「方法」と「方法論」

Studies in Social and Political Theory (University Library)

Studies in Social and Political Theory (University Library)

第一論文「実証主義とその批判」より。

実証主義哲学が社会科学でどれだけの影響を及ぼしたかは、少なくとも英語圏では、「方法(method)」という代わりに「方法論(methodology)」といわれるようになった事実にみてとれる。「方法論」という言葉には研究手続の分析という意味しかなく、もっと広い視野で、社会学というのはどういう対象をどういう形で論じるべきなのかと反省する議論とは明示的な関係がない。そういうのは「社会科学の哲学」の仕事となった。方法論、と「論」をつけていうときは、哲学的な立場とは無関係に、という意味が込められていることが多い。
(p. 52)