えて消えてしまう。そんな弱い奴らを一人ずつ送り込む敵のボスの思考回路も意味不明だし。
ゴーストライダーには、「俺の目を見ろ」といって覗き込むと、自分が今まで傷つけた人たちの苦痛が追体験されて、魂が焼かれて廃人になってしまうという必殺技がある。Penance Stareというのだが、まず主人公のJohnnyは、誰に教わることなくこれを使いこなす。それから敵のボスは、「ふははははは! 貴様のPenance Stareは俺には通じぬ! 俺には魂がないからな!!!」などと、相手の必殺技に勝手に名前をつけて喜んでいる。
オチは、最後の戦いで、敵ボスが悪霊みたいなやつらを取り込んでパワーアップするのだが、そのせいで敵ボスの体には魂が入っていることになり、Penance Stareが効くようになる、というものだが、第一に、焼かれるのは悪霊たちの魂であって敵ボスのではないし、第二に、そもそも魂なしでも生きていた敵ボスが、魂を焼かれたくらいで廃人になるのはいかがなものかと思うし、第三に、主人公がその勝機を見つけるためのきっかけがまったく描かれておらず、「え、だって脚本に書いてたから」的な事にしかなっていない。
ゴーストライダーは、実はメフィストフェレスに雇われた賞金稼ぎであって、つまり契約社員なのだが、敵ボスをやっつけたことでもう不要になり、契約を解除されそうになる。魂と引き替えに「燃える蓋骨」への変身能力を得る、という契約なので、契約解除によって魂が戻ってくる・・・はずなのだが、Johnnyは拒否する。この能力で今度はお前をやっつけてやる、などと調子に乗ったことを言う。この先、一生、悪魔と戦うことを選択したことになるのだが、そのことをちゃんと理解しているのか、Nicolas Cageの馬鹿顔を見ていると不安になる。隣の恋人も気が気でないのではなかろうか。一生、ホラー映画のようなびっくりが続くわけだから(風呂でシャンプーの時に目をつぶったり、洗面所で顔を洗って再び鏡を見る、夜中に目を覚まして寝返りをうつ、といったことをするたびに、怖いのがいるわけだ)。もちろん、この演出は、派遣切り問題に対する監督なりの問題提起にほかならない。
ところで市民社会的には、Johnnyは秩序の紊乱者であり、悪魔との戦いのことなど何も知らない警察によって、おそらく全米指名手配、見つかり次第射殺ということになるだろう。なむなむ。