Alejandro Agresti監督『The Lake House』(邦題:イルマーレ)

イルマーレ [Blu-ray]

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「3年待って」と言えばもちろん(?)『めぞん一刻』だが、こちらは「2年待って」だった。
プロットを理解するには、Kateの手紙が最初に2年前にタイムスリップした時点から、2006年の時間と2004年の時間が同じスピードで流れ出しているという設定を踏まえておかないといけない。この設定のために、2008年2月14日に出した手紙は、2006年2月14日の同時刻に届く。そのために「間に合うか間に合わないか」問題が生じる。この辺、映画が終わるまで気づかなかったわたくし。
それで、最初は「2年も待たないでいいんじゃないの?」と思った。2006年2月14日の時点では手紙のやり取りは始まっていないので、そこで出ていっても変質者扱いではあろう。しかし、3か月か4か月待てば、おそらくその頃には恋愛感情も生まれているはずなので、OKなはず、という理屈。それに、2年待つということは、彼女は大して好きでもない男とあまり幸福でない同棲生活をしないといけなくなるわけで。
でもよく考えたら、そういう過程を経ないと、彼女はAlexに警告の手紙を出すことにならず、それゆえやっぱり彼は2006年2月14日に死ぬことになって、2008年2月14日をもって、それまでの二人の生活は2年前に遡って「なかったこと」になるのかもしれない。うーん、リアリティの水準がはっきりしていないのでよくわからん。Kateはあの状況でこういうリスクを一気に考えたのだろうか。だとしたらすごい。
事故のシーンで、すぐにオチ前の衝撃展開は予想してしまったので、それをどう処理してくれるかを期待した。「泣ける」ためには悲恋にならなければならない感じで、正直、ラストではそこまで出てきていた涙が引っ込んだ。
いったんAlexを死なせておいて、かつハッピーエンドという道もあったのではないかと思う。つまり、2008年現在においても、2年前への郵便は可能なのだから、2004年のAlexと文通している2006年のKateのもとに、2008年のKateが手紙を出し、悲劇を回避するように働きかけるのだ。ただこうなると、もう、歴史がどのように書き換えられるのかさっぱりわからなくなるが。
この映画の教訓としては、いつも学生に言っているように、「とりあえずググれ」ということだろう。遅くともレストラン「イルマーレ」で待ちぼうけをくらった段階で、私なら何かあったんじゃないかと思ってとりあえずググっているだろう。そうすれば、「Alex Wyler氏、事故死」の記事が見つかったはずであり、もっとまともな対策がとれたはずだ。