東京地裁、名誉毀損の訴えを棄却─アンパンマン事件

(略した部分を読まれることを強く推奨する。)

東京地裁名誉毀損の訴えを棄却─アンパンマン事件

東京地裁は7日、アンパンマンさんが作家のやなせたかしさんを名誉毀損で訴えていた事件について、訴えを棄却する判決を下した。アンパンマンさん側はこれを不服として即時抗告する方針。
(中略)
同地裁の加藤謙一裁判長は判決理由を「原告に友達がいないのは事実であり、名誉毀損にはあたらない」と述べた。
(後略)
http://bogusnews.seesaa.net/article/33143793.html

これはおかしい。刑法230条をみよう。

第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

事実だからといって名誉毀損が成立しないわけではない。もちろん特例もあるが、

第230条の2 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

公益が目的でないといけないのであって、アンパンマンに友達がいない(=愛と勇気だけが友達だ)ことを示すことが公益の増進につながるとはとてもいえない。というかそもそも公共の利害に関する事実ではない。
 むしろ「カバおくんが「彼はタダの食料」と法廷で語ったことが決定打となった」とあることから、告訴主体としての適格性が否定されたのではないか。