バーバー「構造機能分析――問題と誤解」

Bernard Barber, 1956, "Structural-Functional Analysis: Some Problems and Misunderstandings," American Sociological Review 21, pp. 129-135

三谷メモ

機能主義を社会科学一般の理論構築法と見なす立場の一人。これはParsonsに始まり、Kingsley DavisのASA会長講演(機能主義は社会学の別名だ!)につながる流れ。

イントロ

  • 構造機能分析は新しい学派を形成しているけど、学派形成の悪い面(all or nothingになってしまうこと)が出てきていて、誤解も多いよ。
  • 誤解を解くために、「構造機能分析は実質的な概念体系なのか、概念間の因果関係の性質を定義するだけなのか」、「構造機能分析の抽象度を特定するにあたって、構造機能主義者と批判者それぞれの責任はどんなものか」、「構造機能分析は本来的に静態的なのか」、「構造機能分析は本来的に保守的なのか」、この四点について考えてみるよ。

構造機能分析の理論的地位

  • 社会的システムの境界維持とか部分間の相互依存といったことは、一般的な理論構築法上の性質なんだけど、構造機能分析には、その具体的事例であるような実質的(substantive)な構造概念もあるから、両者はきちんと区別しないといけないよ。特に、自分が採用している実質的な構造範疇を明示して、既存理論のそれと比較する必要があるよ。レヴィンの場理論も同じようなこと(一般的な分析法と実質理論の混同)になっているよ。

抽象的分析と具体的分析

  • 特定の変数に注目してあとは無視することを抽象というよ。抽象は科学にとってすごく重要だよ。構造機能分析には抽象の重要性を意識している人が結構いて、実際そうやっているんだけど、抽象だからいかん、具体的でないからいかんと批判する人がいて困るよ。でも、構造機能分析の人も、自分の分析が具体的な現実理解にどう役に立つかを明示しないからこれもいかんよ。

構造、過程、変化

  • 構造機能分析が本来的に静態的だと批判する人がいるけど、構造概念もシステム概念も、静態的に見えるのはある一時点に注目しているときであって、そうやって時点ごとの構造を確認しておかないと、そもそも時点間の変化(あるいは維持)を見出すことはできないよ。

イデオロギー上の意義

  • 構造機能分析の成果は現状維持にしか使えないから保守的だと批判する人がいるけど無根拠で困るよ。当たり前だけど、他の科学的成果と同じで現状維持にも変化にも使えるよ。この種の批判を避けるには、こんなことにも使える、あんなことにも使えると、成果の用途をいろいろ明示すればいいよ。