オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督『インヴェージョン』

インベージョン [Blu-ray]

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宇宙からのウィルスに感染すると、感情が乏しくなってイラク戦争が終わったりブッシュとチャベスが仲良くなったりする平和な世界が訪れる。そのため感染者(正確には発症者)は、感染を広めて世界をより平和にしようと頑張るのだが、その方法があまり平和な感じではない。基本的な手法としては、飲み物にゲロを混ぜて飲ませるというやり方が挙げられる。感染しても一回熟睡して目覚めないと発症しないのだが、ゲロ入り紅茶とか飲んでる人たちはなぜ気づかないのだろう。それから、急いでいるときは、多少乱暴な手法も用いる。そのせいでニコール・キッドマンは顔にゲロをかけられてしまう。さらに、物語も終盤に近付くと、たかだか母子2人をつかまえるのに、大勢の発症者が走る車にしがみついて窓ガラスを割ろうとする。この人たちほんとに平和ウィルスに感染しているのか疑問に思う。
ロジャー・エバート曰く

ガレアーノ博士はウィルスのサンプルを手に入れると、ガリレオ以来の全科学者の羨望の的となるようなパフォーマンスを見せる。サンプルを顕微鏡で観察するや、ほとんど一瞬で、それが何であるか、どうやって複製されるかを説明し、熟睡すると発症する旨を告げる。さらに(見た感じだと1日か2日後に早くも)、抗体があればウィルスを殲滅できると言い、その抗体は、農薬散布機で散布できるほどの量を即座に製造可能であると言う。ここまでで、映画の整合性は完全に失われている。ちなみに、ワシントンの超高層ビルの屋上にヘリコプターが着地するシーンがあるが、ワシントンでは、連邦法で連邦議会の議事堂よりも高い建物は建ててはならないことになっている件については触れないでおこう。

なお、本作は『盗まれた町』の映画化4作目だが、エバート曰く、

Now we've had "Invasion of the Body Snatchers" twice, "Body Snatchers" once and "The Invasion" once. Somebody should register the title "Of The."

『Of The』まだ〜?