島田荘司『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)

漱石の筆とワトソンの筆による「藪の中」的作品。どちらかというと漱石の方が事実に近く見えて、いかにワトソンがホームズを美化して書いているかがあぶりだされる(漱石側の記録だと、ホームズの推理は外れまくり)。とはいえ、最後には(事件解決後だが)ホームズも復活して、なかなか抒情的で感動的な両者の別れのシーンが。『吾輩は猫である』という作品が書かれるには、ホームズの存在が不可欠であったという衝撃の事実も!