今日の天声人語

(前略)
 英国BBCテレビの記者が報道の量に関して調べた興味深い結果がある。健康へのリスクなどについてのBBCニュースの1年間の本数で、そのリスクによると見られる年間の死者数を割り、記事1本あたりの死者数を概算した。多いほど、危険の割に報道が少ないことになる。
 筆頭は喫煙で約8600人、次が肥満で約7500人だった。牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛肉を食べることによる変異型クロイツフェルトヤコブ病は0・5人、エイズは20人だった。喫煙や肥満はBSEに比べるとニュースになりにくい。しかし、健康への影響を考えれば、もっと報じられていい、というのが結論だった。
(後略)
http://www.asahi.com/paper/column20070115.html

まず、「変異型クロイツフェルトヤコブ病」とか「エイズ」というのは病名であるのに対して、「喫煙」とか「肥満」は病名ではない。また前二者が直接的な死亡原因として明確であるのに対して、後二者は(病名ではないので)それ自体は死亡原因ではないし、影響があるにしても間接的で不明確な形でしかない。それに「死者数÷記事数」をエイズの20人/記事の水準にするには、喫煙について今の430倍の記事を書かないといけないがそうしろといっているのか。