人文総合演習B 第14回



この演習は人文学部の1年生の必修なのですが、今回の報告者はうちでは唯一、他学部から遠征に来ている学生です(工学部1年生)。

報告は、自己も時間も「もの」ではなくて「こと」だという著者の主張を正確に理解・感得したうえで、それをさらに自分になじんだ例で敷衍していくというものでした。たとえば三角関数の記号(sinとかcos)から受けるイメージ、トイレの照明の自動点灯装置におけるCPUの認識のあり方、認識することと自己であるということの違い、さらには自己であることと自己が自己を自己として認識するということの関係、などなど、報告者の見解を呈示するよりも、聞いている各人にそれぞれ考えるべき課題を与えるといった意義をもった報告だったと思います。

私としては、「こと」について論じる際に用いる「ことば」というもの(!)が、「〜とは○○である」みたいな、「もの」化的傾向をもつがゆえの、「こと」についての論じにくさ、そして、にもかかわらず、報告者がいうとおり、「ことば」から我々が読み取るのは「もの」ではなくて「こと」なのだという事実、そしてさらに、このメタ的議論をやはり「ことば」でやらなければならないという、まあなんというかこのややこしさをどうしたらいいか、ということを自分なりの課題として受け取りました。



以下、出席者のコメント。

  • 今日の議論は難しかったです。ただ、黒板を使った理系の話はおもしろかったです。
  • 対象図書の内容がかなり難しくて、よく分からなかったけれど、レジュメの内容は例などをあげて、分かりやすくしていたと思う。cosθとsinθの性格を考えているのがおもしろいですね。
  • 工学部っぽい発表で新鮮でした。専門的な話が多くて面白かったです。
  • 今回は難しい内容で整理しようとすることで頭が一杯だった。夢や機械という言葉でマトリックスを思い出した。
  • 最近、答えがでなそうな話が続いてますね。ある社会問題の解決法について議論するのが好きなんですよね。
  • 証明不可能な仮説。一人の人生を越えた霊魂的自己(いわゆる前世の魂みたいな・・・)があり、脈々とそれが受け入れられている。機械にはその霊的なものはない。故に、人間と機械は違う、とか・・・・・・。前回の本でも少し触れられていた、いのちと自己の関係を思い出しました。
  • 今日の報告は非常におもしろかったです。自分の特徴(知識)を活かした発表だったので、これからの発言でも独自の視点から攻めてくれると、もっとおもしろくなりそうです。あと、工学部って楽しそうだなーと思いました。
  • 機械が、人間と、とってかわれるかという議論はとても面白かったです。数学をやっていた時、私もsinθとかcosθにそれぞれイメージを持っていたことを思い出して、懐かしかったです。
  • コンピューターは人間に似せてつくったものであり、神というものを設定しない限り、コンピューターを人間が支配しているため、コンピューターと人間は違うのかなぁと思いました。
  • マトリックス」のように、人間もプログラムされていて、その結果が「人間」だとしたら・・・。こわいです。(話は変わりますが)機械は人間の被造物なので、人間と類似しているのはあたりまえなのかな、と思いました。
  • とてもおもしろかった。今回のもとても考えさせてくれるものでした。
  • 報告者の感想  発表のしかたがだめでした。伝えたいことをわかりやすく言うのは難しいと思いました。全体的にわかりにくくてごめんなさい。
  • 司会者の感想  議論を、面白い様々なことを考えられるようなところに持っていけなかった。報告者がとても面白いレジュメを書いてくれたのにいかせず、本当にもうしわけないです。もう少し面白く出来た議論だったと思います。