Richard Attenborough監督『A Bridge Too Far』(邦題:遠すぎた橋)

「一端でも欠けたら作戦全体がおじゃんだ」というような作戦を無理に通そうとする指揮官の下では、ちょっと働きたくないなあ。
第二次大戦を早急に終結させるためにドイツに通じる橋をすべて占拠せよ、との指令を受けて、オランダ各地にパラシュート降下した3万5千人の空挺部隊。ところが、なんとか地面に降りた彼らを待ち受けていたのは、近くの施設を脱走した狂人の群れだった・・・気味の悪い笑いに取り囲まれた連合軍の運命やいかに! ・・・という映画ではありませんでした。
確かめずに観始めてみたら、なにこれ3時間もあるやん。長すぎる時間に、多すぎるキャスト、次々に移り変わる場面、ということで、えーとこれ誰だっけ? あれここどこ? 作戦開始から何日たったんだっけ? という感じで、観ててもさっぱりわけがわからない。作戦自体がどのくらい進行しているのかも、どのくらい成功してどのくらい失敗気味なのかも、よくわからない。ただただ、疲弊していくのみ。
見所なシーンは、やっぱり最初の方の、飛行機が次々に離陸するとことか、パラシュート降下のところ。他方、前半では、人が撃ち殺されても大して血が出ない。ある程度は死につつも、作戦はうまくいってんのかなーと思わせる。ところが後半になると、人々が血を流し始め、いったん流れ始めた血はぬぐわれることなく、ほとんど全員が血まみれの状態に。もちろん怪我をしているので動けず、ダイナミックさは失われて、つねにうめき声が聞こえる倦怠感に満ちた画面が続く。観ている側も、すでに疲れきっているので、もうええからはよ終わって、と思いだしている頃に、結局(ショーン・コネリー以外)誰がどうなったのかよくわからんまま終わる。
というわけで、全体の様子が把握できないことや、始めは勇ましいがだんだん倦怠モードになっていくことや、すっきりした終わりがないこと、といった点で、観る行為自体が戦争の追体験になっているといえるかもしれんなあ、と思ったりもした。