来年はルーマンが論文を書き始めて50周年

というわけで・・・というわけかどうかは知りませんが、なんと3冊同時刊行ですよ。死んで10年になるというのに・・・もう勘弁してください(泣)。
http://www.erz.uni-hannover.de/~horster/texte/suhrkamp.pdf

  • 『観念の進化』(Ideenevolution):400頁

ニクラス・ルーマンは1980年代の初頭に『社会構造と意味論』という2巻本を刊行している。これに続いてただちに第3巻が出る予定だったのだが、この第3巻に収録することになっていた論文「情熱としての愛」が単独で刊行されてしまい、以後この計画は実現しなかった。収録予定だったのはこの他に、「意味、自己参照、社会文化的進化」、「認識利得の分出」、および現在に至るまで未刊行の「近代社会の合理性」の3本である。今回刊行する論文集は、「情熱としての愛」の代わりに「社会的階級の概念について」、「社会学からみた観念史」という、やはり知識社会学的な議論をしている2本のテクストを収録した点を除いて、ルーマンの当初の出版計画をそのまま再現したものである。

一般に、道徳について考えるのは哲学の仕事だと思われている。それだけに、20世紀を代表する社会学者の一人であるニクラス・ルーマンが、60年代後半から1998年の死の直前まで、つねに道徳理論的な問いに立ち向かい続けてきたといえば驚かれるかもしれない。本書は、道徳理論についてルーマンが書いた最も重要なテクストを初めて公刊するものである。道徳に対するルーマンの姿勢は、社会の理論という彼の大プロジェクトによって決められている。ルーマンは哲学のように道徳を実体的に扱うのではなく、機能的に扱うのである。このような立場に立つ者にとって、個人化社会ではつねに、相互行為の水準における行為調整というものがどのようにして可能になっているかが問題になる。この文脈で、道徳や法のような規則・規約が意味を持ってくる。その意味というのがどんなものであるかを捉えるには、道徳の反省理論が必要だとルーマンはいう。では道徳の反省理論とは何か。この論文集を読むことで、その概略を知ることができる。

 芸術についての伝統的な問いというのは、芸術の本質とは何かということであったし、今でもそうである。しかしこの問いに対する格式ある回答は、その半減期をますます減らしてきている。芸術の観察者がその本質をどのように定義しようと、それとはまったく異なる姿に芸術は変貌し続けるからである。
 ところが1976年、システム理論の先駆者である一人の論者が、驚くべき新たな問いを立てた。「芸術のコード化は可能か」。この問いの元になっているのは、芸術のコミュニケイションは、経済や政治や科学とはそのコード化の仕方が異なるというテーゼである。この新しいアプローチから、非常に有益な、また国際的で学際的な議論が生まれてきた。本書は芸術・文学のシステム理論について論じたルーマンの重要な諸論文と、遺稿の中から何篇か未公刊論文を集めて編んだものである。加えて、ルーマンのアプローチと、それがどんな影響を及ぼしてきたかについての概説を、巻末につけておいた。

来年3月をお楽しみに〜〜