今日の提案

 conflictを「葛藤」と訳すのはもうやめよう。「葛藤」というのは葛や藤のつるが複雑に絡まりあっている様子から、わけわからんようになってむきーっみたいな(主に心の)状態を指す言葉であるが、conflictという言葉にそんな意味はない。conflictというのは、あるものと別のものが対立していること、その二つが両立し得ないことを表す言葉である。その状態はまったく明確で、「葛藤」などどこにもない。私の言語感覚では「対立」が最も適していると思う。ある種の「対立」状態を克服しようとした結果、結局どうしたらいいのかわからなくなって「葛藤」が生じることがある。つまり「葛藤」はconflictの結果(の一つ)にすぎない。
 たとえば社会学にrole conflictという概念があって「役割葛藤」と訳す人が多いが、意味としては、両立し得ない複数の役割期待を一人の個人が担わされるというだけのことであって、やはり「役割対立」の方がふさわしい。