ミロシュ・フォアマン監督『カッコウの巣の上で』
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/11/05
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ジャック・ニコルソンはいつ見ても、何を考えてるのか分からん人で、最後までいったいなんの映画なのかわからなかった。それもあって、単純に「体制と反逆」という図式では捉えられないだろう。「体制」の象徴となるべき婦長のラチェッドを、単に統制主義的な悪役と見ることは、彼女のあまりにも「ぶれない」態度と精神に鑑みて絶対に不可能だし。
そのため、精神病者の「本来の自由」を、精神病院が不当に奪っている、という図式は成り立たない。途中でみんなで脱走して釣り船でクルージングというシーンも、解放感とかカタルシスとは無縁。それでいくと、最後のロボトミーがとってつけた感あり。これが出てくるまで、施設を「悪」とする描写はなかったと思う。
しかしそういうのも含めて、いろんなことを考えさせられる傑作であることは確かで、その面でも、「一羽は東へ、一羽は西へ、残る一羽はカッコウの巣の上を飛んでった」というのは(解釈の多様性を象徴していて)おもしろい。