Edward Zwick監督『Blood Diamond』(邦題:ブラッド・ダイヤモンド)

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]

2006年の米国映画。
今日はクリスマスだ! Holy Christ!!!!
というわけで今日は、クリプレの定番、ダイヤモンドの映画を観た。ところで、彼氏にもらったそのダイヤ、あれ? なんか、ちょっと赤黒いシミがついてない? 気のせい・・・かな。
えーと、何のひねりもないベタなイントロはこのくらいにして、本作は、傑作になりえた失敗作だと思う。
最大の難点は、テーマを詰め込みすぎているということ。原石採掘のための奴隷労働の問題、ダイヤが武装組織の資金源になっていること、武装組織による略奪・虐殺、少年の誘拐と手練手管を用いた少年兵の育成、アフリカ黒人の家族愛、アフリカ白人のアイデンティティと対祖国感情、ダイヤモンド取引への先進国大企業の関与、ジャーナリズムの役割、マクガフィン(特大原石)をめぐるアクション、そしてもちろん(白人同士の)恋愛、といった要素がぎゅうぎゅう詰めで、143分では全然足りない。
とりあえず削れるところを考えると、何よりもまずJennifer Connellyがいらない。ConnellyはDiCaprioと恋に落ちるのだが、それに到るまでの経緯が簡単すぎて説得力がない。だから最後の電話のところでも感動が薄い。
というか、DiCaprioもConnellyもいらないような気さえする。あのSolomonという黒人のおっさんが、原石を持って採掘場を逃亡し、家族に再会し、少年兵にされた息子を取り戻し、紛争ダイヤの問題と白人大企業の責任を告発する、というプロットで、十分にスリリングなアクション・社会派映画として完成できたのではないか。『Apocalypto』の例もあるし。
観ていて興味を喚起され、であるがゆえに不満に思ったのは、DiCaprio演じるDanny Archerという、白人のアフリカ人のアイデンティティとか、生まれ育ち、祖国やアフリカというもの(そして米国など先進国の白人)に対する感情が、せいぜい本人のセリフで示唆されているだけ、という点。これはちょっといろいろ調べてみたくなった。
Connellyいらなくね? と思うのは、あと、DiCaprioと初めて出会うバーのシーンとか、背景の人たちがなんか合成くさいんだよなあという点。他にも、背景のCG感が残念な感じになっているところがあって、それが気になった。(Jennifer Connellyの出演シーンに多かった気がするのは偶然じゃないと思う。)
というわけで、いろいろ詰まりすぎで、だからそれぞれのテーマが消化不良。ドラッグや虐殺の経験を含む各種洗脳手段によって作られた少年兵が、あんな程度で涙を流して元に戻るのか、という疑問とか。